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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第十八章 絶対必勝!四天王の名に賭けて!編
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第百四十四姉「うむ、未熟であることを知ることが未熟を脱するための近道である。励め。」

アルゼン四天王について感想をいただきました。

しかも(作者的に)かなり面白いネタをひっさげて。読んだ時、思わず爆笑してしまいました。

その手があったか!すげーぜあねおれ読者!

勝手に話をすすめるさきねぇと話を受けるシナチク四天王。

『ムラサキさん決闘だってよ!』『やべぇ超面白そう!』『おい、他のやつらにも教えてやれよ!』と外野が騒ぎ出し駆け出していった。




 次の日。

 俺たちはアルゼンから西にちょっといったところにある岩場でシナチク四天王と対峙していた。


「逃げずによく来たわね!」

「そちらこそ、俺たちが勝ったら約束を守ってもらうぞ!」

「笑止!お師匠様は渡さん!」


 自信満々に腕を組むパープルムーンとクリス。

 この並んだ二人の美形っぷりを見ると姉妹といっても信じられそうだ。


「それで、最後の一人はどこにいるんだ?」

「ふふふ、いいでしょう!さぁ、いでよアルゼン四天王最後の一人よ!」


 その声とともに、近くに置いてあった馬車から人影が姿を現す。

 それは。


「・・・・・・」シュコーシュコー


『でーんでーんでーんでーででーんでーででーん!』という音楽が似合いそうな、黒い鉄仮面に黒い軽鎧、黒のブーツに黒いマントを羽織った、全身真っ黒なちっちゃい人物が現れる。

 ごめんなさい・・・こんな茶番に巻き込んで本当にごめんなさい・・・


「この男か女かわからない謎の美少幼女こそ、炎と断罪と謎の魔法美少幼女プリンセスにしてアルゼン四天王『憤土』!クリムゾンムーンよ!」

「・・・・・・」シュコーシュコー


 男か女かわからない人物多すぎるだろアルゼン四天王。

 しかも美少幼女って言っちゃってるし。


「はい、何か質問ある人いるー?」

「・・・いいか?」

「はい、そこのシナチク四天王の火の人!」

「・・・そいつ、『』なんだよな?」

「そうよ?」

「でも『』と断罪を名乗ってるのか?」

「いい質問ね!・・・他に質問ある人ー?」


 スルーかよ。


「じゃあ、はい。」

「はい、そこのモブ冒険者A!」

「えっと、その人って、謎っていうかノエぎゃぁぁぁぁ!」


 モブAが言葉を言い切ることはできなかった。

 なぜなら、一瞬にして炎に包まれ、火達磨になったからだ。

 よく見るとノエ、いや、クリムゾンムーンが手をかざしている。

 そして、指をパチンと弾くと炎が消える。

 残されたのは、炎で服が焼かれ全裸となり、アフロ姿でうつ伏せに地面に転がっている哀れなモブ男Aの姿だった。


「はーい、他に質問はー?」

「「「「「ありません。」」」」」

「よろしい。では決闘にうつりましょーう!」


 かくして、アルゼン四天王VSシナチク四天王の決闘が始まった!



「一回戦はー、火対決ー!どんどんどんぱふぱふー!」

「「「「「イェー!」」」」」


 さきねぇのノリに慣れているアルゼンの冒険者たちは、さっきの悲劇がなかったかのようにテンションが高い。

 ちなみに、周囲には冒険者以外にも街の住人も数多く見学にきており、串焼き屋のおっちゃんをはじめ、多くの屋台も店を連ねている。

 当初は賭博も考えたのだが、アルゼン四天王チーム勝利の予想倍率が1.001倍と賭け事にならないレベルだったのでやめた。


「このシナサス四天王、『火』のルビン様と戦うことになった不運なやつは誰だ?」

「その言葉、そっくりそのまま返してやろう!我こそはアルゼン四天王、『爆炎』のクリス・ウル・クリフレッド!尋常に勝負!」

「・・・え?」


 クリスの名乗りを聞き、固まる火の人。


「えっと、クリフレッドって、あのクリフレッド家?魔法四聖の?」

「我が家の勇名は庶民でも知っているようだな。まぁ当然だな!ふはははは!」


 だらだらと汗を流す火の人。

 まぁ高校デビューのヤンキーもどきが超有名芸能人の息子にケンカ売ってるようなもんですからね。


「あと、そいつ冒険者じゃないけど現時点で総合魔力Cだから。」

「そ、総合魔力C!?嘘だろ!?」


 俺の(余計な)情報伝達に汗が滝のように流れ落ちだす火の人。お顔が真っ青よ?

