発端の源流
僕は家族を捨てて海に来た。
妻には悪いことをしたと思うが、三十年前の約束を果たさないといけない。
怨むのならば、僕だけを思いっ切り怨んで欲しい。
未練なんて、残らないほどに。
※
憂鬱なテスト週間が終わて一週間が過ぎた。
‐クラスの空気が相変わらず重たい……。
‐テスト結果発表は、地獄だったからな。
名指しで何位かを発表するのは酷すぎるだろ。
‐そう言う俺達は十五位。
‐クラスの半分より少し上をキープ中
‐アンリたんは堂々の一位だったお。
‐それを言えば、あの中二病も一位だったぞ。
/カニェッツ、総合的にはアンリが一位だったから、別にどうでもいい。
いつまでも、過ぎた事をクヨクヨウジウジ嘆いていても意味がないと云うのに引きずっている奴が多い。
‐予想より悪かった。
‐予想外に悪かった。
‐意味は一緒だ。
‐何か言い訳が欲しいんだよ。
‐掃除をしたり、突然腹痛が襲ってきたりな。
‐ナニそれ、俺じゃん。
/カニェッツ、最後の奴のせいで、俺の部屋はピカピカになったのか。
‐良かったじゃないか。
=結論、悪いことばかりではない。
そんな慰安が必要な奴が多すぎる我がクラスに、無駄に大きな爆弾を投げ落とした輩がいる。
‐だいたい決まってる。
「伊勢君、ちょっとつきあってほしいんだけど?」
‐一トン爆弾が直下に落ちました。
‐損害、はかりしれません!
‐周りからの殺気が強まった……!
=結論、逃げようにも逃げられない。
「取り敢えず、拒否したいんだが……」
「それを拒否します」
‐テンプレ乙
‐速攻断られたか。
‐話しかけられたときから、この結末は決まっていたんだ。
‐せめて何らかの嫌がらせを。
/カニェッツ、それは前回した。
「俺以外を誘うという選択肢は?」
「無いよ」
「前の貸しをここでチャラという事で」
「今は借りの方が多いよね?」
‐駄目です、逃げられません!
‐馬鹿者! 諦めたらそこで終わりじゃあ!
‐じゃあ対抗策をどうぞ。
‐…………
‐無いのかよ……。
‐万策尽きたか。
しょうがない、おとなしく厄介事に付き合おうか。
「非常に不本意ながら、厄介事に付き合うが……、今回は何に付き合わせるつもりだ?」
「兎にも角にも、まずはこれを読んで」
そう言って、アンリは鞄から若干古びた黄色い小冊子を取り出した。
~成績
中の上ぐらいを目指すのが一番。
~爆弾
花火も見方を変えれば爆弾。
その逆も然り。
~この章について
拙作の『海の姫』の世界とリンクしています。
~アトガキ
テスト週間が今日終わりました。
疲れました。