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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第十八章 絶対必勝!四天王の名に賭けて!編
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第百四十七姉 番外編『その時のスレイ・エンハンスくん』

二日間でブクマが40件近く増えました。なんでだろう?なろうはFX並みに先が読めません。

そして、ブクマが1300となりました。ありがとうございます。

ブクマだけでなく、感想や評価をいれて応援してくださる方もちらほら。心の支えです。頑張ります!

ブクマが1000超えて感想も100件突破したので、次は目指せ評価人数100人突破!

とはいえ、自分の書きたいように書くだけなんですけどね(笑

これからもあねおれと初月姉弟をよろしくお願いいたします。


冒険者暦的には先輩だけど、なぜか後輩としてヒロくんに可愛がられているスレイくんのお話です。

なぜこのタイミングでスレイなのかというと・・・?

 俺の名前はスレイ・エンハンス。

 アルゼン生まれアルゼン育ちの冒険者だ。

 冒険者になってちょうど三年くらいだが、アルゼンのE級冒険者の中では最強・・・だった。

 過去形なのは、俺が背伸びしようとまるで届かない姉弟冒険者が現れたからだ。

 その名前はヒイロ・ウイヅキさんとムラサキ・ウイヅキさん。

 俺の尊敬する二人だ。

 今でこそ尊敬しているが、最初の第一印象は最悪だった。

 それまではアルゼンのE級冒険者といえば俺だったにも関わらず、初めての冒険で新しい遺跡を発見したとかで一気に有名になり、でかい顔をし出した。

 いや、実際はそんなことはなかったんだろう。ただ俺がそう思ってしまっただけで。

 初めて顔を合わせたのは、発見された遺跡の調査でギルドから指名された冒険者が集まった時だ。


 ~~~~~~~~~~~


 集まったやつらが探索隊のリーダーである『破軍炎剣バーニングピアス』ノエル様と対面し緊張している中、遺跡を見つけたとかいう駆け出し冒険者の姉弟は二人でいちゃいちゃしていた。

 その様子にイラッとして声をかけた。


「おい、おま「気安く触んな。」ぐはぁ!」


 俺は女の肩に手を置き、ぐいっとこっちを向かせた瞬間にぶん殴られた。

 油断していた自覚はあったが、激痛を感じた以外に何が起こったかわからなかった。

 気付くと俺は壁に叩きつけられて鼻血を出していた。


「て、てめぇ!女のくせに!」

「女のくせにとか(笑)考え方古すぎて超ウケるんですけど!完全に童貞です本当にありがとうございました。」

「な!? 女風情が生意気なぐふぅ!」


 気づくとまた殴られて吹っ飛んでいた。


「あんた年下でしょ?だったら女がどうこう言う前に私に敬語を使え。話はそれからだ。」

「こらムラサキ、遊ぶな。」

「えーでもこいつが先にからんできたんですけど~。」

「違う。遊ぶなと言ったんだ。そういうタイプは遊ぶと後々までからんできてウザいから、やるなら最低でも教会送りにするレベルでやれ。」

「なるほど!つまり逆らう気がなくなるくらいボコボコにしてやれってことね!さすがエルエル!頭いい!」

「ギャァァァァァ!」


 ~~~~~~~~~~


 懐かしいな、今でも目を閉じればすぐに思い出せるぜ。

 ムラサキさんにケンカ売るとか、もし過去に戻れるなら今すぐ戻って泣きながら止めてるレベルだ。

 E級最強と言われてた俺が冒険者になったばかりの新米F級冒険者にボコボコにされたのを見て、他のやつらがムラサキさんたちにからむことはなかった。

 その後遺跡に向かったんだが、その時もすごかった。

 出てくる魔物をムラサキさんがハンマーを振り回して片っ端から叩き潰していくんだ。しかも無傷で。

 俺も『現れた魔物を一人で全部倒せ』と言われればできたが、無傷でできたかどうかは怪しい。

 いや、あの時の俺は天狗になってたからな。多分できなかっただろう。

 森の奥地に着く頃にはムラサキさんとの実力差がはっきりしすぎていて、口ではグダグダ文句を言っていたが心の中ではムラサキさんに対抗しようなんて考えは微塵もなくなっていた。

