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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第二十三章 夢か現か?不思議なお茶会へようこそ!編
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第百七十七姉 番外編『串焼屋のおっちゃんの話』

10月後半に更新予定でしたが、9月末から10月にかけて訃報が相次ぎ全く執筆できていない状況です。大変申し訳ありません。

次回更新は11月中に行う予定です。

また、今年中(早ければ次章?)に完結する予定なので、あともう少しだけお付き合いいただけると嬉しく思います。

「おっちゃーん。焼き串三本くれー!」

「あー悪いな、今日の分は全部売れちまったんだ。また明日来てくれ。」

「そっかー、じゃあ仕方ねぇか!また来るよ!」

「おう、すまねぇな。」


 ふぅ、今日も売り切れ御免か。

 まさか、俺の屋台がこんな人気店になるとはな。


 俺がアルゼンでホーンラビットの串焼き屋を開いて5年近くになる。

 串焼きはアルゼンの名物だから競合店はいっぱいある。

 俺の屋台は味には自信があったが客の呼び込みなんかが苦手だったため、それなりの評価しかなかった。

 その評価が急上昇したのは数ヶ月前からだ。


 いつものように通りで屋台を開いていると、一人の女がやってきた。

 アルゼンではまず見かけないような美女だ。いや、美少女か?

 まぁそんな感じのいい女がじーっと串焼きを凝視していた。

 すると突然『何コレ?』って聞いてきた。俺は『ホーンラビットの串焼きだ。食べたことないのか?』と返したら、言うに事欠いて『100万個くらい食った!』ときたもんだ。

『嘘付け!100万個って子供か!』と返したら『食べたことないからくれ。タダで。旨かったら後で私のサインあげる!』だとよ。


 その返事でわかった。このお嬢ちゃんは多分貴族だ。それも、貴族。

 ホーンラビットの串焼きを知らない人間なんてほとんどいないからな。

 いるとしたらそんな庶民の食べ物を食べたことがない貴族様くらいだ。

 そして、落ちぶれた貴族が冒険者になって家の再興を考えるなんてよくある話だ。

 しかし、このお嬢ちゃんからは暗い感情が伝わってこない。むしろ楽しくて仕方ないって感じだ。

 つい『じゃあ持ってけ!名前が売れたらサインもってこい!』と言ってしまった。


 それからお嬢ちゃんとその弟がちょくちょく顔を出すようになった。

 すると、少しずつ冒険者が俺の屋台に来ることが多くなった。

 しかも『串焼きが食いたい』んじゃなくて『俺の・・串焼きが食べたい』と。

 後日、あの姉弟が冒険者デビューしていきなり新しい遺跡を発見し『鈍器姉弟ドンキーブラザーズ』なんて呼ばれて注目されていることがわかった。

 俺は串焼きを買いに来た姉弟に『わざわざ店の宣伝なんてしなくていい』と言った。

 返事は『別に宣伝なんかしてないわよめんどくさい。』『ただ飲み会の時に、旨い串焼き屋があってよくそこに通ってるって話をしてるだけです。』

 まったくこいつらは・・・


「おっさん、串焼き。」

「今日はもう店じまいだ。悪いな。」

「あー?この俺がわざわざ来てやったのに、もう店じまいだぁ?バカにしてんのかよおい!」


 ただ、こういうバカも来ることが多くなった。

 だが。

 俺はあるものを取り出し酔っ払った冒険者に見せる。


「あー?なんだそりゃ?『むらさきふぁんくらぶ、かいいんなんばー・・・003』!?」

「どうする?」

「す、すいませんでした!まさかMFCムラサキファンクラブの幹部の方とは知らなくて!ここここれ、迷惑料です!」

「んなもんいらねぇ。品切れは俺の落ち度だからな。次はちゃんと用意しておく。」

「そんな、いいです!失礼します!」


 酔いが一気に醒めた冒険者が一目散に逃げ出す。

 やれやれ、最初にこんなもんを渡された時は子供のおもちゃ感覚だったが、まぁ冒険者相手に効くこと効くこと。

 今じゃ『会員証見せてください!』なんて客までいるからな。

 あの姉弟もすっかりアルゼンの代表冒険者になっちまった。

 お、噂をすればってやつだな。


「おっちゃーん!串焼き10本!あとオムライスとピザーニャとニャクター!」

「素直に定食屋にいけ。」


 ・・・やっぱりよくわからん。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


一般の人から見ると『MFCの一桁ナンバー=MFCの幹部』といったイメージが蔓延してますが、実際は会員カードが出来たその日にヒロくんが出会った順にカードを渡してるだけです(笑)

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