第百五十八姉「わかっちゃったんすか。コンビニ知らないのにすごいですね。」
今回の話は後日大幅改稿するかもしれません。
・・・・・・あーマリーシアさんが空飛んでる。・・・落ちた。すごい水しぶき。
そして爆笑してるさきねぇと水死体みたいに浮かんでるマリーシアさんとびびってる冒険者たち。
なんかファミコンのく○おくん思い出しちゃったよ。
横を見ると顔を真っ青にした女性冒険者さんたちが。
「あのー、悪いことは言わないから、逃げたほうがいいですよ?次は多分あなた方かと。」
「「ひぃ!?」」
悲鳴を上げ脱兎のごとく走り出す女性冒険者さんたち。
良いことをしたなぁ、俺。
≪聖杯水≫を飲んでいるとさきねぇが戻ってきた。
「さっきの発情した雌豚どもは?」
「どっかいっちゃった。」
「そう。でも、どんな手を使ってでも今すぐ捕まえてコキャ!っとしてやるわ・・・」
「怖いよ。なんか弟さんが急病になったんだって。」
「あら、そうなの?じゃあ仕方ないわね。無事に逃がしてやりましょうか。」
さきねぇは弟持ちの姉には比較的優しいのだ。
「よーし、じゃあせっかくだしアート・オブ・サンドキャッスルでもしましょうか!」
「いいね!」
アート・オブ・サンドキャッスルとは、簡単に言えば砂のお城である。
ただ、普通の砂のお城とは違い、東京タワーだのナイアガラの滝だの世界的建造物を作ることが多い。
故に『アート・オブ・サンドキャッスル』。
うん、よくわからんね。
その場に座り込み、砂を集める。
「今日は何がいいかしらねー?」
「前は俺のリクエストで天空の城作ったし、さきねぇにお任せ。」
「じゃあ~・・・・・・東大寺正倉院!」
「・・・またマニアックなものを。いいけど。」
正倉院ってどんなのだっけ?
たしかねずみ返しの高床式倉庫みたいな感じだった気がするが・・・正直覚えてない。
まぁいいか。適当にそれっぽいものを作ろう。
問題はどうやって砂で高床式を作成するかだ。
「二人で何をやってるんだ?」
「おーエルエル。」「あ、ノエルさん。お疲れ様です。」
考え込んでいると、ノエルさんから声をかけられる。
薄手のワンピースに麦藁帽子、いわゆる『深窓のご令嬢』スタイルに着替えたようだ。
しっかし相変わらずかわいいなこの人。
さすが異世界でかわいさナンバーツーの実力の持ち主。
一番は姉さん。
もう一度言います。
一番は姉さん。
大事なことなので二回言いました。
「今はアート・オブ・サンドキャッスルやってるのよ。」
「あ、あーとおぶさんどきゃっする?なんだそれは?」
「つまるところ、二人で砂のお城を作って遊んでる感じです。」
「ああ、なるほど。・・・ふむ。」
ノエルさんは考え込むと、俺たちから少し離れる。
どうしたんだろう?
「・・・よし、準備完了。いくぞ、≪砂上王都≫!」
ノエルさんの手から魔力が砂浜に流れ込む。
すると。
「「おおっ!」」
「・・・ふ~、どうだ。すごいだろう?」
そこには砂でできた立派なお城ができていた。
ノエルさんもドヤ顔だ。
しかし。
「・・・はぁ。」「あはは・・・」
さきねぇは大きなため息をつき、俺も苦笑い。
「・・・む。な、なぜそんな顔をするんだ?すごいだろう?」
「これだからモテない女は困るわ・・・」
「な、なんだと!?」
さきねぇの発言に衝撃を受けるノエルさん。
「あのね、いいエルエル?こういうのは『どれだけ立派なものを作るか』が問題じゃないの。『二人で色んな話をしながらどうやって何を作るか』なのよ。わかる?言ってみれば、今のエルエルは『恋人同士が二人並んで料理を作ってる横で、1500円のコンビニ弁当超おいしい!』って言ってるようなものよ?」
よくわかるような、全くわからないような?
