第百八十三姉 番外編『ムラサキさん、森の中で鳥さんと出会うの巻』
あねおれ好きの方ならタイトルで誰がでてくるかわかると思います。
「佐賀県民は~きっと姉が好き~♪なぜなら~佐賀県には~『姉』っていうバス停があるから~♪」
皆さんこんにちわ。アルゼンのアイドル、初月紫です。
今日は珍しく私一人で森の散歩chu!
なぜならヒロはアルゼン魔法使いの会というのに参加してるからだ。
大丈夫かしら。意地悪な魔法使いにいじめられてないかしら。
もしいじめられてたらそいつら全員ぶっ殺すけど。
私だって魔法使えるから参加するっていったら、エルエルが『初級魔法使いの資格すら持ってないからダメ』だって。エルエルマジケチ。
こんなことなら資格取っとけばよかった。
でも初級魔法使い試験なー。的に三回当てればいいだけなんだけどなー。それがなー。
私の魔法量だと二発で眠くなっちゃうのよね。困ったもんだわ。
そんな感じで仕方ないからノエルの森をブラブラしてると、バサバサと羽ばたく音が聞こえた。
音的にでかそうな感じね。まぁ魔物じゃないから平気か。
音のした方向に目をやる。
そこには。
「あるぇ~!? もしかしなくても玄武さんじゃない感じっすか~!」
真っ赤に燃えるでかい鳥がいたのだった。
「つーかあんた誰?」
しゃべる鳥ってことは霊獣か。霊獣にはいい思い出が一つもないのよね。駄馬とか駄馬とか駄馬とか。
つーか、げんぶ?
「自分っすか~!自分は朱雀っす~!」
「・・・すざく?」
すざくって、四神のあの朱雀かしら?確かに炎の鳥だし。
ってことはげんぶって玄武か。
「っておい!私を玄武と間違えるとかぶっ飛ばすわよ!?亀でしょあれ!」
「あーすんませんっす~!なんか似たオーラを感じたんすけど~気のせいだったみたいっす~!」
マジ失礼!
玄武とか地味だし仲間になっても序盤しか役に立たないし漫画とかでも大体やられ役じゃない!
「つーかこの世界にも四神とかいたのね。他のもいるの?」
「他のっていうと、青龍さんと白虎さんっすか~!?」
「そうそう。」
「いるっすよ~!」
いんのか。
仲間になるのか敵になるのか、ちょっと心配ね。
ちょっと聞いてみるか。
「んで、その朱雀さんはここで何やってんの?銀髪の美少幼女でも探しにきたの?」
「なんすかそれすげー萌えキャラっぽいっすねぇ!どんな性格っすか~!?自分、ツンデレ好きなんすよ~!」
「も、萌え・・・?」
なんだこいつすげー現代っ子っぽい発言するわね。
しかし、ツンデレ・・・
『ふんっ、ムラサキなんて知るか!バーカバーカ!』→ツンっぽい?
『・・・全く、お前はしょうがないやつめ!』→デレっぽい?
ふむ。
「ツンデレね。」
「マジすか~!激熱っすねぇ!」
「激熱ね。」
「激熱っすけど、別にそんな萌えキャラ探しにきたんじゃないっすよ~!」
「じゃあ何しにきたのよ。」
「いやー今持ってるゲームも大体クリアしちゃって次のゲームの発売日まで暇になっちゃったんすよ~!仕方ないからたまには散歩でもと思って飛んでたら、なんでか玄武さんっぽいオーラを感じて来てみたんすよ~!」
「・・・それで、ここに?」
「勘違いだったみたいっすけどねぇ!」
すげー適当ね。嫌いじゃないけど!
でも次のゲームの発売日まで暇とか、他にやることないのかしら。
聞いてみましょうか。
「大陸の平和を守ったりとかしないの?」
「大陸の平和っすか~!?お姉さんすごいこと言いますね!でも今十分平和っすよ!なんかやることあります!?」
「いや、それは・・・」
まぁ言われてみれば確かにそうね。
あれ、でも北のほうに魔境とかあるんじゃないの?
