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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第十九章 海だ!水着だ!あと旅行と魔物と・・・変態だ!?編
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第百四十九姉「「いつも隣に(姉)(弟)がいるからね!」」

三件も評価いただきました。ありがとうございます。

最近「これ、読者さんは面白いと思って読んでくれてんのかな……」と不安になりながら書いているので励みになります。ネガティブ~ん

 ありがたやありがたや。

 いつか時間が出来たら1/10玄武さん像でも木彫りで作りたい。手先ぶきっちょだけど。




 そのまま走り続けること十数分、アルゼンの門が見えた。

 砂埃を上げて爆走する俺たちを見た門番さんたちは最初はギョッとした顔をしていたが、俺たちだとわかると『またあいつらかよ』的な苦笑いで迎えてくれた。


「おーい、鈍器姉弟ドンキーブラザーズー!もうちょっと人間っぽく登場してもらえると助かるんだがー!」

「無理!」

「拙者ら、急ぎの用事があるで候。しからば、御免!」


 キーン!と門番さんたちの横を走りぬける。


「あいつらはいっつも楽しそうでほんと羨ましいよ。」

「全くですね。なんであんな楽しそうなんでしょうね。」

「「あっはっはっは!」」


 そんな笑い声が聞こえたので、俺はさきねぇと同時に振り返る。

 そして。


「「いつも隣に(姉)(弟)がいるからね!」」


 足を動かしつつそう叫ぶ。

 後ろからはまた大きな笑い声が響いたのだった。




「オラァ!このギルドはあたしたち姉弟が占拠したぁ!開放されたければ特別クエストの詳細を教えるとともに、そのメンバーに加えなさい!」

「ガガガガガガ!」


 ギルドのドアを蹴破り中に突撃する俺たち姉弟。

 俺はエアアサルトライフル(つまり空気)を構え、口で銃を乱射する。

 ギルド内にはこの暑さにしては大勢の冒険者がいたが、最初はびっくりしつつも『あーなんだ、またこいつらか』みたいな顔をされる。

 門番さんといい、なぜみんなそんな顔をするんだ。

 そんなにいつもアホなことばっかしてるかな?


「・・・ムラサキさん、そのドア、修理するか弁償してくださいね。」

「わかったわ。後で『ギルドのドアを直せ!』って依頼だしとく。」

「・・・まぁそれでもいいですけど。」


 マリーシアさんは『クソ暑いのにめんどう起こすんじゃねぇよ・・・』とでも言いたげな顔だ。

 ごめんね。


「すいませんマリーシアさん。なんでも特別クエストがあるという噂を小耳に挟みましていても経ってもいられず。」

「お気持ちはわかりますけどね。」

「そんなことより、海クエストの詳細キボンヌ!」

「・・・ふぅ。えー、ある貴族の方の領地の中に海辺があってですね。そこ周辺の魔物退治と草むしり、伐採なんかをしてもらう依頼です。いっときますけどかなりきついですよ?毎年熱中症とか脱水で倒れる冒険者続出ですから。生息する魔物もD~E級ですし。」


 草むしりとか機械ないと嫌だな。腰にくるし。


「どうするさきねぇ。草むしりあるってよ。」

「ふっふっふ。ヒロ、あなたは日本史で何を学んできたのかしら?」

「は?日本史?」


 なぜここで日本史?


「我が大日本国には焼き畑農業という歴史ある技術があるじゃない!」

「なるほど。一面を焼いて雑草という雑草を根絶やしにしようというわけですね姉上。文字通り海辺を火の海にすると。いいですね、アリだと思います!」


 はしゃいでいる俺たちとは裏腹に、ドン引きしている冒険者たち。


「あの、悪魔みたいな提案で盛り上がっているとこ悪いんですけど、今年は応募殺到なんで抽選ですよ?」

「そこはほら、マリすけの腕の見せ所でしょ。『賄賂上等マネーマネーマネー』の二つ名を持つマリすけの!」

「ちょっと待ってほんとやめて何その二つ名初耳なんですけどぉ!?」


 必死に否定するマリーシアさん。

 しかし、否定すれば否定するほど怪しく思えてくる法則。

 さすがにかわいそうだから俺も助力してやるか。


「さすがに「そもそも私が参加することは決まってるんですから!」・・・なんで?抽選ですよね?」


 マリーシアさんはすぐに口をさっと抑える。


「・・・抽選はマリーシアさん以外の人にやってもらったほうがいいんじゃないっすか?」

「スレイがいいことを言った。賛成の人ー。」


 居合わせたスレイの発言を使って決を採る。

 一斉に手を上げる冒険者たち。


「いやぁぁぁ!私の夏休みがぁぁぁぁぁ!せっかく有休とったのにぃぃぃぃぃ!」

「悪の栄えた試しなし・・・」


 床に崩れ落ちるマリーシアさんと、勝ち誇るさきねぇ。

 いや、勝ち誇ってるけど、結局何も解決してないからね?


