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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第十二章 アルゼン最大の危機!?立ち上がれ、戦士達!編
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第百五姉「うるさいわねーバリカンで毛ぇむしりとるわよ?」

「では、こちらへ。」

「あいよ~。」「スレイもいくぞ。」

「はい!」


 こうして、四人で支部長室へと向かったのだった。




「一応いっときますけど、くれぐれも失礼のないようにお願いしますね?」

「ガルダじぃでしょ?だいじょぶよ!」

「めっちゃ偉い人ですからね!?アルゼンの有名人ですからね!?」


 ガルダのじいさまはアルゼン生まれアルゼン育ちの生粋のアルゼンっ子らしい。

 冒険者時代もちょくちょく街に戻ったりしてアルゼンから離れたがらなかったためにB級で終わったが、実力的にはA級と遜色なかったとのこと。あくまで昔は、だが。

 なので、普通はE級冒険者程度が会おうと思っても会える様な人ではない。

 俺たちはノエルさんの弟子扱いなので特別待遇なのだ!


 コンコン


「失礼します。マリーシアです。」

「・・・開いとるよ。」


 ガチャ


 四人で支部長室に入る。


「ん?こりゃまた大勢できおったな。どうした?」

「お久しぶりですガルダさん。実は・・・」


 先ほどの話を伝える。


「ふ~む、荒野にスケルトンの群れ、か。普通に考えればホラか見間違いじゃな。」

「でも、確かにみ「アルゼン荒野の戦い。」

「む?」


 スレイを遮った俺の言葉に目を細めるガルダさん。

 他の三人は『?』って感じだ。

 いや、さきねぇは前に話聞いてたからその『なにそれおいしいの?』顔はダメだろう。


「ヒイロは知っておったか。」

「ええ、一度ノエルさんとアルゴスさんから話を伺ったもので。」

「アルゴスのじいさんとも知り合いか。顔が広いの。」

「ご縁があったようで。それで、どう思われます?俺としてはすぐに調査隊を派遣するべきだと思いますが。」


 目を閉じ、ヒゲを撫でながら考え込むガルダじーさま。


「問題点が二点ある。」

「と、いいますと?」

「一つ。アルゼン荒野は広い。調査をしようにも、アンデッドどもが動き回っていたら見つけるには多くの冒険者を送らねばならん。二つ。アンデッドの数がわからん限り、E級に任せるには心もとない。が、D級はこの街には少ない。つまり、人手が足りなすぎる。」

「ふむ・・・その問題、解決できると思います。」

「ほぉ・・・聞こうか。」


 これで説得できるかどうかはわからんが、俺としてはこれ以上の上策はないと思うので話す。


「俺と姉とD級二人で臨時チームを組みます。恐らく現在のアルゼン冒険者では最高戦力でしょう。そして、ここにいるうちの姉は運命の女神に愛されまくってるので、大事件が起こるなら向こうから勝手に寄ってきます。つまり、スケルトンを探し出す必要もありません。」

「う~む・・・」


 さきねぇに目線をやると『お姉ちゃんにお任せ☆』と顔に書いてある。

 頼りになるなぁほんとに。


「ちなみに、スケルトンって強いの?キューティーベアー並み?」

「まさか。基本的には森の奥地の魔物と大して変わらん。ただ、痛みと恐怖がないのでがむしゃらに突っ込んでくる。そこがやっかいじゃな。」

「な~んだ。その程度なら軽く百体はぬっ殺せるじゃない。ヨユーよヨユー。」

「「えぇ!?」」


 スレイとマリーシアさんはびっくりした顔でさきねぇを見ている。

 まぁパワータイプの前衛が一人、スピードタイプの前衛が一人、弓使いの後衛が一人に、攻防回復なんでもござれの魔法使いが一人。

 E級魔物百体程度なら余裕だろうな。


「・・・わかった。おぬしらに任せる。他のD級二人とは誰じゃ?」

「それは~・・・」




「・・・で、なんでせっかくの休日だからデートしようと思っておしゃれしてた俺たちが呼び出されたんだ?」

「うるさいわねーバリカンで毛ぇむしりとるわよ?」

「本当にやったらぶっ殺すからな。」

「「あ~ん?」」


 いきなりガンつけあうさきねぇとヴォルフ。


「えっと、急にギルドから呼び出しがあったんですけど、何があったんですか?」

「カチュアさんすいません。実は~・・・」


 獣人兄妹にさきほどの説明をする。


「なるほどな。そこで俺たちに声かけたのはさすが心友だな!」

「まぁ頼れる実力者となったら真っ先に二人が浮かんでね。」


 拳をグーの形にしてぶつけ合う俺とヴォルフ。

 青春っぽい!