てゆーか私に『やることありますぅ?』とか聞かれても困るんですけど。
とりあえず重要なことを聞きましょうか。
「今ゲーム何やってんの。」
「今っすか!? FFスーパーコレクションポータブルとか良かったっすよ~!」
「マジで!?何収録されてんの!?」
「お、お姉さんわかります~!? クリスタルが関わる1から5までを次世代携帯機でHD化っすよ~!めっちゃリアル!」
「何それすげぇ!?ほしい!」
どうしよう、こいつ倒したらドロップするかしら。
「ちなみに、自分倒してもドロップしないっすから~!」
「ちっ。」
使えない鳥め。
「じゃあ今度それ持ってきなさいよここに。」
「えー無理っすよ!酷使しすぎてバッテリー死んでますし!ここ電気ないじゃないっすか!」
「あんた朱雀なんだから電気くらいどうにかしなさいよ!」
「えーこのお姉さん無茶振りっすわ!自分炎しか使えないっす!」
じゃあ私の雷魔法で・・・いや、絶対過給電でショートする未来しか見えないわ。
「しかし、自分見えるとかお姉さんすごいっすねぇ!」
「なに、普通は見えないの?」
「今まで自分のこと見えた人は・・・何人だろ。確か五人くらいっすかねぇ!」
「結構いるじゃない。」
「いや、でも約百年で五人っすから、人間的に考えたらけっこう少ないんじゃないっすかねぇ!」
唯一が良かったわ。六人目とか微妙すぎ。
「でも朱雀でわかってくれて助かるっすよ~。今まで会ったやつは全員『フェニックス様だ!』とか言い出して~!フェニックスじゃないっすよ自分~!朱雀っすよ~!」
「あーまぁ似たようなもんじゃない?」
「全然別っすよ~!エビとザリガニくらい違うっすよ~!」
なぜその例えを出すのか。
「お姉さん日本人っすよね~!」
「そうよ。日本の誇る三大大和撫子お姉ちゃんといえばすずねぇとタマねぇとさきねぇってくらいに!」
「『あなたは中国人ですか?』って聞かれて『いいえ、日本人です』って答えたら『どっちも似たようなもんだ』って言われたらどう思います~!?」
「あーなるほどそんな感じね。悪かったわ朱雀ちゃん。」
「いいっすよ別に~!あーでも人間に朱雀ちゃんとか呼ばれたの初めてっすねぇ!」
「別にいいっしょ?」
「別にいいっすよ~!」
ゆるいなこいつ。
「さて、と。じゃあもういくっす~!」
「あら、もういくの?私も暇だからもうちょっと付き合いなさいよ。」
「いやー、そうしたいのは山々なんすけど~、こういう突発的な出会いはしょうがないとしても、人間と長時間関わっちゃいけないってセーレーオーさんから言われてるんすよ~!」
「セーレーオーって・・・精霊王のこと?マジでいんの?」
「いるっすよ!この大陸の管理人っすもん!」
マジかよ。
神様じゃなくて管理人って言われるとすごいグレードダウンな感じね。
「じゃあそういうわけでいくっす~!あ、自分のことは他の人にしゃべっちゃダメっすよ~!」
「なんで。」
「な、なんでって・・・なんでだろ?とにかくそういう決まりなんす~!すんません~!」
「じゃあ黙ってる代わりになんかちょうだい。」
「お姉さんすごいずうずうしいっすねぇ!」
「そんな褒めないでよ照れるじゃない。」
「褒めてないっす~!」
すると突然羽をバサバサしだす朱雀。
ここ森の中なんだけど。火事になったら私がエルエルに怒られるんだけど。
え、嫌がらせ?
「ちょっとやめてくんない?燃え広がったらどうすんのよ。」
「燃えないから大丈夫っすよ~・・・っと。はいこれ~!」
私の前には真っ赤な羽が一つ落ちていた。
「これは?」
「自分の羽っす~!」
「効果は?」
「特にないっす~!」
「張っ倒すわよ。」
焼き鳥にしてやろうかしら。
「嘘っす~!持ってるだけで炎に強くなるっす~!激レアっす~!」
「あっそ。じゃあこれで我慢してあげるわ。」
「良かったっす~!じゃあこれでさいならっす~!」
「じゃね~。」
ばっさばっさと羽ばたき、空高く飛んでゆく朱雀ちゃん。
いやー、いいもん手に入れたわ~。
後日。
この燃えるように輝く朱雀の羽は『夜中にトイレにいきたいけど光石出すのはちょっとめんどくさいな~』という時に重宝されるのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。
次回は二十五章→最終章(一話)となります。
更新は毎日一回更新にするか12月6日に全部放出するか考え中です。
多分毎日更新?
よろしくお願いします。




