第百三十姉「なんか既視感というか、見たことあるような・・・?」
正直な話、ブランクのため前話は『こんな感じだっけか?』という感じで唸りながら書いていましたが、やっと調子が出てまいりました。
このままサクサク書けたらいいな。
そして 夜が明けた !
「ふぁ~ぁ・・・む、ムラサキ早いな。」
「いやー朝早くに目が覚めちゃってね!シャドーボクシングやってたわ!」
「元気なことはいいことだ。ヒイロは?」
「まだ寝てる。なんか心配すぎて夜遅くまで寝れなかったみたいよ?」
「そんなに緊張する必要はないと思うんだがなー?」
「まぁ自分と私、二人分の心配してるからね。しゃーなしよ。」
「それもそうだな。朝食まではゆっくり寝かせてやろう。」
「ヒロー、朝よー。朝ご飯食べてダンジョン攻略にいくわよー。」
「・・・・・・ぁぃ。」
うあー、寝た気がしねぇ。きっついわー。
なんとか体を動かし、顔を洗いリビングへ。
「おはようございますノエルさん。」
「おはようヒイロ。朝食を食べたらアルゼンにいって馬車に乗るから、その時に少し休むといい。」
「すいません・・・だめな男ですいません・・・」
「ま、まぁ初めてダンジョンに潜る冒険者はムラサキのようにハイテンションになるか、ヒイロのように心配でたまらなくなるかだから気にするな。一回潜れば慣れるさ。」
「そうだといいんですけど。」
「お腹すいたからとりあえず食べましょうよ!ね!」
「うむ、腹が減っては戦はできぬというからな。まずはお腹いっぱい食べることだ。では、いただきます。」
「「いただきます。」」
朝食を食べた後、いつものトレーニングをしない代わりに庭にて体操を行う。
「・・・いつも思ってたんだけど。」
「なに?」
「なんでエルエルはブルマじゃないの?おかしくない?」
「ぶるまとはなんだ?」
「ノエルさんはなんにも気にしなくていいですよ?」
ノエルさんは体操着っぽい服にハーフパンツのようなものを穿いている。
このかわいさでブルマだったらもう色々やばいだろ。犯罪臭しかしねぇ。
ちなみに俺とさきねぇは上下ジャージ姿で中にTシャツ。今時の高校生の体育スタイルだ。
「いやー似合うと思うんだけどなー。私の次くらいに。」
「さきねぇがブルマだったらもういろんなとこがぱっつんぱっつんで危険すぎるだろ。出血多量で死人が出るぞ。」
そんなアホな会話を終え、アルゼンに向かう俺たち三人。
馴染みの馬車屋さんにいって貸しきり馬車を出してもらう。
知名度と財力の勝利だ。生々しくてすいませんね!
「ヒイロ、アルゼンダンジョンまで馬車で一時間くらいだからちょっと寝てても大丈夫だぞ。」
「あー・・・それではお言葉に甘えて仮眠をとらせていただきます。」
「じゃあお姉ちゃんが添い寝をしてあげましょう!」
「・・・お願いします。」
さきねぇに抱きしめられながら熟睡する俺だった。
「二人とも、そろそろ起きろ。アルゼンダンジョンについたぞ。」
「はぇ?・・・あーそういやダンジョンでしたね今日。」
「ふぁ~っと。よく寝ました。さくやはおたのしみでしたね!」
「出たよ定番セリフ。」
「???」
身だしなみを整え、馬車から降りる。
「さぁ。ここが!アルゼンダンジョンだ!」
そこには。
「いらっしゃーせーいらっしゃせー!ダンジョンにはポーションが必須!アルゼンダンジョンで一番ポーションが安い店はうちだよー!」
「いやいや、うちが一番ポーションが安い店だよー!さぁ買った買ったぁ!」
「快適なダンジョン探索には快適な睡眠から!アルゼンダンジョンで最高の宿屋だよー!」
「このグリーンポーションと毒治草に、なんと麻痺治草までつけたお買い得セット!買わなきゃ損だよー!」
なかなかの賑わいを見せる市場があった。
「なんか既視感というか、見たことあるような・・・?」
「・・・アメ横?」
「ああ、それかも。雰囲気似てるよね。」
「「で、どこがダンジョン?」」
「あはははは!言うと思ったよ。ここが『アルゼンダンジョン』だよ。正確にはアルゼンダンジョンの入り口にできたダンジョン市場だけどな。」
