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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第一章 池に落ちたら異世界に?編
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第十一姉 「姉フォルダに関してなら心配すんな。皆知ってるから。発信源は私。」

10話を超えているにも関わらず、魔物が出てくる気配がない・・・。

出てきても『強大な魔獣との壮絶なバトル!』とかはないんですけどね。

 初めてノエルさんとハモッてしまった。

 姉へのツッコミ役が増えると俺の負担が減るため、喜ばしいことだ。

 しかし、同時に姉とのスキンシップが減るということでもあるため、非常に悩ましい問題でもあった。




 時間が経ち、姉の弟溺愛メーターもやっと落ち着いてきたようだ。

 話を続ける。


「そうだな、ではその書物には『生魔大戦』のことは書いてあったか?」

「「せいまたいせん?」」

「ああ。今から90年ほど前に起こった戦争だ。当時は人間族同士で争っていたし、エルフやドワーフ、獣人たちも互いに嫌いあっていた。(以下略)ある時、魔物が爆発的に増えて暴れはじめた。最初は各種族バラバラで戦っていたんだが、負けに負け続け、その結果、この大陸の全ての生物が全滅するかもしれないという状況まで追い込まれたんだ。(以下略)やっと各種族は手を取り合い、大陸に生きる全ての生き物と魔物との一大決戦となった。最終的に大きな犠牲をだしながらも魔物たちの大半を葬り去ることができた。(以下略)各種族はそれから少しずつ歩み寄り、互いに復興の手助けをしあい(以下略)今に至る。・・・といった感じだ。」


 わかったか?とえっへん顔なノエル先生。

 さきねぇもうんうんと頷いている。


「とりあえず、話が長かったわね。」


 いっちゃったよ。

 確かに長いなとは思ったけれども。

 多分二時間近くしゃべってったな。


「す、すまん・・・」


 しょんぼりノエルさん。


「い、いや、ノエルさんは何も悪くないですよ!この世界のこと知らないから色々教えてくださって助かります!」

「そ、そうか?それならいいんだが・・・」

「つまり『昔はみんな仲悪かったけど、すげー強い魔物がいっぱいきたから力合わせて戦って勝ちました!』ってことでいいんでしょ?」

「いや、まぁ、そうなんだけど。でも当時はすごい大変でさ・・・」


 ぶつぶつ言ってるノエルさん。

 まぁその戦争経験者であるノエルさんからすれば、そんな簡単な言葉で終わらせてほしくないと思うのも仕方ないことだろう。実際知り合いも多く亡くなっているようだし。

 ちなみに『破軍炎剣バーニングピアス』という二つ名も大戦時につけられたらしい。

 自称じゃなくてよかった。


「しかし内容自体はありきたりなので、この世界の出来事なのかを特定するのは無理ですね・・・せっかく話してくださったのに、すいません。」

「そうか、どこの大陸も同じような苦労をしているのだな・・・」


 遠い目をしているノエルさん。

 ちょっと勘違いをしているような気もするが、訂正もめんどうなのでそのままにする。


「とりあえず帰還については置いておきましょう。最優先事項はこの世界での安定した生活ですし。」

「いいのか?不安ではないのか?」


 ノエルさんが心配そうに言う。

 普通はそうだろうな。もしくは一人きりなら。

 でも俺にはさきねぇがいる。

 地球だろうが異世界だろうが、さきねぇのいる場所が俺のいる場所だ。


「最悪、元の世界に帰れなくてもいいしねー、ヒロいるし。うちの親は放任主義だから気にしないだろうし。」

「あ、でもガスの元栓閉めてきたかな。大丈夫だよな?あー牛乳の賞味期限明後日だ、やばい。あー!パソコンの電源も切ってない!HDDの中身見られたら死ぬ!」

「主夫か!思春期か!」


 そうはいっても、秘蔵の姉フォルダの存在を周りに知られるのはさすがに恥ずかしい。

 それに、宇宙中の全俺が嫉妬する素晴らしい姉画像の数々が他人に見られるのは許されないことだ。


「姉フォルダに関してなら心配すんな。皆知ってるから。発信源は私。」

「なん、だと…?」

「つーかそもそも皆の前で私の姿、写メ撮りまくってたじゃん。この間は5万くらいするデジカメ買ってきて激写してたし。それ見てたら姉フォルダあるんだろうなーって誰もが思うわよ。」

「BAKANA!気づかれないようにさりげなく撮っていたはずだ・・・」

「いやいやいやいや、写メ撮る時『てぃろり~ん♪』ってなるじゃん。気づくっちゅーねん。つーか気づかれないように撮ってたら、それはとうさ「ん、妖気を感じます!」

「「・・・・」」


 さすがに苦しかったか。


「タイムラグなしでかぶせてきた褒美に、不問としてあげましょう。お姉さまの寛大な処置に感謝することね。」

「ははぁー!」

「オネエサマノ!カンダイナショチニカンシャ!スパイハカンジャ!ヤキニクヤデタノムノチャンジャ!」

「待って待って待って待って、俺追いつけてない俺追いつけてない。え、なに、ちょっと待って、大丈夫?病院にいきますか?」

「いいえ、ケフィアです。」

「さすがの俺でも意味がわからん!帰ってきてお姉ちゃん!」


 あれ、おかしいな。

 そろそろノエルさんに何らかの反応があってもいい頃なんだが・・・。

 主にツッコミの。

 ノエルさんを見ると、おいしそうにワインを飲んでいた。

 目が合うと『ん?終わった?』という表情をされた。

 もう慣れましたか先生。

 適応早いっすね。


 ちなみに、なんで姉フォルダのことを考えてたのがわかったの?というのは愚問だ。

 なぜならお姉ちゃんだからだ。

 ・・・マジでチップ埋め込まれてないだろうな。




ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


ヒロくんも姉に負けず劣らず変態シスコン弟でした。

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