第百二十四姉「さっすがヒロ!優しさ無限大!ジェントルウロボロス!」
感想いただきました。ありがとうございます。
色々書いたけど、玄武さんたち、ほんとはすごいねんで?
新章ですが四話で終わります。
魔法少女ネタの時のように書きたいネタを書きたいがためだけに書き始めました(笑
「おっちゃーん、そりゃないっしょー?どう考えてもそんな高くないってそれ!」
「おいおい、いちゃもんつけんなよねぇちゃん!適正価格だっつーの!」
「いや、それ絶対もっと安く売ってるってマジで!amazonで見たことあるもん!それじゃ売れないから在庫処分できなくなる前に私が買ってあげるって!」
「だったらそのあまぞんさんの店で買えばいいじゃねぇか!こいつはびた一文まけねぇからな!」
「かぁーがめつい!なんてがめついのかしら!タカタさん見習いなさいよ!」
「誰だタカタ。」
ただいま俺とさきねぇはたまに開催される大市場にやってきている。
普段の市場は食料や雑貨などが中心だが、今日は色んなところから色んな人がやってきて色んなものを売っている。わかりやすくいえばフリーマーケットみたいなものだ。
紫お姉さまは普段はほしいものはキャッシュでポンッと買っちゃうのだが、たまに値切りたくなる時があるようで、今が正にその時であった。
すでに俺は近くのよくわからない木箱に座って≪聖杯水≫を飲みながら観戦モードだ。こりゃ長引くでぇ・・・
「・・・ん?」
あたりをボーっと眺めていると、一人の少女が目に入った。
少女と言うか幼女か。
ノエルさんみたいな美少幼女ではなく、完全な美幼女。
日本基準で言えば小学一年生くらいだろうか。
キラキラ輝く金髪が眩しいね!
が、気になったのは挙動と表情だ。
不安げにキョロキョロあたりを見渡している。
・・・迷子か。しゃーない。
「お嬢ちゃん、こんにちわ。」
「!?・・・こんにちわ。」
屈んで目線を合わせて挨拶したのだが、完全に不審者を見る目だ。失敬な。
ここは魔法の力に頼ろうかね。
「んっんー。ここに何も入ってないコップがありまーす。そして、俺の右手にはなにもありません。」
「・・・はい。」
左手でコップを持ち、右手を開いて何も持っていないことをアピール。
ふふふ、その不審者を見る目を尊敬のまなざしに変えてやるぜ!
「いきますよー、ワン、ツー、スリー!」じょぼじょぼじょぼじょぼ!
「!?」
幼女は目を見開いてビックリしている。
ふふふ、驚いてる驚いてる。まぁ≪水道≫で、水を発生させただけなんだけど。
水の溜まったコップを幼女に手渡す。
「はい、どうぞ。」
「あ、ありがとうございます、魔法使い様。」
・・・魔法使い『様』?
そんな違和感を感じながらも、幼女は水をゴクゴク飲み干している。
やはり。緊張すると喉が渇くからな。迷子なら当然だろう。
「とても美味しかったです。あなたの優しさに感謝いたします。」
「お、おぅ。」
水を飲み終えた幼女からコップを返される。
なんだろう、この世界の幼女はみんな礼儀正しいのだろうか。
「さて、こんなところで一人でどうしたのかな?お父さんとお母さんは?」
「えっと、その・・・」
ソワソワしだす幼女。なんだ?