「はぁ・・・」
そのダンジョン市場を進む俺たち。
活気に満ち溢れてますね。
買い物客はほとんどが冒険者っぽい格好をしている。
「ノエルさん、ここにいるのはみんなアルゼンの冒険者ですか?こんなにいましたっけ?」
「いや、アルゼンだけじゃなくメクリスとか他の近隣の街からも来てるし、近くにD級以上向けダンジョンしかなくて、強さ的にそこにいけない冒険者たちが遠くから来たりもしてるぞ。」
「それでこんなに人がいっぱいいるのね。・・・だったらもうここに街作っちゃったほうが早くね?」
確かに。
「ダンジョンのすぐ近くに街があると、なんらかの異常が起きて魔物があふれてしまったら危ないだろう?なので昔に『ダンジョンの近くに街を作ってはいけません』という法律ができてな。」
「・・・でも、これってすでに街レベルの規模ですよね。アルゼン級とは言わないまでも。」
「名目上は『街レベルに規模の大きい青空市場』だな。宿屋がある時点でもう市場じゃないじゃんって指摘はしてはいけない。」
ノエルさん苦笑い。
つまり大人の都合による暗黙の了解ってやつですな。
そのままキョロキョロしながら先に進む。
「エルエル、ここはなに?」
「ん?ああ、ここは・・・」
スペースが区切ってあるエリアがあって、数多くの冒険者が看板の横に布を敷いて座っていたり、叫んだりしている。
何を叫んでるんだ?
『ロングソード+1ありまーす!ロングスピア+1と交換しませんかー!』
『ダンジョンには探索者必須ですよー!ヘルプ入れまーす!』
『魔法使い募集してまーす!属性はなんでも歓迎でーす!しっかり守りまーす!』
「冒険者たちが物々交換したり、臨時のチームを組んだりする場所だ。ダンジョンの醍醐味というやつだな。」
「なんか昔やってたMMO思い出すわねー。」
「リアルだとこんな感じなんだね。」
ちなみに、探索者とはRPGでいうところの盗賊だ。気が利いて器用な人が名乗る職業らしい。
まぁ盗賊って明らかに犯罪者だもんね。そんな職業ないよね、常識的に考えて。
そんなことを考えながら歩いていると、近くの看板に『デ)ミズノユビワ モ)ツチノユビワ』と書いてあるのが目に入った。
「ちなみに、あの『デ』と『モ』というのは「出すものと欲しい物って意味よね、わかります。」
さきねぇに説明を遮られたノエルさんが(´・ω・`) とした顔をしていた。
どうやって慰めたものかと思案していると。
「ダンジョン説明会を行いまーす!参加料は100パルでーす!もうすぐ締め切りでーす!」
ダンジョン説明会ってなんぞ?ちょうどいいからノエルさんに聞いて機嫌を直してもらおう。
「ノエルさんノエルさん。ダンジョン説明会ってなんですか?」
「! ダンジョン説明会というのは、ダンジョン経験者がダンジョンの心得を説くものだな!それなりの冒険者、ここでいえばD級くらいの冒険者の小遣い稼ぎだったり暇つぶしだったり知名度アップの活動だったりする!」
(´・ω・`) か~ら~の~ドヤ顔!
さすがノエルさんや!
「へー。参加してみようかな。」
「たいした情報は聞けんと思うがな。まぁそういったことを経験するのも一興だろう。私は今回付き添いにきているだけだから好きにやってみるといい。」
「じゃあちょっと参加してきます!さきねぇは?」
「私はパスかな。開始数秒で寝そう。」
「のびたか。まぁいいや。ちょっといってくるからノエルさんとそこらへん回ってて。」
「あいよ~。」
~30分後~
「ただいま~。」
「おかえりんこ。」「ああ、おかえり。」
「・・・なんか普通でしたね。」
「おかえりんこ。」「まぁそんなものだよ。」
「まぁでもダンジョン完全初心者にはいい感じでした。」
「それはよ「おかえりんこ!」
「うるせぇよ!しつけぇよ!いわねぇよ!」
なぜそれを言わせたがる・・・小学生か。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。