 遺跡についたら、まずはキャンプ地を作る。

 遺跡探索チームが遺跡の中に入った後のキャンプ地守護が俺たちに与えられた任務だ。

 F級冒険者であるムラサキさんがリーダー的に振舞っていたが、道中の戦闘力を見ていた俺たちはそれに難癖をつけることはなかった。

 そこで、ムラサキさんが休憩で姿を消した時を見計らってヒイロさんに声をかけたんだ。


 ~~~~~~~~~~


「お前、あの女の弟なんだってな。」

「ん? ああ、そうだよ。さきねぇに殴られた傷大丈夫だった?一応治したけど。」

「・・・ああ、大丈夫だ。」

「ごめんね、ちょっとやりすぎちゃう人なんだ、さきねぇは。まぁ最初にケンカを売ったのはそっちだから、痛みわけってことで許してほしいな。」

「ちっ。お前、ちょっと魔法が使えるからって調子にの「あ、ちょっと待って。≪水鋭刃≫×4!」


 いきなり魔法を使いやがったなにしやがんだ!と思い後ろを振り向くと、突然現れた(俺たちに奇襲をかけようとしたらしい)リトルワニ4匹の首が切断されていた。


「危なかったね。・・・あ、いっぱいきた。しゃーねぇ、MP節約もしなきゃいけないし、いっちょガチンコでやりますかね。」

「・・・え?お、おい!」


 俺は森の奥から現れた大量のリトルワニの群れに向かっていくヒイロとかいう男の後を追った。


 ~~~~~~~~~~


 いやーすごかったなヒイロさんも。

 魔法使いって、コソコソ人の後ろに隠れて魔法を撃っておいしいところだけをもってく自信過剰の陰湿野郎だと思ってた。

 実際、俺が出会ったことがあるヒイロさん以外の魔法使いはそんな感じだったし。

 にも関わらず、ヒイロさんはリトルワニの群れに棍棒持って突撃!リトルワニどもを殴って蹴って叩いて投げて!

 無傷とはいかなかったけど、襲ってきたリトルワニの半分以上はヒイロさん一人で倒してしまった。

 しかも、戦闘後にそれを誇らなかった。

 逆に『皆さんのおかげです。』とか『ありがとうございます!』とか言いながら他の冒険者たちの傷を回復魔法で治して回るほどの余裕を見せてた。

 しかも治療費はタダ!

 ああいう人を『かっこいい』って言うんだろうなって生まれて初めて思ったね。


 女性にも関わらず圧倒的な戦闘力を誇るムラサキさんと、魔法使いにも関わらずそれを自慢することもせず、いつも笑顔でみんなに優しく接するヒイロさん。

 この人たちを見て、俺もああなりたいって思えたんだ。




 それから数ヶ月経った日のこと。

 ギルドで今日のクエスト何にしようかな~なんて思っていた時。

 その人に会ったんだ。


「失礼する。」


 そんな言葉と共にギルドに入ってきたのは、とてつもない美少女だった。

 絹のような金髪。整った顔立ち。自信満々!といった表情。

 そして、にじみ出るほどの高貴なオーラ。

 服装からして魔法使いみたいだけど、どこかの貴族のお嬢様だろうか。

 誰かを探しているのか、それとも初めてギルドに来るのか、キョロキョロと辺りを見回している。

 声をかけたい・・・しかし貴族だったらどうしよう・・・

 周りを見ると、ほかの冒険者たちも同じような顔をしている。

 クソッ・・・何か、何かキッカケがほしい!

 そんな俺たちの思いとは裏腹に、美少女は残念そうな顔をした後、スタスタと受付にいってしまう。

 ちくしょう、ここは『すいません、私、ギルドにくるのが初めてで・・・』とかいって俺に話しかけるべきだろうに!

 しかし、精霊王様は俺を見捨てていなかった。


「いいか?」

「は、はい、なんでしょう?」

「おししょ、いや、ヒイロ・ウイヅキ殿がどこにいらっしゃるか知りたいのだが。」

「・・・え?ヒイロさん、ですか?」


 マリーシアさんと女の子の交わした会話を聞いた瞬間、俺は走り出していた。

 チラッと横を見ると『クソッ、出し抜かれた!』といった冒険者の顔が。

 ふふふふ、アルゼンの冒険者でヒイロさんと仲の良い冒険者といえば、あのヴォルフとかいう強いけどいけ好かない獣人か、よく食事に連れて行ってもらったりクエストを手伝ってくれたりと色々可愛がってもらっている俺だろう!


「俺ヒイロさんと仲良いから俺が話きくよまずは食事でも一緒にどうかななんでも奢るよ俺はボーボー鳥のからあげなんか好きだけど君は何が好き!?」

「む?」


 俺の必死さにちょっとひいてしまったようだ。

 でも、こんなかわいい女の子に初めて会ったんだ!しょうがないんだ!俺年下好きだし!

 これぞ一目ぼれ!まさに理想の女の子!


「・・・キミは?」

「あ、ごめんね!俺はスレイ・エンハンスっていって、冒険者やってるんだ!冒険者暦は三年くらいだけど、もうすぐD級に上がる(予定の)人気赤丸急上昇中のナイスガイさ!」


 俺の最高の笑顔がすごい不審な目で見られてる・・・が、それも快感!

 いつもヒイロさんにそっけなくされてるのに気持ちよさそうな顔してるマリーシアさんの気持ちがわかってしまった。


「・・・おし、ヒイロ殿との関係は?」

「俺とヒイロさんはとっても仲良しでよく一緒に遊びにいったりするんだ!クエストも一緒にやるし、いってみれば俺はヒイロさんの弟子みたいなものさ!ヒイロさんのことならなんでも聞いてよ!」

「・・・ハッ。嘘だな。」

「・・・え?」


 金髪美少女が急に勝ち誇った顔をする。

 な、なんだ?


