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あねおれ!~姉と弟(おれ)の楽しい異世界生活~  作者: 藤原ロングウェイ
第十一章 竜虎激突!?私より強いやつに会いに行く!編
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第百三姉 番外編『俺と弟子と文通と』

何件か評価をいただきました。ありがとうございます。

忙しさで心身ともにダウンしていたので嬉しかったです(笑

年末調整と決算が憎い!

 俺がクリスを弟子にしてから数日後のこと。

 俺とさきねぇは依頼を受ける為にアルゼンのギルドへ向かっていた。

 顔見知りに挨拶をしながらギルドに入る。

 すると。


「あ!ヒイロさん!」


 その声とともにマリーシアさんが俺に向かって走りこんでくる。

 ドドドドドというような感じで、まるで突撃だ。

 しかし。


「グハッ!」

「ハウスよ駄犬。」


 さきねぇのアイアンクローによって阻止される。


「甘やかしすぎたかしら?最近、ヒロに近くない?」


 ギリギリギリギリ・・・


「ギャァァァァァァ!痛い痛い痛い痛い!出ちゃう!頭の色んなところからなにかがでちゃうぅぅぅ!漏れちゃうぅぅぅ!らめぇぇぇ!」


 う~ん、聞き様によってはそれなりにエロいセリフっぽいんだが、心に全く響かないのは何故だろう。

 これを全自動賢者モードとして『マリーシア効果』とでも名付けるか。


「で、どうしたんですかマリーシアさん。」

「ヒ、ヒイロさん、普通に話しかけてますけど、まず今の状況をなんとかしてください・・・まだアイアンクローが私の頭にはまったままです・・・あと数秒で私は死ぬ可能性があります・・・」

「だってさ。一旦ストップ。」

「仕方ないわね。」

「い、一旦ではなく永久にストップっていうか、むしろ離してほしいっていうか・・・」


 しぶしぶマリーシアさんを離すさきねぇ。


「で、どうしたんですか?ついに実力行使に出たんですか?」

「そんなことしたら悪魔ムラサキさんに殺されちゃうじゃないですか・・・そうじゃなくて、絶対にここにいてください。支部長を呼んでくるので!いいですか、絶対ですよ!」

「・・・前フリ?」

「違います!マジモンです!待っててくださいね!」


 そういうと風のように走り去るマリーシアさん。


「・・・なんだろね?」

「さぁ?」



 待つこと数分。

 ラムサスさんとマリーシアさんが走って戻ってきた。


「ヒイロくん、ちょっとこっち!」

「え?なに?なんです?」

「いいからこっち!」


 腕を引っ張られ、ギルド職員専用部屋まで連れていかれる。


「・・・で、なんです?もし俺に性的に何かしたらノエルさんを呼びますよ。どうなるかわかってますね。」

「違うよ!そうじゃなくて!・・・この手紙の家紋、見覚えある?」


 ラムサスさんはそういうと、俺に一通の手紙を見せた。


「? 手紙ですか?心当たりは・・・あぁ!クリスからかも!」

「クリスって・・・もしかして、クリフレッド家の人?」

「ええ、そうです。近いうちに俺に手紙を送るっていってましたから。多分それかと。」

「「・・・・・・・・・・」」


 二人にすごい目で見られる。


「な、なにか?」

「どうしてクリフレッド家と繋がりがあるんだい!?名門中の名門だよ!?」

「そうですよ!魔法使いであれば知らない人はいないほどの名家ですよ!?」

「「へ~。」」


 ノエルさんにとってのそこそこは、人間族的には超すごいってことなのか。だまされたぜ。

 ラムサスさんにもそこそことかいってたもんな。基準が違いすぎてよくわからん。


「えっと、友達?になったんですよ。」

「つーかヒロの弟子にね!ふふふ、すごいでしょ!」

「「弟子!?クリフレッド家の人間がヒイロ(くん)(さん)に!?」」

「あーえっと・・・まぁそのへんは軽く流してください。とりあえずお手紙をいただきますね。」


 ラムサスさんから手紙を奪い取り、中を確認する。


「えーなになに・・・」


『拝啓、お師匠様。

 曇り空の多い今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?

 私はお師匠様にお会いできない寂しさに心痛める日々を過ごしております』


「「・・・・・・」」


 手紙を覗き込むさきねぇと一緒に黙ってしまう。

 え、お会いできない寂しさって、出会ったのも別れたのも数日前だぞ?

 とりあえず続きを読む。


『学園に戻りお師匠様の素晴らしさを話すと、周囲の人間はお師匠様のことを私を騙している詐欺師だというのです!全く、お師匠様のことを詐欺師扱いとは、凡人どもは一体何を考えているのでしょうか?

 ですがご安心ください。お師匠様を侮辱したものたちは全て黙らせました。もしお師匠様が納得できない、許せないと仰られるのであれば、加えてしかるべき対処をしたいと思います。』


「「・・・・・・・・・」」


 え、黙らせましたって、どうやって?そしてしかるべき対処って何するの?

