第百十八姉「おい、今私のことババァっつったやつでてこいや。私の守護霊である闇の精霊がお前を永遠の眠りへと誘うだろう。」
ついにあの人がチーム初月に(スポット)参戦!(色んな意味で)どうなってしまうのか・・・
???「もうモブ子Bとは言わせないですよ!」
そして、さりげなくモンスター文庫大賞、一次選考通過しておりました。やったね!
姉崎神社までいって姉神様にお供え物をしてこないといけませんね。
「・・・えっと、つまりノエルさんは、子供しかひかないエルフ風邪をひいたから、恥ずかしくて言い出せなかった、と?」
「ええ、多分そうでしょうね・・・」
苦笑いするアメリアさんの前で同時にこめかみを押さえる俺達姉弟だった。
「なんだよあの美少幼女め心配させやがって!こうなったら、嫌がらせにエルフ風邪が治るまで三食ずっとにんにくの丸焼きにしてやろうかしら!?」
「くさっ!滋養には良さそうだけどくっさっ!」
「それはやめたほうがいいわね~。エルフ風邪は完治まで一ヶ月くらいかかるから。」
「「なげぇ!?」」
高熱が一ヶ月とか人間だったら死んでるんじゃねーか。
「え、それ大丈夫なんですか?」
「ええ、高熱が出るのは最初の一回だけらしいわ。あとは微熱がずっと続くだけらしいから、エルフ風邪で死んだエルフなんて聞いたことないわねぇ。」
「・・・早めに治す方法はないの?」
「とはいっても、未成年のエルフなんて大森林の外で見かけることはまずないからねぇ。薬なんてどこにもないと思うわよぉ?」
「・・・そうですか。」
「・・・あ、でも。」
「「なにか(あるんですか)(あるの)?」
「ひょっとしたら霊獣ユニコーンの角だったら治るかもしれないわねぇ。」
「「ユニコーン?」」
ユニコーンといえば、角が生えてる白馬だよな。
確か地球でもユニコーンの角はどんな病気でも治すとかいう【願いがかなう魔法の壺】並みに怪しいとんでもアイテムとして知られている。
ファンタジー世界であるこの世界なら本物がいてもおかしくないな。
「ユニコーンってあれでしょ?一本角の馬で、歴史上最古参の処女独占厨でしょ?」
「霊獣をコアなエロゲーマー扱いすんなよ・・・って、霊獣と魔物ってなんか違うんですか?」
「全然違うわよ?魔物は魔石を持っていて無差別に人を襲う存在で、知性はあったりなかったりするわね。霊獣は魔石をもたず、基本的には穏やかで高い知性を持っているわ。D級冒険者なんだからそれくらいは知っていなさい?」
「勉強不足ですいません・・・」「サーセーン。」
「この女は・・・」
さきねぇの全く反省を感じられない謝罪にアメリアさんの血管がピクピクしている。
「あーえっと、とりあえずユニコーンの角があればノエルさんは早期復活できるってことですよね?」
「・・・ええ、万病に効くものだからエルフ風邪でも治ると思うわ。でも、アルゼンどころか王都でも手に入るかどうか。もし売っていたとしてもとんでもない値段でしょうね。」
「そっか~じゃあ無理か~。」
まぁそうだよね。そんな簡単に手に入るものじゃないよね。
「大丈夫、私に任せなさい!我に秘策あり!」
自信満々に仁王立ちで胸を張るさきねぇ。
相変わらず素敵なたゆんたゆん具合ですね。ありがたやありがたや。
さきねぇ(の主に胸の部分)に注目し手を合わせ拝む俺を不審な目つきでアメリアさんが見てる。
「・・・とりあえず、話だけ聞きましょうか。」
「ええ!まずは市場にいって1000パルくらいで売ってるなんかよくわからない角を大量に購入する!そうすれば一本くらいはユニコーンの角あるっしょ!」
「「・・・・・・」」
思わず無言で俯く俺とアメリアさん。
「ひそひそ(ねぇヒイロ君。ムラサキは、その、大丈夫なの?一度王都の大きな病院にいって高名な治療術士の方に診てもらった方がいいと思うんだけど)」
「ひそひそ(えっと、その、アレですよ。天才とアレは紙一重ってやつです。心遣い感謝します。)」
「なになに、二人してこっそり私を褒め称えてる感じかしら?」
なぜかドヤ顔のさきねぇ。
どうしてそう思ったのか、原稿用紙10枚くらいで理由を記入して提出してください。
「そうと決まれば早速市場に向かうわよ!」
「え、その方針もう決まっちゃったの!?」
「当然!メリおばちゃん留守番お願いね!とらとらとらー!」