「じゃあ、ヒイロ殿の好きな魔法は?」

「えっと、アクアホー、え!?好きな魔法!?得意な魔法じゃなくて!?」

「そうだ。好きな魔法だ。」

「え、えっと・・・」

「好きな魔法は≪水鋭刃アクアチャクラム≫だ。じゃあ一度に出せる枚数は?」

「え・・・っと・・・」

「両手で八枚だ。だが八枚全部出すと命中率が下がるらしいので、大体は四枚で使われる。八枚でもかなりの命中率なのだがな!」

「・・・・・・」

「しかもあの威力、あの速度、あの命中率、あの複雑な動きに反して魔法消費量は≪水球ウォーターボール≫並みという素晴らしいお師匠様の独自魔法なのだ!まいったか!」

「・・・・・・は、はぁ。」


 すごい得意げなドヤ顔をしている美少女。

 なんでこんなにヒイロさんの魔法に詳しいの?もしかしてヒイロさんのストーカーかなんかだろうか?

 うらやましい・・・

 はっ!もしや、噂に聞く『ヒイロくんを愛でる会』の会員なのか!?

 誰が会員なのか、会員数はどれだけいるのか、どこで会議が行われているのか等、その全てが謎に包まれており『存在するらしい』という噂のみが一人歩きしている秘密結社だ。

 ほんとに存在したのか。つーか、存在するにしてもBBAしか会員はいないと思い込んでた。

 こんな若い子もいるのか~。


「そして君の言葉が嘘であるもう一つの理由。それは・・・このボク、クリス・ウル・クリフレッドこそヒイロ師匠の本当の弟子だからだ!」

「「「「「ヒイロ(さん)の弟子!?」」」」」


 周りが一斉にざわつく。


『ヒイロに弟子って初耳だぞ』『しかもこんな美少女が弟子・・・エロい』『つーかクリフレッドって、魔法使い随一の名門っつーあそこ?』『確か貴族だよな?』『美少女魔法使いでボクっ子とかどストライクなんですけど』


 俺もヒイロさんに弟子がいるなんて初めて聞いたぞ。

 しかもこんなかわいい女の子・・・どうして俺に教えてくれなかったんですかヒイロさん!

 ヒイロさんにはムラサキさんがいるんだから、俺に紹介してくれてもよかったじゃないですかぁぁぁぁぁ!

 あと、美少女魔法使いでボクっ子、アリだと思います。

 そんな時だ。


「ちーっす。お疲れ様でーす。」

「・・・おししょーさまー!」


 ヒイロさんの声が聞こえたと思ったら、美少女は笑顔で突然走り出し、なんとヒイロさんに抱きついたのだ!

 なんて恐ろしいことを・・・ムラサキさんに見つかったら殺されるぞ!

 しかし当の美少女はヒイロさんと本当に楽しそうにしゃべっている。

 ヒイロさん・・・ムラサキさんという女性がいながら、ずるいっす・・・

 すると、何かに気付いたような感じのヒイロさんがこちらに来て、一言呟いた。


「ぼそっ(おい、あんたら。こいつ、男だぞ?)」


 ・・・おいおい、そんなバカなことがあるはずがないだろう。

 こんなかわいいのに、男?

 それじゃ俺は男に一目ぼれした変態じゃないか。

 さすがの俺でもちょっと看過できない発言ですよ。


「ヒロー見て見てー!このアクセサリー5000パルだったのに説得したら、なんと!50パルで買えたのー!おっかいどくー!」


 ちょうどムラサキさんがギルドに入ってきた。

 やっちゃえムラサキさん!ヒイロさんに地獄を見せるんだ!

 俺たちの期待を一身に背負ったムラサキさんだったが。


「お?どしたん?・・・あークリボーじゃない。相変わらず男か女かわかんない顔してるわね!」

「ほっとけ!・・・全く、お師匠様の姉君でなければ許していないところだ。」

「ふむ・・・私はヒロの姉。そしてあんたはヒロの弟子。なら私のことはグランドマスターと呼びなさい。」

「断る!」

「なにおー!?」


 ムラサキさんが一切気にかけない、だと?

 ということは。

 つまり、この美少女は・・・


「そ、そんな・・・あんなかわいい子が、男だったなんて・・・」


 俺は床に手を突き、項垂れる。

 さよなら、俺の、遅すぎた初恋。

 おれはめのまえがまっくらになった・・・



ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


というわけでクリス絡みでした。

そのうちリムル→スレイ→クリス→ヒロくん→ムラサキさんという恋(?)の五角形話でも書きたいですね。そんな集まりがあったら世話焼きのヒロくんだけ胃が痛い状況ですが。


クリスって結局男なんですかね?女なんですかね?どっちなんでしょうね?

なんてね!じゃーんけーん、ぽん!ウフフ!

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