第百七十四姉「そんな細けぇことでいちいち騒ぐなってんだよな!クソガキ、あんな大人になるんじゃねぇぞ!ガハハハ!」
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棍棒ちゃんは女の子です!男の娘じゃありません!多分!
「そんなことないです!わたしのほうが!」
「いやいやいやいや、俺のほうが!」
「・・・少年。いつまで続ける気かわからんが、そのへんにしておいたらどうだ?お茶でも飲んでゆっくりしたまえ。」
月光剣さんが苦笑しながらも止めてくれました。
「ふぅ、美味しいですわね。どうですかヒイロさん。」
「そ、そうですね。美味しいです。ありがとうございます。」
皆でリビングでお茶をしているのだが・・・正直落ち着かん!
ですわ口調のミカエルさんは豪華なドレスを着てる金髪縦ロールさんで、いかにもお嬢様!という外見だ。
一見すると物語にでてくるいじわるなテンプレ高慢貴族みたいな感じだが、話した感じは全然普通というか穏やか。優雅さが感じられる。
『ノブレスオブリージュ』とか大事にしてそう。
絶対使用武器はレイピアか鞭っぽのに、ハンマーなんだよなこの人。イミフ。
「・・・・・・(ズズズ)」
無言でお茶をすすっているマサムネちゃんは外見的に中学生くらいかね?
茶髪でおかっぱの美少女、でも着てるのは上下ジャージ。
そして胸元には『まさむね』の刺繍が。
無言ではあるがボーっとしているわけではなく『自然体こそ最高の構えである』みたいな余裕を感じる。
ひょっとしたら柳生新陰流の人なのかもしれない。
「ヒーロちゃーん!そのおちゃわたしがいれたんだよー!おいしい!?ねぇおいしい!?」
「う、うん。美味しいよ。ありがとうね。」
「えへへー!」
ノブナガちゃんは背はちっちゃいのに胸部装甲は凶悪という、桜色の髪を持つロリ巨乳さんだ。
なぜか(胸元のみぱっつんぱっつんの)メイド服を着ている。
ある意味、女の子の究極最終形態の一つといえよう。
とはいえ、俺は姉の教育により年上系の女性以外には自動的に『明鏡止水:A』が働くのでいやらしい感性は働かない。
・・・ほんとだ。嘘じゃない。さきねぇ以外の巨乳さんにベタベタされるのが初めてだからちょっと動揺してるだけだ。
俺はー!姉さんがー!大好きなのでー!
「・・・(チラッチラッ)」
さっきから俺の顔を盗み見、にしてはめっちゃ見まくってるおさげで貧乳の黒髪地味子ちゃんが棍棒ちゃん。
どっかの学校の制服を着ていることから図書委員をやっているのではないかと推測される。むしろ断言してもいい。
ポエムとかテレビで流れたいい感じの歌詞を耳コピしてメモに書き出しちゃうような文学部所属の文系少女だ。きっと。
「おいクソガキ!何きょろきょろしてんだ!男だったらもっと胸を張って堂々としてろ!そしたらあとで小遣いやろう!ガハハハ!」
ガハハ笑いの赤髪幼女が鮮血の月さん。
全てがフラットかつコンパクトなお方である。
口は悪いが、ちょいちょい俺を甘やかそうとしてくるので悪い人ではないっぽい。
素肌にオーバーオールのみという危険な格好はどうにかしていただきたい。
「こうして皆でお茶会を開くというのも悪くないね。」
「あれ、普段はお茶会やってないんですか?」
「六人全員で集まることは初めてだね。そもそも所有者が違えば同じ空間に集まることはほぼないと言っていい。」
「そんなものなんですか。」
「ああ、そんなものだよ。今日は私たち全員に馴染みの深い少年がいるから繋がったのだろう。感謝せねばな。」
そう言ってお茶を飲む月光剣さんは長身長髪のクールビューティーって感じ。胸部装甲が薄いのは残念。
Tシャツにジーンズというラフな格好だが、すらっとした体型のため、モデルさんに見える。
髪が銀色なのはノエルさんとなんか関係あるのかしら。
年齢なのか魔剣としての格の違いなのか、この場のリーダーのように振舞っているが、誰も異論を挟まないってことはそういうことなんだろう。
「そういや、なんか所有者に似てないようで似ているというか、不思議な感じですね。」
「そうかい?」「そうか?ガハハハ!」「そうですの?」「・・・・・・そう?」「そっかなー?」「そ、そうですか?」
全員から疑問系で返されてしまった。
でも、似てると思うんだよね。
