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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第二十章 解かれし封印!?伝説の魔剣現る!編
160/191

第百六十姉「そこは、ほら。愛で。」

評価と感想いただきました。ありがとうございます。

お盆は明日だけお休みもらえました……スーパー銭湯でもいってゆっくり休みます。

 口々に怒鳴り散らす人々。

 最初の二人はかわいそうだが、他のやつらは完全に八つ当たりだろ。

 あと、最後のやつはあとでヤクザキックな。




 大暴動になっている中、そっと店員の女性に近づく。


「あのー。」

「ひぃ!すいませんやめようっていったのに店長が勝手にやったんです私は関係ありません許してください!」

「いや、それは別にどうでもいいんですけど。これは試しに持ってみたりとか素振りとかってできます?」

「・・・・・・へ?」


 恐怖に怯えていた店員さんだが、俺の言葉に素っ頓狂な声を出す。


「えっと・・・どれのことですか?」

「え、だからこの棍棒です。エクスカリボー?でしたっけ?これ。」

「・・・あー、これ一応かなり高価なんで、そういうのは、ちょっと。」

「そうですか・・・残念です。あ、そうだ。周りの狂戦士たちに殺されないように気をつけてくださいね?」

「こ、ころ!?」


 俺の言葉に衝撃を受ける店員さん。


「あー俺だったらあなたを暴漢から守ることもできたんですけどねー。でもしょうがないですねー。・・・成仏してください。」


 手を合わせて拝む。ナムナム。


「どどどどどうぞ手に持って感触を確かめてください!そして私を守ってください!」

「え、いいんですか?でも申し訳ないなー。高いものなんでしょう?」

「お願いします!どうか、どうかー!」

「そんなに言うんだったら、まぁ試してみようかな?」

「ありがとうございます!ありがとうございます!」


 ペコペコ頭を下げる店員さん。

 高速移動で棍棒を持ってきて手渡してくれる。


「!? 手に吸い付くような感触・・・まるで長年使い込んだ相棒のようだ!」

「は、はぁ・・・」


 興奮する俺をよそに、理解できない顔をしている店員さん。

 素振りをしてみる。

 ブンッ!ブンッ!


「おぉ~いいねぇ~。この感覚、いいねぇ~。これ、いくらくらいです?」

「へっ!?これですか!?」

「だからこれですってば。」

「えっと、これは最低価格でも・・・ごにょごにょ。」

「・・・たっか!エクスカリボーたっか!」

「こんなのでも、一応魔剣に分類されるものではあるんで・・・。魔剣としては破格の低価格なんですけどねぇ。」


 価格を聞き驚愕する俺と、ふぅ~とため息をつく店員さん。

 マジかよ・・・こんなふざけたアイテムでサラリーマンの年収くらいすんのかよ。


「ありがとうございました・・・」


 意気消沈し、すごすごとエクスカリボーを返す俺。


「さ、さっきの約束は忘れないでくださいね?」

「ええ、私は約束を守る男なんで。安心してください。」


 店員さんの視線の先には、両手両足を拘束され、地獄の黒ポをラッパ飲みさせられている店主の姿が。

 すでに目がレイプ目になっている。

 それを尻目にこっそりと店員さんを裏口から逃がすのだった。




 場は未だに紛糾しているが、ギルドへの報告を終えたノエルさんと合流し店を後にする。

 さきねぇは今もプリプリしているが。


「全く、ろくなもんじゃなかったわね!」

「でも俺、安かったらアレ買ってたかも。」

「どんだけ鈍器好きなのよ・・・」

「・・・まぁわかりきった結果だったがな。そもそも本物のエクスカリバーはもう存在しないし。」

「「・・・え?」」


 ノエルさんのその言葉に固まる俺たち。


「ちょ、ちょっとエルエル!エクスカリバーが存在しないってどういうことよ!」

「だって、伝説の聖剣ですよ!?」

「いや、昔にちょっと、な・・・」


 ノエルさんが俯く。

 ・・・あ。もしかして。


「ひょっとして、前にノエルさんが大活躍したという生魔大戦で、エクスカリバーは・・・?」

「!? なるほど。いくら聖剣とはいえ、何千何万という魔物を打ち倒した結果、最後には朽ちてしまったのね。寂しいけど、それもロマンね。盛者必衰盛者必衰。」


 うんうんと頷く俺ら。

 しかし。


「あー、いや、まぁ、えっと・・・そ、そんな感じ、かなぁ?」


 ノエルさんの目が異常にキョドっている。

 ・・・怪しい。


「・・・ノエルさん?怒らないから正直に言ってください?」

「・・・お、怒らないか?」

「ええ、怒りません。エクスカリバーはどうなったんですか?」

「・・・その・・・折れちゃった。」

「エクスカリバーが?」「なんで?」

「えっとな・・・」


 ノエルさんが上目遣いで語りだす。

 くそ、かわいいなこの人!


