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魔物RPG  作者: 覇気草
16話~31話
17/20

第17話 プラン、使役する

 


 進化したイヌの魔物から矢が抜けて落ち、体が一回り大きくなり、体が緑色に変わっていた。頭の上には大きなピンクの花が咲いている。


「とりあえず、進化おめでとう」


「あ、ありがとうございますぅ」


 イヌはぺこりと頭を下げた。


「それで? どうして冒険者に追われていたの?」


「えっと、それは……笑わないでくれますかぁ?」


「話を聞かないと、そもそも笑うかどうかわからないよ」


「それもそうですねぇ。じゃあ話しますぅ。私、ログアウトできなくなってから草とか花ばかり食べていたんですよぉ。でも段々とお肉が食べたくなって、お肉を分けてもらおうと人間に近づいたんですよぉ。そしたら急に襲い掛かって来て、今に至りますぅ」


「……ソウナンダー」


 ダメだこいつ、頭がお花畑だ。

 あとその語尾はなに?

 キャラ作りなのか天然の口癖なのかどっち?

 俺も、キャラづくりした方がいいのかな?


「さっきは助けてくださり、ありがとうございましたぁ」


「いえいえ。たまたまこっちに向かって来たからやっただけで、助けるつもりはなかったよ」


「そうですかぁ。それは失礼しましたぁ」


 イヌがまたぺこりと頭を下げた。


 別に謝る必要性もないんだけどな。


「ところで、進化したあとの種族ってどうなってる?」


「種族ですかぁ? えー……プラントウルフって、種族ですぅ」


 イヌじゃなくてウルフなんだ。

 変な進化したのは、草ばっかり食べてた影響なんだろうな。


「教えてくれてありがとう。じゃあこれで」


「はいぃ」


 プラントウルフと別れて移動を再開。後ろから草を踏む足音と気配が離れない。


 …………付いて来てるし。


 立ち止まって振り返る。


「あの、なんで付いて来るの?」


「ふぇ、付いて行ったらダメですかぁ?」


 ……考えたら断る理由がないな。


「うん、別にいいよ」


「そうですかぁ。じゃあ付いて行きますぅ」


「うん、よろしく。えっと……仮の名前としてプランって呼んでいい?」


「はいぃ。あなたのことはなんて呼べばいいですかぁ?」


「クレイ。仮の名前だけどね」


「クレイさんですねぇ。わかりましたぁ」


 テレレレーン♪

 プラントウルフのプランが、仲間になったぞ!

 いざとなったら囮にしよう。







 二人で移動を始めることになり、無言のまましばらく歩いた。

 小さな川を渡って二人してブルブル体を震わせて水を飛ばしていると、前方の大きな茂みから何かが一体飛び出して来た。


 わぁ、カマキリ。


 それは緑の体色をした、成人男性並みにでかいカマキリだった。腕の鎌は刃物のように鋭くなっていて、かなり強そう。


「よし、ここはプランに任せた」


 と言って俺はさっさと離れる。カマキリは俺より大きいプランを標的にしたようで追って来ていない。


「やってみますぅ」


 遅れて答えたプランは、頭に咲いてるピンクの花がふくらんでピンポン玉くらいの種を飛ばした。

 カマキリに当たるとピタリとくっつき、溶け込むように体に入り込んで消えた。

 ――直後、カマキリの頭の上に小さなピンクの花が咲いた。

 そして動かなくなった。


「やりましたぁ。寄生に成功して使役できましたぁ」


 えっ、なにそれこわっ。

 笑顔でこっち来ないでほしいんだけど。


 とは思いつつも、凄いことは凄いので俺も笑顔で応じる。


「お疲れさん。凄いスキルだね」


「はいぃ。でもこの【寄生ダネ】ってスキル、頭の花が取れたら使役が解除されてしまうので、注意が必要なんですぅ」


「ふむ。それはちょっと使いづらいね。特に頭の花がめちゃくちゃ目立つし、花自体はもらいだろうから解除も簡単そうだし」


「そうなんですぅ。それに使役している間は絶対服従なんですけど、意識はあるみたいなので、変なことには使えないですぅ」


 ……言い方的に、意識がなければ変なことに使うってことだよね?

 俺は君が恐いよ。


「まぁ、丁度いいお供ができたってことでいいんじゃない?」


「はいぃ。ではカマキリさん、お腹が空いたのでお肉を取って来てくださいぃ」


 プランは早速命令し、カマキリの魔物は獲物を探しに飛んで行った。

 それからすぐ、何かが倒されてカマキリが器用に鎌で持ち運んで戻って来た。

 プランの前に置かれたのは、俺たちくらいなら丸呑みしそうな巨大な芋虫だった。緑の体に気持ち悪い模様で、ズタズタに引き裂かれ緑の血を流して絶命している。


「ふえぇ、芋虫なんて食べられないですぅ。他の物を取って来てくださいぃ」


 命令されたカマキリはまた飛んで行った。


 確かに見た目は気持ち悪いけど、貴重なたんぱく源なのにもったいない。


「食べないなら、私が食べるよ?」


「ええぇ……これ食べるんですかぁ!?」


「うん、食べる」


「じゃあ私も食べますぅ!」


 いや、対抗しなくていいんだけど……まぁいいか。


「じゃあ、一緒に食べよう」


「はいぃ」


 というわけで、いただきます。


 二人一緒に芋虫をガブリ。


「ふえぇ、青臭くて苦くてドロドロですぅ。けど、コクがあって卵の黄身みたいで味は濃厚ですぅ」


 余程不味かったのか、プランは川の水をガブガブと飲んだ。

 俺としては食べられないものでもないので、お腹いっぱいまで食べた。




 しばらくするとカマキリが獲物を持って戻って来た。

 今度は三メートルくらいの長さで充分な太さの、多分、ワームだろう魔物。口の内側にびっしりと鋭い歯があって禍々しい。ズタズタに引き裂かれて絶命している。


「今度は美味しそうですぅ」


「どれどれ」


 一緒にガブリ。


「おおぉ、これはお肉ですぅ! 弾力があって牛肉のような脂と旨味があるですぅ!」


 うん、確かにそんな味がするし美味しい。ジャンクフードのハンバーガーのパティにするならいいかもしれない。

 見た目がヤツメウナギとかミミズっぽいから、加工前提だけど。


 プランが凄まじい勢いでがっつき、ワームから口を離した。


「ふぅ。お腹いっぱいですぅ。カマキリさん、あとはあなたにあげますぅ」


 言われたカマキリはワームを掴み取ると、モグモグと食べ始めた。




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