 この子、怖い。

 その後も俺をひたすらに褒め称える文が続く。


「・・・ヒロ、あいつ、もしかしてストーカ「それ以上いわないでくれ。」


 ぼっちが長かったみたいだし、仕方ないんだ。

 温かい目で見守ってやろう。


「・・・返事でも書きますか。郵便ってここで頼めるんですか?」

「え、ええ。王都に向かう商人に頼むのが一番安いですけど・・・クリフレッド家となると、ちゃんとしたところに頼まないと怖いですね。」

「そうですか。マリーシアさん、手配お願いできます?」

「ええ、かまいませんよ。あ、もし返事書くならこの便箋どうぞ。」

「お、気が利く。さすがギルドのナンバーワン受付嬢。」

「!? ヒ、ヒイロさんに普通に褒められた、だと・・・?」


 まぁたまにはね。飴と鞭方式ですよ。


「えっと、クリスへ。お手紙ありがとう。ん~、俺のことを悪くいうやつらの大半は君に取り入ろうとするやからでしょうが、一部にはきっと君の事を本当に心配して忠告をしてくれている者もいると思います。あまり邪険に扱わないように。俺は気にしてませんので、と。あとは・・・」


 よし、こんなもんかな。


「じゃあマリーシアさん、これお願いします。料金はあとでお支払いで大丈夫ですか?」

「えっと・・・ええ、大丈夫です。ではお預かりします。」


 マリーシアさんはチラッとラムサスさんに視線をやり、了解をとってから受け取る。


「ではお願いします。よし、じゃあさきねぇいこっか。依頼何受ける?」

「そろそろダンジョンいきたくない?」

「えー、怖い怖い怖い怖い!ノエルさんと一緒にいこうよ。」


 そんな『今日天気もいいからダンジョンいっちゃう?』みたいな散歩気分でいくもんじゃないだろ。


「保護者同伴かよ。冒険者としての誇りはどうした!」

「そんなもんグミーにでも喰わせろよ。命大事に!」

「えー、いーこーうーぜー!」

「わかった。間をとって街でデートしよう。」

「賛成です!その『ギルドにきたからといって依頼を受けなければいけないわけではない』っていう柔軟な発想が軍師にとって大事よね!」


 結局、その日はアルゼン内を練り歩いて終わりになった。

 もちろん手を繋ぎいちゃいちゃしながら。

 とても有意義な一日だった。



 その三日後。


「ヒイロさ~ん、また手紙が届いてますよー。」

「もう返事きたの?早いな。」

「・・しかも。三通。」

「「三通?」」


 日付は・・・一日おき。

 あいつ、毎日手紙出してんのかよ!?

 とりあえず内容を確認する。


 三通とも中身の半分は俺への賞賛、半分は今日は何をしただの、学園ではどんなことが流行ってるだのの世間話だった。


「・・・ねぇヒロ。言っていい?」

「言わないで。」

「これ、『あこがれの先輩に告白してOKもらった女子中学生が嬉しさのあまり、とりあえずなんでもかんでもメールで報告しちゃう』感じにそっくりね。」

「だから言わないで!」


 しかも毎日くんのかよこれ。返信きついんですけど。


「えっと、クリスへ。俺はE級冒険者なので毎日返信するにはお金的にきついしクリスも大変だろうから無理しないでね、と。」


 これで毎日送信もなくなるだろう。

 と思っていた俺が甘かった。



 一週間後。


『お師匠様へ。気を遣わせてしまい、大変申し訳ありません。返信用便箋とクリフレッド家の家紋の入った封筒を同封します。これを使えばお金はかかりませんのでどうぞ使ってください。』


「そういうことじゃねーよ!手紙メールの毎日送信をやめろといっている!」


 すげぇめんどくさい・・・

 ダメだ、クリスに空気を読めという方に無理があったか。

 とりあえず続きを読む。


『そういえば、なぜお師匠様ほどの魔法使いがE級なのでしょうか?絶対におかしいです。ひょっとしたら冒険者ギルドの陰謀かもしれません。このクリス・ウル・クリフレッドに全てお任せください。必ずや公正公平な判断を下させてみせます。』


「お任せしないよ!?何いってんの!?」


 手紙の向こうでドヤ顔のクリスが目に浮かぶ。

 俺は他の冒険者たちに嫉妬で嫌がらせされたりするのが嫌で、わざと昇格してないんだよ!

 実はD級昇格の打診はラムサスさんから何回もきてるのだ。

 俺はなんだかんだ理由をつけてそれを断っているのでE級なのである。

 すくなくとも冒険者暦が一年を越えるまではD級に上がるつもりはない。

 いくら車の運転が上手かろうが、最初は初心者マークをはずしてはいけないのと同じだ。

 なんか失敗しても『自分らE級なんでwサーセンww』って逃げられるからな。


「えっと・・・返信用封筒はありがたく使わせてもらいます。ただ、俺も依頼を受けたり修行をしたり家事をしたりと忙しいので、出来れば一週間に一度くらいの頻度にしてくれると嬉しいです、と。それと~、君の師匠は考えがあってあえてこのランクに留まっているのです。気遣いは無用です。心配してくれてありがとうね、と。こんなもんか。」


 視線を感じたため、ふと目線を上げるとさきねぇとマリーシアさんが俺を見ていた。


「・・・なに?」

「なんか手紙の内容聞いてるとヒイロさん、私の時と違って優しくないですか?」

「あいつ、懐いてくる後輩好きだからね。イケメンは特に。」

「あー。だからスレイくんにも優しいんですね。」


 ほっとけ!イケメンの後輩が懐いてきたらかわいいやろ!

 さきねぇのせいで女性全般と関わる事がほぼなかったんだから、せめて男くらいイケメンと仲良くさせてくれ!

 俺の心の叫びは誰にも届かなかった。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

ご意見、ご感想ありましたらよろしくお願いいたします。


ムラサキお姉ちゃんにマリすけを絡ませると筆が進む進む(笑

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