「あのな?生魔大戦が終わった後にな?みんなで飲んでたんだけどな?エドのやつが『俺のエクスカリバーが一番強くてかっこいい!』とか言い出してな?」


 こ、この展開はもしや・・・


「ちょっとカチンときて『私の月光剣のほうが強いしかっこいい!』って言ったらな?じゃあどっちが強くてかっこいいか勝負だ!って話になってな?それで何十合か打ち合った果てに、ポキンと。」

「「エクスカリバァーーーーー!!」」


 エクスカリバー、酔っ払いのケンカに巻き込まれ、死す!

 つーかそれ『折れちゃった☆』じゃなくてあんたが折ったんじゃねぇか!


「何やってんすかノエルさん!」「ちょうもったいないんですけど!バカじゃないの!?」

「あー、怒った!怒らないって言ったのに怒った!」

「い、いや、怒ってないっすよ。俺怒らせたらたいしたもんですよ。」

「つーか私はそんなこと言ってないしー?」

「うぅぅぅぅぅ・・・・・・折れるやつが悪い!」

「「えぇ~・・・」」


 まぁ対決自体は両者合意の上みたいだから別にいい・・・のか?


「それに今はエクスカリバー3がイナルファ王国に保管されているから問題ないの!」

「「エクスカリバー3!!」」


 なにそれ意味わかんないけどちょうかっこいい!


「え、なに、どういうこと?」

「エクスカリバーの魔剣としての特性は『剣先から魔力を飛ばす』と『自動的に修復する』だ。だから折れたとしても時間さえ経てばそのうち復活するんだ。」

「なるほど。あれ、でもどうして王国に保管されているです?元々そのエドって人の剣だったんでしょ?」


 俺の発言ににがーい顔をするノエルさん。


「これは表には出ていない話なんだが、エクスカリバーを受け継いだエドの息子が途轍もないバカで、エクスカリバーでダンジョンコアを破壊したんだ。」

「ダンジョンコアって、ダンジョン作るやつ?」

「そう、それ。」

「それだけで没収ですか?けっこう王国もエグいですね。」

「そりゃそうだ。賠償金10億パルだからな。」

「「じゅ・・・!?」」


 10億パルって、100億円じゃねぇか!


「な、なんでそんなことに?」

「ダンジョンがあれば人が集まる。人が集まれば金が動く。金が動けば・・・」

「そのダンジョンを管理している場主が儲かる、と。」

「そういうこと。だからこその莫大な賠償金だ。しかし、そんな大金は個人で払えるわけないからな。仕方ないから百歩譲ってエクスカリバーよこせよ、という流れだ。」

「こえー異世界こえー。」

「さきねぇ、絶対ダンジョンコアに手出さないでね。異世界で借金まみれとか無理っすよ俺。」

「そこは、ほら。愛で。」

「愛があるなら最初からダンジョンコアに手を出さないで!」


 獅子は我が子を崖の下に突き落とすというが、姉は弟を借金の海に叩き落すらしい。姉怖すぎ。


「んでさ。結局なんでエクスカリバーは3になったの?」

「知らん。折れた断面がくっついて元通りになったら3になってた。」

「うそーん。そこ適当なんだ・・・」

「ま、とにかくそういうわけで魔剣エクスカリバーは個人で手に入るようなもんじゃない。生魔大戦に近い規模の戦が起きない限り、ずっと王宮の宝物庫の中で埃をかぶってる骨董品さ。」

「良いんだか悪いんだかわかんないわねぇ。」

「良いことなんじゃない?強力な武器が現時点では必要ないってことなんだし。」


 それなりに平和ってことっすよ。良き哉良き哉。


「いやー、しかし惜しかったなーエクスカリボー。」

「どんだけ気に入ってんのよ。」

「いや、持った感じかなりよかったよ。俺みたいな棍棒をメイン武器にしてるコンボニストには垂涎のアイテムだったね。もちろんスマート棍棒だっていい棍棒なんだけど。」

「168年生きてて初めて聞く単語だなコンボニスト。そんなに気になるんなら買ってしまえばよかったんじゃないか?」

「さすがにあんな大金はとてもとても。同じ値段だすならさきねぇのプレゼント買いますよ。まぁ良品との出会いは一期一会ですからね。今回は残念ですけど諦めますよ。」

「ふむ・・・」




 後日。

 前評判から一転、誰も買わない超高級なクソアイテムと成り果てアルゼンの話題を掻っ攫った聖なる魔棒エクスカリボーだが、いつのまにか店頭から消えていた。

 店主が言うには、ある美少女が家族へのプレゼントとして現金一括で購入していったらしい。

 誰が購入したかがわかるのは、もう少し後のこと。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


エクスカリボーを買ったのは一体誰なんでしょうね?気になりますね!

あと、エクスカリバー3とかあたまのわるそうななまえをかんがえついたのは、わたしがじんるいはつじゃないかとおもいましたまる

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