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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第十三章 ここ掘れワンワン!異世界、大自然の驚異!編
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第百十六姉 番外編『夢の中へいってみたいと思いませんか』

 ここは森の中に佇む屋敷の一角。

 やけに寝相の良い男とやけに寝相の悪い女が同じベッドで寝ている。

 男はまるでエジプトのミイラかのように素晴らしい姿勢で横になっているが、その寝顔は苦しんでいるようだ。

 どのような夢を見ているのだろうか。



 ~ヒイロの場合~


「な!?天井が落下してくるだと!?さきねぇ逃げて!」ドンッ

「ヒロッ!」


 よくわからない場所で突然天井が落下してきたようだ。

 さすが夢。突拍子もない。

 女を突き飛ばすと、男は落ちてきた天井をなんとか支えている。


「さきねぇ!ここは俺に任せてさきにいけ!」

「ヒロ!でも、ヒロを置いて先になんていけないわ!」

「大丈夫、すぐに追いつく!さぁ、早く!」

「でも、やっぱりいけないわ!」

「クッ・・・な、なんとかするから、早くいって!」


 いつのまにか女は胡坐をかいて座り込んで男を見つめている。


「でもやっぱお姉ちゃんとしては弟を置いてはいけないっていうか?ほら、そんな感じ?」

「まじではやくいってよこれめっちゃ重いんだから!おれつぶれちゃう!」

「ヒロくんの?あ、ちょっといいとこみてみたい!そ~れプッシュ!プッシュ!」

「いやぁぁぁぁぁ!助けるか先に行くかどっちかにしてぇぇぇぇぇ!」


 ~夢終了~



「う~ん、重いよぅ、重いよぅ・・・」


 なぜこんな夢を見ているのか。

 理由の一つを上げるとするならば。

 やけに寝相の悪い女が男を下敷きにして大の字でいびきをかきながら爆睡しているからだろう。

 むしろそれしか理由がないと思われるが。

 では、この寝相の悪い女は弟を下敷きにしてどんな夢を見ているのだろうか。



 ~ムラサキの場合~


「さきねぇ、好きだ!」

「いやん、もうヒロってば~♪わかってるってば~!」

「さきねぇ、愛してる!」

「恥ずかしいじゃない、まったくもぅ♪」

「さきねぇ、ラブ!ジュテーム!イッヒ・リーベ・ディヒ!」

「やだー英語に仏語に独語まで使っちゃうなんて~!ヒロの国際派!」

「ニナクペンダ!ボン・スロライン・オン!ナーン・ウンナイ・カダリケレン!」

「スワヒリ語にクメール語にタミル語!?なんというマニアックなラインナップ!」

「おねえちゃんすきすきー!」

「やーん、私もヒロのことすきすきー!こうなったらお姉ちゃん、襲っちゃうぞ~?」ガバッ!