「わかったもういい!ちょうケチ!あとで在庫抱えたって知らないからな!バーカバーカ!」
「うっせぇ!さっさと帰れ!」
さきねぇの交渉も失敗に終わったようだ。
まぁ露天のおっちゃんの示した価格の10%だったからな。そりゃ無理だろ。
「全くもう、失礼しちゃうわ!ほんと無礼!もしここが江戸だったら切捨て御免だったわね!」
「さきねぇ、切り捨て御免って実は判定がかなり厳しくて、そんなポコポコ使用できるようなもんじゃなかったらしいよ。」
「マジか!?」
さきねぇびっくり。
さきねぇの声のでかさに幼女もびっくり。
「・・・ん?この幼女は?」
「迷子っぽい。」
「ふーん・・・変わってるわね。」
「え?」
迷子くらい、たまに見かけるが・・・
「服。目立たないけど、生地がすごいいいもの使ってる。髪。この世界にしてはすげーさらさらしてる。立ち振る舞い。立ち方と歩き方が訓練されたみたいにしっかりしてる。」
「!? えっと、その・・・」
すげーな、一瞬でそんなのわかんのかよ。
「・・・予想では、貴族。そして迷子ではなく、家出。」
「あ、あぅ・・・」
俯く幼女。正解らしい。
「なるほどね。じゃあ詰め所にいって「待ってください!」
幼女の大声にビックリ。
「その・・・待ってください。もうちょっとだけ、街を、見たいんです・・・」
「「・・・・・・」」
顔を見合わせる俺達。どうしたもんか。
「わかった!なら私達が街を案内してあげるわ!」
「「えぇ!?」」
また始まった・・・
「あのねさきねぇ。親御さんだってしんぱ「ひそひそ(よく考えてみなさいよ。貴族だったら街なんて普段でられないんじゃない?籠の中の小鳥よ?たまにいいじゃん。人生冒険も必要だって。)」・・・むぅ。」
そういわれちゃうとなぁ。幼女もじっと俺を見ている。
・・・まぁいいか。
「おーけいわかった。お昼過ぎまでね。そしたら戻るよ。」
「さっすがヒロ!優しさ無限大!ジェントルウロボロス!」
「なにそれちょうかっこいい。」
まぁ子供時代の経験って、大人になってから大切さがわかったりするしね。
「・・・よろしいんですか?」
「うん。お兄ちゃんたちに任せなさい。ただし、さっきも言ったようにお昼過ぎたら戻るよ?」
「はいっ!ありがとうございます!」
ひまわりのような幼女の笑顔。まだ何もしてないけど良いことした感半端ない。
「えっと、俺の名前はヒイロ。」
「私はムラサキよん!アルゼンナンバーワンの冒険者として有名よ!」
勝手にナンバーワン名乗りやがった。まぁ多分合ってるけど。
「私の名前はミ・・・」
幼女は名を名乗ろうとして『しまった!』って顔をして手で口をふさいだ。
名前も簡単に名乗れないほどなのか。貴族も大変やなぁ・・・
「・・・よしわかった。みーこね!」
「は?」
「あんたの名前はみーこ!それでいく!よろしくね、みーこ!」
「あ・・・はい!宜しくお願いします!」
「それでいいの?」
「これって愛称というものですよね!あこがれてたんです!」
ぺかー!という感じで喜ぶ幼女、ではなくみーこ。
「よーし、アルゼンに来たからにははずせないものがあるわ!ついてきなさい!」
「きゃあ!」
みーこの腕を掴み走り出すさきねぇ。とはいえ、ちゃんと加減して走ってるが。
さて、どこにいくのかね。
少しして、良い匂いが漂ってくる。なるほど、アレか。
「おっちゃーん!串三本!」
「お、嬢ちゃん!あいよ!・・・はいお待ち!」
ホーンラビットの串焼きを受け取り、みーこに手渡す。
「これは?」
「ホーンラビットの串焼きよ。食べたことある?」
「いえ、ないです・・・」
「ぷぷぷ、だっさ!食べたことないとか田舎者~!」
「「いや、お前も似たようなもんだろ。」」
俺とおっちゃんのダブルツッコミが入る。
俺とさきねぇが食べているのを見て、恐る恐る串焼きを口にするみーこ。
すると。
「!! おいしい!」
「だべ?」
そのまま無言でひたすら食べ続ける。
しかし、いちいち食べ方も品があるな。
ガツガツガツガツ!とかいうレベルで食べる誰かさんも見習ってほしいもんだ。
チラッとさきねぇを見ると、串焼きを食べつつウインクされる。
・・・くそ、かわいい!
俺とさきねぇに遅れ、みーこも食べ終わる。
すると、グッとガッツポーズをとる。
「とても美味しかったです!これは王国の宝に認定するべきです!」
「「スケールでかっ!」」
これが貴族クオリティ・・・庶民とは見ているものが違うね。
「よーし、じゃあ次は・・・じっちゃんのとこいくぞ!」
「アルゴスさんち?・・・まぁ貴族のお嬢様じゃまずいかないもんな。これも人生経験か。」
「?」
どこにいくのかよくわかってないけどニコニコしているみーこ。
アルゴスさんの強面見て泣かないよな?まぁ人生経験か!ゴーゴー!
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。