 哀れ・・・


「えーっと、えーっと・・・・あ!アイタタタタタ!」

「ど、どうしたんだ?」


 急にお腹を押さえて苦しみだす火の人。


「きゅ、急に腹痛が!イタタタタ!くそっ、これでは戦えない!悔しいが棄権するしかない!ちくしょう、なんて残念なんだーアイタタタタ!」


 必死だな。


「そうか・・・」


 そういうとクリスはくるっと俺の方へ向き直り、頭を下げる。


「お師匠様!大変申し訳ありませんが、この庶民を回復してやってはいただけないでしょうか!

「え?」

「彼も急な腹痛で戦えないなど無念でしょう!ならば、お師匠様のお手を煩わせることになってしまいますが、彼に全力で戦えるチャンスをあげてやってほしいのです!お願いします!」


 直角90度で頭を下げるクリス。ええ子やなぁ。


「い、いやいやいや!クリフレッド家の方にそこまでしていただく必要は!」

「大丈夫だ。君の熱い気持ちと無念さはボクにも十分伝わってきた!気にするな!」


 それ、絶対気のせいだから。

 その証拠に。


「ゲフンゲフンゲフンゲフン!(ムリムリムリムリ!ほんとに無理!絶対無理!頼む、伝われ!俺の戦いたくない想い、あいつに届け!)」


 とこっちを見ながら盛大に咳をしつつ顔を横に振り、一生懸命ヘルプを訴えている。

 しゃーない。


「クリス。戦いは常に真剣勝負。もし魔物と戦っているときに『腹痛だからちょっと待ってくれ』といったところで、魔物が待ってくれると思うか?」

「!! いえ、思いません。」

「だろう?体調管理も冒険者の仕事の一つだ。彼はそれを怠った。これで彼を回復したら、彼はどこかで同じことを繰り返し、いつか命を落とすかもしれない。厳しいかもしれんが、ここは心を鬼にして回復しないことこそ彼のためになるんだ。」


 もう自分でも何いってるかよくわかんね。

 しかし、クリスには何かが伝わったようで、なぜか感動しているようだった。


「・・・お師匠様がまさか彼の将来のことまで考えていたとは。お師匠様のお心を汲み取れなかった未熟な弟子をお許しください。」

「うむ、未熟であることを知ることが未熟を脱するための近道である。励め。」

「はい!ありがとうございます!」


 なんか俺すげー偉そうなこといってんな。まぁいいか。


「・・・バーンナッコゥ!」「グハァ!」


 突如さきねぇが火拳で火の人を殴り倒す。

 火の人、轟沈。


「はい、火対決はアルゼン四天王の勝利ー!」

「「「「「わぁぁぁぁぁぁぁ!」」」」」


 そして、火対決はまさかのパープルムーンの勝利となった。

 おい『疾風』。なにやっとんねん。


「火のルビンがやられたわね・・・四天王の面汚しめ。」

「フッ。しかしやつは四天王の中でも最弱。次は僕がいこう。」

「・・・ということで。次は風対決~!やっほー!」

「「「「「やっほーーー!!!」」」」」


 お決まりのせりふを言えてご満悦のシナチク四天王の風の人と土の人。

 そしてテンションの高いさきねぇと観客たちだった。


「えー、ここで一度休憩を挟みたいと思いまーす。天気が良い為、日射病や脱水にお気をつけくださーい。トイレは奥のほうに設置してありますので並んできれいにお使いくださーい。ちなみに女子トイレエリアに踏み込んだ男性は問答無用で魔法殺となりますのでご注意くださーい。」


 俺の掛け声に、一斉に動き出す観客たち。

 トイレにいったり串焼きを食べたり大道芸人の技を見たりと様々だ。

 しかし、この場には大勢の人がいるが、ムラサキファンクラブ、通称『MFC』の会員がボランティアで手伝ってくれている。

 正確には給金は出ないが、この試合が終わった後の打ち上げ会に参加できる=さきねぇと一緒に飲めるし、個人の活躍によっては握手もできるということもあって会員たちの士気は高い。

 そのため俺は指示を出していればいいだけなので心労は比較的軽い。戦いは数だよ姉貴!

 そして本来であれば敵の戦力分析をするべきなのだが、すでに一勝している上に次に控えるはさきねぇとノエ、おっと。クリムゾンムーンさんなので負けるほうが難しい。

 なので当然そんなことはせずに俺とさきねぇも串焼きツアーに精を出していた。

 うまうま。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


アルゼン四天王最後の一人、クリムゾンムーン参上!果たして、その正体は!?

まぁあねおれに『土』属性もった魔法使いって今までに一人しか出てきてないですけどね!

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