「ちょ、待って!俺さっき街まで全力疾走で往復した後なんだけど!ゆっくり!もっとゆっくり!」
走り出したさきねぇの後を追う俺。
そして。
「せわしないわねぇ。でも、それだけノエル様のことを大切に思ってくれているんだから、よしとしましょうか。」
リビングには、お茶を飲むアメリアさんだけが残った。
「・・・ありそう?」
「・・・なさそう。」
あの後、死にそうになりながらもなんとかさきねぇに追いついた俺は、二人で市場中の怪しい角を片っ端から購入していった。
その数、なんと37本。4万パル(40万円)近く散財した形になる。
それを教会の一角に運んで一本一本お姉ちゃん鑑定しているが、結果は芳しくなかったらしい。
「やっぱりそんな甘くはなかったか。」
「くっそー、いけると思ったんだけどな~。」
まぁさきねぇのラッキーパワーでなんとかなるかも、なんて思ってたが、そんなに都合よくはなかったようだ。
「どうしようかしらね、この大量のよくわからない角。」
「あ、じゃあ俺もらっていい?」
「いいけど、何に使うのよこんなの。」
「さきねぇファンクラブの優秀な情報員にご褒美として配る。『さきねぇ自ら厳選した、家内安全・身体健全・交通安全・良縁祈願のお守りの角』って渡せば涙を流して喜ぶことだろう。」
「転んでもただでは起きないわねぇ。」
ということで、大量の角を魔法袋にしまってさっそくギルドに向かう。
中に入ると、なんか人がいっぱいいた。
なんぞこれ。
「ここは私がいくしかありませんね!」
「「「「「「それはない。」」」」」」
「なんでハモってんだよてめぇら!冒険者ギルドアルゼン支部で清らかな乙女といえば私ですよ!」
「「「「「「ないわ~・・・」」」」」」
「よし、お前ら、全員ギルド強制脱退な。」
「横暴だー!」「ふざけんなー!」「金返せー!」「ババァ!」
「おい、今私のことババァっつったやつでてこいや。私の守護霊である闇の精霊がお前を永遠の眠りへと誘うだろう。」
なんかテンションの高いマリーシアさんと冒険者たち。
「闇の精霊、ついさっき馬車にひかれて死にかけてたわよ?」
「「「「「「「闇の精霊、馬に負けんの!?」」」」」」」
楽しげなオーラを感じ取ったさきねぇが嬉々として参戦する。
「って、ムラサキさんじゃないですか。」
「ムラサキさんだったら余裕でいけるな!」「美人ですもんね!」「どっかの自称清純派とはワケが違うわね!」
「ん?なに?どうしたの?」
といいつつ、自分が褒められていることに気付いているさきねぇは、なぜかタップダンスを踊って自分アピールをしていた。あざとい。
スレイが俺に近づいてきた。
「ヒイロさん、お疲れ様っす!実は、北のシースー山にある泉で、あの!霊獣ユニコーンが目撃されたらしいんですよ!」
「うわーすごい安直な展開ーご都合主義万歳ー。」
「ど、どうしたんですかヒイロさん?」
「いや、こっちの話。」
はぁ・・・まぁいいか。ノエルさんがすぐ回復できるんだからよしとしよう。
「さきねぇーユニコーン見つかったってー!北にあるシースー山だってさー!」
「山なのに寿司なの?おかしくない?」
「そこ突っ込むとこ?」
さて、山登りか。ちゃんと準備していかなきゃな。
「ま、待ってください!」
その声に振り向くと、マリーシアさんの姿が。
「私も連れて行ってください!ちょっと最近の皆さんの私に対する扱いがおかしいと思います!ここらで私の乙女力でユニコーンをノックアウトして目にものみせてやりますよ!」
「「「「「「「「・・・・・・・・・」」」」」」」」
うわーなんかめんどくさいこと言い出したぞー。
さきねぇだけで十分に決まってんじゃん。
「・・・まぁいいわ。ついてきなさい。」
「いいの!?」「ムラサキさん!」
さきねぇの反応に周囲もざわつく。
その反応も当然だ。あのさきねぇが俺に好意を持ってるっぽい女をチームに加えるとは・・・何を企んでるんだ?
まさか、人目のない山に連れて行って、背後から・・・
さささささささすがのさきねぇでも、それは、ねぇ?
・・・ないよね?
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。
というわけで、マリすけことマリーシアさん参戦です。
なぜムラサキさんは許可したのか・・・それは後半で明らかに。