 ~夢終了~



「ぐへ、ぐへへへへへ・・・じゅるり」


 完全にいかれてやがる。

 どうしてこんなになるまで放っておいたんだ。

 この世界にはこんなやつらばかりなのだろうか。

 どうせだし違う部屋に寝ている美少女も見てみようか。



 同じ屋敷の違う部屋。

 銀髪の美少女が枕を抱きしめながら、ベッドで丸まるように寝ている。

 さて、この娘はどんな夢を見てるのかね。



 ~ノエルの場合~


「うわーさきねぇーすごいつよいまものがー!こわいよー!」

「ヒロ、こっちからもたくさんまものがきたわー!たすけてー!」

「ふっ、仕方がない義妹と義弟だ。≪火炎王蛇フレアナーガ≫!」


 一瞬にして焼き尽くされる魔物たち。


「すごい!さすがノエルさん!」

「エルエルかっこいい!」

「この程度でおたおたしているようではまだまだだな、二人とも。」

「ノエルお姉ちゃん大好き!」

「私もエルエルお姉ちゃん大好き!」

「いつまでたっても姉離れできないのか?困った義妹弟だ。はっはっはっはっはっは!」


 ~夢終了~



「私がいないと二人は本当にダメだな~にゅふふふふふ・・・」


 どうしよう、何もいえねぇ。なんかこんなのばっかだな。

 本人が幸せそうならそれでいいか。

 さて、次は街にでもいってみようか。



 次は歳が行き過ぎて婚期が遅れてそうな上、薄いピンクのエロいネグリジュを着ているにも関わらずあんまりエロくないちょっと痛々しい女の夢でも見てみるか。



 ~マリーシアの場合~


 多くの男性に囲まれた女。


「マリーシアさん好きです!」「いや、俺のほうが好きだ!」「僕と付き合ってください!」

「いやーそんなこと言われても困っちゃいますよー?私には心に決めた人がいて~?」


 そんな中、さっきの悪夢にうなされていた男が走ってくる。


「マリーシアさん!俺、やっと気付いたんだ!俺にはあなたしかいないって!」

「ヒイロさん!・・・でも本当ですか?」

「本当だ!俺にはあなたしかいない!運命の人なんだ!姉より好きだ!」

「え~でも~どうしよっかな~?」


 女がそう返事すると、男が足にすがりつく。


「お願いだ!俺にはあなたしかいないんだ!」

「・・・まぁそこまで言われたら、ねぇ?仕方ないから結婚を前提に付き合ってあげようかな☆」

「おお、女神よ!一生大切にします!」

「もう、おおげさなんだから~!」


 すると、突然二人の女が現れる。


「マリーシアさんならヒロを譲ってもかまわないわ。弟を幸せにしてやってね。」

「マリーシアなら安心してヒイロを任せられるな。私の弟子をよろしく頼む。」

「!? お義姉ねえさま、お義母かあさま・・・!任せてください!」

「さきねぇ、ノエルさん。俺達、幸せになるよ!子供は二桁くらいほしいな!」

「もう、ヒイロさんたら~!気が早いですよ~?」

「「「「あはははははははは!」」」」


 ~夢終了~



「でゅふ、でゅふふふふふふふ・・・れっつにゃんにゃん~・・・」


 怖い。

 もうここまでくるとキモいじゃなくて怖い。

 精神に異常を抱えてる可能性が極めて高そうだ。

 もっとまともな人はいないのだろうか。

 あ、あっちの宿に泊まってるあの獣人の女の子とかどうだろう。



 ~カチュアの場合~


 一面に広がるお花畑。

 一組の獣人の男女がその中を走っている。


「にいさ~ん!捕まえてみてくださ~い!」

「こいつぅ、待て~!」

「うふふ!」

「あはは!」


 追いつかれた女の子が男に押し倒される。


「カチュア・・・」

「兄さん、そんな・・・私達、兄妹なんですよ?」

「そんなの関係ない。カチュア、好きだ・・・」

「兄さん・・・」チュ!


 ~夢終了~



「ふふふ。もう、にいさんてば・・・」


 おー、なんかいままでがアレすぎて普通に感じるわ。

 普通、だよな?俺の感性が狂っちゃったわけじゃないよな?

 きっと普通だ。普通に違いない。

 さぁ次は・・・ちょっと離れてみようか。


 ここは魔法学校の寮の一室。

 寮の一部屋とはいえ、かなりの大きさを誇る。

 それなりの身分の人間がいることは明白だった。

 さて、じゃあこの・・・男?女?まぁどっちでもいいか。

 この人間の夢でも見てみよう。



 ~クリスの場合~


 魔法を使って激しく戦う男女おとこおんなと男。

 ・・・どうやら引き分けのようだ。


「さすがお師匠様です!ボクも強くなったつもりでしたが、この程度では到底追いつけるものではありませんね!」

「謙遜するなクリス。お前もかなり強くなってるぞ。正直な話、平気そうな顔をしてるだけで俺もやっと勝てたといったところだ。」

「いえ、まだまだです。これからもお師匠様が誇れるような弟子になれるように頑張ります!」

「何を言ってるんだ。お前は最初から俺の自慢の弟子だよ。」

「そ、そんな!もったいないお言葉ですお師匠様!」

「そのうち追い越されてしまうな。そしたら師弟関係も終わりだ。お前の成長は嬉しいが、少し寂しいな。」

「!? いえ、例えどれほどの時が経とうともボクはずっとお師匠様の弟子です!」

「そうか・・・これからもよろしくな!」

「はい、末永く宜しくお願いしますお師匠様!」


 ~夢終了~



「いっしょうついていきますおししょうさま~・・・えへへへ・・・」


 なんでこの世界ってこんなのしかいないの?

 一番最初の男が一番まともだったとか嫌なんだけど。

 どこで間違ったのかなー?

 まぁいいか。暇つぶしも飽きたし、そろそろ寝るかな。

 ・・・え?お前はさっきから誰なんだよって?

 あれ、言ってなかったっけ?

 俺、精霊王っす。んじゃ、また!




ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


ついに精霊王様登場です。誰も望んでないですが。

たまにはこんなのいいかなって。

あと、基本的にGoogle検索などは使わないで自分の脳内だけで書いてますが、『愛してる』のマイナー他国言語だけは検索しました(笑)


来月から連載再開したいと思いますのでもうしばらくお待ちください。

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