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プロローグ
やっとこさ、新連載です。
真夏にはまだ早い七月。太陽は今日もギラギラと輝いて、道を行き交う人々を上から焦がしている。気温はすでに三十度後半を超え、授業中は密室となる共学なのに男しか居ない我らが教室は地獄と化している。
甘酸っぱい青春の匂いと言えば耳心地は良いが、その実男臭さとむせかえる汗の臭いの混ざり合うただの蒸し風呂に毎日通う俺、伊勢ナスカは三重県に住む、ごくふつうの高専生だった。
そう、だったんだ。
あの日、あの時、あの瞬間までは。
※
さて、プロローグを語れるという名誉な事なのか、厄介事を押し付けられたのか分からない事を任されたのだが、正直特に何も語ることがない。
俺にとっての日常が崩れたのが何時だとか、謎の転校生が云々なんて常套文句的な物は他の作品で出尽くしている。
かといって、希を狙って他にない特殊なのを試してみれば、それは異端と言える。
とかくめんどくさいものだ、プロローグというものは。
さて、これから始まるのは面白みもなく、退屈で、つまらないただの非日常だ。
それでも良いという物好きな人はそのまま進んでほしい。