「お二人にはお世話になっていますし、この街も気に入ってますから。喜んでお手伝いさせていただきます。」

「さんきゅーちゅうべー!」

「・・・それ、なんとかなりません?」


 ごめんカチュアさん、一度つけたあだ名はよほどのことがない限り変えないのそのひと


「とりあえず調査は数日だけでいい。もしスケルトンの群れを発見したら数や動きの把握が第一。できそうなら殲滅じゃ。ただし、無理はするなよ?あくまで調査がメインじゃからな?」

「了解しました。では出発「待ってください!」


 スレイが声を上げる。


「俺も行きます!場所の案内だって必要でしょ?」

「・・・おいガキ。これは遊びじゃねぇんだよ。足手まといはひっこんでろ。」

「なんだと・・・!」


 一触即発のヴォルフとスレイ。

 案内はほしいが、戦力的にはこの中で最下位だから危険でもある。

 どうすんべ。


「いいんじゃない?連れてけば。」

「ムラサキさん!」「マジかよ?」

「ただし、なにがあっても助けないし、足手まといになるようなら見捨てるわよ。それと、ヒロの指示には絶対服従すること。いいわね?」

「はい!よろしくお願いします!」


 俺はガルダのじーさまに視線をやる。


「まぁいいじゃろ。ただし、もしスケルトンの群れに遭遇しても戦わせるなよ。わしのようなおいぼれより先に若者が死ぬ報告なんぞ聞きたくも無いでの。」

「了解です。俺もかわいい後輩をむざむざ死なせたりしませんよ。」

「頼むぞい。」

「はい。・・・というわけで四人とも、準備出来次第出発するよ!」

「任せなさい!」「おうよ!」「わかりました!」「はい!」


 それから少しして、俺達5人は荒野に向けて出発した。




 ゴトゴトゴトゴト。


「まさか戦闘馬車まで貸してくれるとはな!」

「まぁ私のかわいさと人徳を持ってすれば余裕だけどね!」

「それだけ重要で危険な任務だってことですからね、兄さん。」


 ギルドが貸してくれた数少ない戦闘馬車(心身ともに強い馬二頭と、薄い鉄板で強化した馬車)に乗り荒野を爆進中だ。


「こっちの方角でいいのか?」

「はい、ここを真っ直ぐです。」


 俺とスレイは御者として前に乗っている。

 基本方針として、とりあえず現場にいってみようということになった。

 さきねぇの第六感するどいかん第七感あねセンサー、ヴォルフの嗅覚と聴覚で魔物への反応速度はとんでもないことになっている。

 そういったセンスや才能がない俺としては頼もしい限りだ。




 それから小休憩を入れたりしながらも馬車を数時間走らせ、ある地点にたどり着く。


「確かこのあたりです。気をつけてください!」

「ふ~ん・・・」「なんにもねぇじゃねぇか。」「兄さん、油断は禁物ですよ。」


 このあたりは大小さまざまな岩がゴロゴロしており、見通しが悪い地形になっている。

 奇襲するならもってこいだが、逆に奇襲されたらやばい感じだ。

 スケルトンにそんな知能があるのかは謎だが。

 その時、さきねぇがある地点をじっと見つめている。

 まさか・・・?


「さきね「しっ!ちょいまち!」

「俺は何も感じねぇぞ?」

「ぼるきちうるさい!ハウス!」

「お前マジで一回ぶん殴るぞ!」


 けっこう強い狼獣人さんをペットの犬扱い・・・恐ろしいなこの人。


「・・・・・・キター!」

「あ、こら!走るな!」


 突然走り出したさきねぇに続く俺達。


「なぁ、ヒイロよ。お前の姉、大丈夫か?色んな意味で。」

「大丈夫、大丈夫じゃないから。」

「「それって結局大丈夫じゃないですよね!?」」


 スレイとカチュアさんに同時に突っ込まれる。

 えーでもこれ平常運転の通常モードなんだけど。

 これでグダグダいってたらさきねぇの弟なんて務まらんって。


「静かに。・・・いたわよ。」


 さきねぇが岩場からこっそり奥を覗く。

 そこには、大量のスケルトンがひしめいていたのだった。




ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


ついに姿を現した魔物たち。その目的とは?初月姉弟はその時、どうなるのか?

次回、「いや、あれは変態行動だからやめようね?」!

俺は今、猛烈に熱血してる!


ファンタジーとしてはいたって普通の展開なのに、微妙に物足りない内容に。

やっぱあねおれにはこういう真面目っぽいノリは似合わないですね(苦笑

終わりよければ全てよし戦法で!

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