第一姉 「ヒロ、お姉ちゃんと一緒に夜の散歩という名のデートにいきましょう!大丈夫!何もしないから!」
この作品は「なんでなんちゃってファンタジーが舞台の、重いシリアスのないいちゃラブコメディはないんだろう?」という疑問が「だったらいっそのこと自分で書いてみるか」という結論に至ったものです。
また、世間の『姉=エロ要員』、『姉=サブヒロイン』という風評被害をぶっ壊し、姉の良さを多くの方に知ってもらう為に書いた作品でもあります。
『姉属性完備』『日常に疲れたから、ただただ明るい話が読みたい』『重いシリアスとか意味わかりません』『いちゃいちゃっていいよね!』という方におすすめです。
主人公は弟ですが、最強ではありませんし最強にもなりません。
努力と工夫と知識、そして姉への愛で頑張ります。
姉は世界最強クラスのチートマスターであり、近親相姦上等!なレベルのガチブラコンです。
注意
この物語は、他の作品なら『俺たちは町に向かった』の一行で終わるような場面も、いちゃいちゃしたり、アホな会話をしながら進むため、丸々一話使ったりします。
また、六章まではファンタジーっぽいことをしてますが、七章からは魔法少女やったり大食い大会に参加したり芋掘ったりして遊んでることがほとんどです。
さらに作中では『……』ではなく『・・・』を使っておりますが、仕様です。
ご了承ください。
注意
月明かりの下でパチパチと火の粉が舞っていた。
あたりは木々に覆われ、近くからは小川のせせらぎが聞こえている。
そこに一組の男女がいた。
「ねぇねぇ、もう焼けた? 焼けたんじゃない? いけるんじゃね?」
美少女とも美女ともいえる、かわいらしさと美しさが同居するような女性が上目遣いで男性に聞いている。
どうやら焚き火で鮎の塩焼きのようにして、串刺しにした魚を焼いているようだ。
あたりには香ばしいにおいが漂っていた。
「ちょい待ち・・・ん、もういけそうだな。」
一方、どこにでもいそうな平凡な顔の男性はそう答える。
「いやっはー! 一番口はもらったー! もぐもぐごっくん! うめー!」
「せっかくの食事なんだからもうちょっと落ち着きを持っ「ヒロー、あーん♪」
「・・・」
台詞を遮られたヒロと呼ばれた男は、結局あーんで焼き魚を食べさせてもらった。
「おいし?」
「ん、おいしいよ。」
「私が食べさせてあげたんだから当然よね! 次は私ね! あーん!」
えさをねだる小鳥のように口を開けて待つ女性に、男性は持っていた焼き魚を差し出す。
「あーん。」
「あー・・・ん。もぐもぐ。」
「おいしい?」
「ん。ヒロが食べさせてくれたから世界で最高においしいわ♪」
「そりゃよかった。」
ここまでのやりとりだけで判断するならば、バカップルがキャンプ場にでもデートに来ていちゃいちゃしているだけに見えるだろう。
わかりやすくいうとリア充爆発しろ、というやつである。
だが、この二人に関しては少し事情が違った。
なぜなら、この場所はキャンプ場などではなく森の中だったからだ。
なぜなら、今食べている魚はフライフィッシュと呼ばれる魔物の成れの果てだからだ。
なぜなら、夜空には二つの月が輝いていたからだ。
そして。
なぜなら、この二人は実の姉弟だからだ。
なぜ姉弟がこんなよくわからない場所でいちゃいちゃしながら焼き魚パーティーをしているかというと。
これには少し理由があり、それを説明するには数週間前にさかのぼるのだが。
それに関しては当事者に語ってもらうのが一番だろう。
「ヒロ、お姉ちゃんと一緒に夜の散歩という名のデートにいきましょう! 大丈夫、何もしないから!」
読んでいた雑誌を放り投げ、俺の双子の姉である初月紫が突然そんなことを言い出した。
姉弟でデート?と思われる方もいるかもしれないが、超級のブラコンである我が姉はこれが平常運転だ。
そして俺も隠れシスコンであるので、普段であれば了解~と返事をするところだが、最後の「何もしないから!」が気になった。
ちなみに俺がシスコンであることは知り合いならば全員知っている。隠れてない。隠す気もないが。
しかし、言わせてもらうが俺は健全なシスコンである。イエス、シスター!ノー、タッチ!である。
話を戻そう。
姉の「何もしないから!」は限りなく危険なのだ。
たゆんたゆんなおっぱいを押し付けてくる軽いセクハラですむ時もあれば、知らぬ間に心霊スポットに連れて行かれた挙句、いきなり姿を隠しキョドる俺を覗いて楽しむという俺の心に深い傷を残したこともある。
あの時はさすがの俺も激怒し、それから姉のことを10分も無視した。
まぁ結局、姉が惚れ惚れするようなジャンピング土下座を決めつつ大号泣で謝罪したため、許してあげたのだが。
姉の名誉のために言うが、決して姉の性格が悪いわけではない。
彼女にとって、弟の喜怒哀楽全てが愛おしいため、ついついいじめてしまうのだそうだ。
こっちはたまったもんじゃないが、結局許してしまうのはそれが愛ゆえであることを知っているためだ。
「ヒローいいじゃないー減るもんじゃなしーホルモンじゃなしー!」
「うん、ホルモン全く関係ないよね。」
「あ、今うんっていった! 言質をとったぞ! ねんがんのげんちをとったぞ!」
「ころしてでもうばいとる。」
「な、なにをするー」
くっそ、ここまで話してて楽しい人間に会ったことがない。さすが俺の半身。
「はぁ・・・いいよ。おーけーだマイシスター。今日はどこにいきますかね。」
「久しぶりにプールいきましょうよ! よーし、お姉ちゃんちょっとお花摘みいってきちゃうぞー!」
「別に報告せんでいい。」
(作者メモ。お花摘みとは女性がトイレにいくのを誤魔化すための隠語です。)
姉はニコニコしながら花を摘みに行った。
俺はさきほど姉が放り投げた雑誌に目を落とす。
『デートの最後は海の見えるロマンチックな場所でキス!』と書かれている。
プールとは近所の神社にある池のことだ。
理由は不明だがいついってもきれいな水で満ちており、水深も浅いため、子供のころは夏になるとよく遊びに行った思い出の遊び場だ。
「しかし海のかわりに神社の池とか・・・強気にもほどがあるだろ。」
まぁあの場所も最近はぜんぜんいってないからな。思い出を語り合うのも悪くない。
それから家を出発し、歩いて15分ほどで目的地のプールがある神社に到着した。
神社といっても規模は小さい。小さな山のようになっているが、入り口から本殿まで5分とかからない。
その道の途中に池はあるのだが、今日はいつもと違っていた。
「なんか明るくね?」
「ほんとね。なんか光ってる感じね。・・・まさか、未確認飛行物体ユーエフオーは実在したの!?」
姉の目がめっちゃ輝いてる。この人こういうの大好きだからな。
といいつつ俺も大好きなので、ドキドキしながら池に向かった。
結論として、池が光ってた。あと渦巻いてた。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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