「なんでギルドのドアがなくなってんだ?」

「何かあったんでしょうか?」

「つっても、どうせまたムラサキなんだろうけどな。」


 聞きなれた声が聞こえるので目を向けると、我ら姉弟の友人であるヴォルフとカチュアの兄妹がちょうどギルドに入ってくるところだった。

 ヴォルフは見慣れたモノを担いでいる。


「おっすヴォルフ。カチュアさんもこんにちわ。」「ぼるきち、ちゅーべえおっつー。」

「ようヒイロ。お届けモノだ。」「こんにちわヒイロさん、ムラサキさん。」


 ヴォルフが肩に背負っていたモノを床に下ろす。

 その正体は目がグルグルと渦巻いているクリスだった。


「なんか『ボクは自分に勝たなきゃいけない!』とか意味不明なことほざいてたから危ない薬でもやってるのかと思って一発ぶん殴って止めといたぞ。」

「さんきゅー。」


 クリスに≪聖杯水アクアホーリー≫を飲ませる。

 なんか俺、いっつもこいつに≪聖杯水≫飲ませてんな。


「うぅ・・・ここは?」

「ギルドだ。よく頑張ったな。」

「え!?ボクは確かアルゼンについて・・・それからどうなったか覚えていないのですが。」

「それは・・・」


 チラッとヴォルフを見ると、すでにさきねぇから特別クエストの話を聞いて『俺たちもいくぞ!』と意気込んでいる。


「・・・無意識のうちにギルドまで走ってきたらしいぞ。お前の勝ちだ!」

「!? あ、ありがとうございます!」


 こいつ、ほんとにいつか騙されそうで怖いな。


「とりあえずクリスのおかげで特別クエストのエントリーに間に合ったよ。ありがとうな。」

「お師匠様のお役に立てて光栄です!」

「ハイハイ、落ち着いて!」


 お、ラムサスさんだ。


「特別クエストはちゃんと抽選でやるから大丈夫!もちろんマリーシアも!」

「そ、そんな!?裏切りましたね支部長!」

「とりあえず私とヒロは抽選なしで参加確定でいいんじゃない?」


 さきねぇの発言に、さすがのアルゼン冒険者たちもざわめく。


「おいおいちょっと待てよ鈍器姉ぇ!」「横暴だ!」「いくらムラサキさんでも今回は譲れねぇ!」「断固抗議するー!」「なんでムラサキさんとヒイロさんは参加確定なんだ!」

「ん~・・・だってさ。」


 さきねぇは人差し指を頬に当てて首を傾げる。


「この場にいる冒険者全員より、私とヒロ二人のほうが強くない?」

「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」


 冒険者たち、絶句!

 いや、確かにそれは事実だろうけども・・・身も蓋もないっていうか・・・

『パンがなければ、ドラ焼きを食べればいいじゃない?』とでもいいたな表情。

 久しぶりに女帝ムラサキ様の顔を見た。


「ちゅ、抽選!抽選でやります!大丈夫です!問題なし!」


 どんよりしだした冒険者たちに必死に平和アピールをする俺だった。


「じゃあさ、じゃんけんでよくね?カツラムサス支部長が前に出てじゃんけんやって、負けたやつが脱落していく感じでさ。」

「それだと必要人数より多かったり少なかったりするだろ?」

「良い感じに減ったら個人戦に切り替えんのよ。そして、残った席を賭けて個人戦で負けたやつを集めて敗者復活戦をやる!ただクジひくよりドキドキワクワクでしょ?」


 さきねぇの提案に悩むそぶりを見せるラムサスさん。

 冒険者たちからは『じゃんけんなら自分で勝ち取った感もあるな』『最初に支部長がじゃんけんやるならムラサキさん贔屓もないだろうし』『いいんじゃない?』『そっちのほうが楽しそうだしね~』と賛成の声が上がる。

 楽しさが最優先という素晴らしい考え方のアルゼン冒険者たちだった。


「・・・(ふむ。じゃんけんならクジを用意しなくてすむしな。そっちのが楽か。)わかった。ならじゃんけん大会にしようか。実行は明日の昼に訓練場で。知らなくて参加できなかったという冒険者は情報収集力不足と運がなかったということで。今日は解散!」


 ラムサスさんの発言を受けて冒険者がゾロゾロとギルドから出て行く。

 ・・・みんな知らないんだよなーさきねぇの異常なまでのじゃんけんの強さを。

 まぁどのみち俺たちが海で遊ぶのは確定してるんですけどね!うふふ。



ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


次話は150話なので、いつもどおり作者の自己満足企画である『よくわかるあねおれ』3です!

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