月光剣さんはノエルさんのクールなところとか、カリスマっぽいところ。
鮮血の月さんは根拠はないのに、異常なほど安心感があるところ。
ミカエルさんはさきねぇの高貴さというか、自信満々なところ。
マサムネちゃんはマイペース&ゴーイングマイウェイなところ。
ノブナガちゃんは無邪気で元気なところとか。
棍棒ちゃんは・・・地味なとことか。
ごめんね、地味な所有者でごめんね。
「・・・ん?」
見回しているとおかしいことに気付く。
ノエルさんの所有する魔剣は(俺の知ってる限り)月光剣と鮮血の月の二振り。
さきねぇの武器はミカエルくんとマサムネさんとノブナガさまの三振り。
そして俺の相棒であるスマート棍棒改の一本。
武器は合わせて六本。つまり、精霊さんは六人のはず。さっき月光剣さんも六人っていってたし。
しかし。
一、二、三、四、五、六・・・七。
目立たないようにこっそりと奥でお茶を飲む女性がいる。
そう、このリビングには七人の女性がいるのだ。
あれは誰だ?まぁノエルさんなら他にも魔剣を所有してたっておかしくはないんだが。
「あのー、月光剣さん。」
「ん? なんだい少年。」
「あそこに座ってる女性は誰なんです?俺の知らない魔剣さんですか?」
「え?」
月光剣さんが横を向く。
釣られて全員そっちを向く。
「「「「「「・・・誰?」」」」」」
「えぇ!?」
いや、今普通にお茶飲んでたじゃんその子!
さも『居て当然やで?』みたいな顔して!うちの武器じゃないの!?
もはや心霊現象じゃん!いるはずのないもう一人みたいなやつ!怖いよ!!
「・・・おっす。」
「!?・・・うっす。」
青髪のセミロングで、明らかにダボダボな白衣っぽいものを着た女の子から声をかけられたので、挨拶を返す。
いや、誰?
月光剣さんが困惑しながらも女の子に話しかける。
「ここにいるということは君も武器の精霊なんだろうが・・・少年のような例外もあるしな。君は誰だい?」
「ウチの名前はエクスカリボーだお。よろしくだお。」
「・・・エクスカリボー!?」
あの(アルゼン限定で)超有名な駄魔剣エクスカリボー!?
「なんでここにエクスカリボーが!?」
「銀髪ロリエルフに買われたお。でもラッピングされて魔法袋に突っ込まれたままなんだお。暇なんでお茶会にお呼ばれされてきたお。」
「え、じゃあノエルさんが買ったの?お前を?」
「多分そうだお。」
勢いでお前っていっちゃったよ。
でもなんでノエルさんがこんな駄魔剣を買ったんだ?
主婦であるノエルさんは無駄金を嫌うので、こんな安くない無駄買い物をするとは思えないんだが。
つーかお前の存在知ってる人いないってことは、誰もお茶会誘ってないっぽいぞ。
「というよりエクスカリバーにそっくりな名前だな。こう言ってはなんだが、あまりよろしくはないな。」
「あーあいつかー!そういやそんな陰湿な女もいたなー!ガハハハ!」
しかめっ面の月光剣さんと爆笑してる鮮血の月さん。
「あれ、お二人ともエクスカリバー知ってるんですか?」
「ああ、大戦の時に何度も顔を合わせてるし、手合わせをしたこともあるからね。」
「つーかノエルから聞いてんだろ?あいつを叩き折ったのこいつだぞ?ガハハハ!」
あー、そういやそうだったね。
「両者合意の上での勝負だったにも関わらず、その後も会うたびにグチグチネチネチとうるさくてね。王城に封印されて正直助かったよ。」
「そんな細けぇことでいちいち騒ぐなってんだよな!クソガキ、あんな大人になるんじゃねぇぞ!ガハハハ!」
いや、刀身を真っ二つに折られた事は細かくないでしょ。どんだけ豪気なのこの魔剣。
そんな話をしていると、エクスカリボーが立ち上がる。
「エクスカリバーとかいうウチのそっくりさんの話は廊下に置いておくんだお。」
「いや、逆だ。お前がエクスカリバーのそっくりさんなんだお。」
つい口調が感染ってしまった。
「そうかお?まぁどうでもいいお。というより、そろそろそっちに混ざってもいいかお?」
「ん?ああ、いいんじゃないか?ノエルさんの所有物だし。」
「みんなよろしくだおー。」
イスを持ち上げ、ずけずけと俺たちの輪に加わるエクスカリボー。
寂しかったのか・・・
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