しかし、ノエルさんは砂浜にorz状態だ。
「言っている意味はよくわからないが、なんかよくわからん感じでダメなのはわかってしまった・・・」
「わかっちゃったんすか。コンビニ知らないのにすごいですね。」
その後、三人で仲良く東大寺正倉院を作りました。
そのまま遊ぶこと数時間。太陽も少しずつ沈みだした。
「さて、遊ぶのも終わりにして、そろそろキャンプに戻るか。」
「「はーい。」」
俺たちの目の前には砂で出来た見事な東大寺正倉院 (っぽいもの)がそびえたっている。
最初はこじんまりとしたものだったが、さきねぇとノエルさんが全力を出した為に物置くらいの大きさにまでなってしまった。
真剣な表情で砂の微調整をする二人の顔はまるで歴戦の職人のようだった。
「全員しゅうごーう!帰還の準備をせよー!」
「はーい!」「おう!」「了解しましたー!」
さきねぇのでかい声に周囲から返事があがる。
「一番遅かったやつが罰ゲームね!スタート!」
「「「「「!?」」」」」
そう言うやいなや走り出すさきねぇ。俺も後を追うように走り出す。
後ろを見ると必死の形相で走っている冒険者たちの姿が。
何されるかわかんないしな・・・そりゃ必死にもなるか。
「さて、今日の食事は何にするか。」
「そうねー、せっかく鉄板もあるし今日は焼肉にしましょう!Y・K・N・K!Y・K・N・K!」
「まぁ肉は魔法袋の中に大量にあるしな。そうするか。」
さきねぇとノエルさんが今日の献立について話し合っている中、俺含むほとんどの冒険者は息も絶え絶えとなっていた。
「はぁ、はぁ・・・ヒイロ、あいつ、なんなんだよマジで・・・」
「さきねぇは、はぁ、さきねぇという名の、完成された、はぁ、芸術品ですよ・・・」
「きゅ~・・・」
「ク、クリスくん・・・気を、しっかり、持つっす・・・」
クリスは気絶しかけてるし、スレイも死にそうになっている。
D級で最上位の実力を持つ獣人のヴォルフですらかなりの疲労が見える。
まぁ海で遊んだ後に1km近く猛ダッシュとか完璧バカの所業だからね。
「そういや最下位は誰ー?」
「あー多分ラウルさんです。途中でゲロ吐いてたんで。」
「あのおっさん、もしかして海で酒飲んでたんじゃないだろうな。死ぬぞ。」
「連れてきます?」
「ちょっと見てきてあげて。」
「はい!」
スレイと同じくらいの年の若い冒険者におっさんの救助を頼む。
お、俺だって若いけどね!
「ヒイロー、岩をいくつか集めてくれるか。岩を熱してそれで肉を焼こう。」
「何ソレすげぇ!スケールでけぇ!さすがノエルさん!」
「私のアドバイスよ!私の!」
「私のアイディアだろうが!でしゃばるなムラサキ!」
二人でキーキー言い合ってる間に手ごろな岩でも持ってきますかね。
そして、鉄板と焼けた岩を使った焼肉パーティーが開催される。
辺りからは肉の焼ける音と匂いが充満する。
「今日は焼きそばだったりかきごおりだったり焼肉だったり、すごい豪勢ですね兄さん!」
「ああ、しかも無料だしな。『破軍炎剣』様様だな。」
「クリスくん、お肉持ってきたっすよ!」
「む、助かる。さっそくお師匠様に献上しなくては!」
「ちょっとくらいヒイロさんといちゃいちゃさせてくれたっていいじゃねぇかよー!金なら払うからよー!」
「マリーシア、お前もうBBAなんだから年相応に落ち着けよ・・・」
思い思いに楽しんでいるようだ。良き哉良き哉。
そう思いながら肉を焼いていると。
ボワァァァァァァ!
「何事!?」
「姉事!」
笑顔のさきねぇではあるが、キャンプ地の中央に火柱があがっている。
・・・あーもしかして。
さきねぇが微笑みながら俺に手をそっと差し出す。
そして、その手を取る。
「「てててっててててててってって~♪」」
キャンプファイヤーといえばコレですよね。
二人で踊っていると。
「俺らも混ぜろよ鈍器姉弟~!」
酔っ払った冒険者たちが混ざってくる。
俺とさきねぇは顔を見合わせ、笑いあう。
「お前らー!さっさと混ざれやー!」「みんなで踊りましょ-!」
全員が適当な音楽を口ずさみ、適当な振り付けで踊るというカオスな祭りが開催されたのだった。
とても楽しかったです。
楽しいバカンスを過ごした後、アルゼンに帰還した俺はすぐに飲み会という名の合コンを開く準備に追われることになるのだが、それはまた別の話。
約束はちゃんと守る男、初月緋色です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。
これにて19章の終了です。かなり駆け足でしたね。
そしてすいません。ちょっとお休みをいただきたいと思いますので、次回更新は八月後半予定となります。




