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LAST GAME  作者: よむよみ
第四章外伝 魔王降臨

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第五十六話 魔王降臨

 日曜日の21時。今日もコアタイムが始まった。


 いつも通りコアタイムになるとGCジーシーが増え始めた。

 安らかな音楽、子供のころの映像、とてもゆるい時間だ。

 ただ、増えていくGCジーシーがこのひと時を肯定してくれている。


 時々、地響きと共に振動を感じる。

 とても小さい声と揺れで、ほとんど気にならなかった。

 どこかを移動しているみたいだが、操作もできないし、俺にはどうでもよかった。


 心地よい空間にいた。もうずっと、このままでいいと思っていた。

 もうこのまま目を閉じて眠りにつこうとしたその時だった。


「TAKASHI!!」不意に俺を呼ぶ声が聞こえた気がした。

 心地いいリズムのBGMの中に、雑音のような音が確かにあった。

 俺は心がざわつき、耳をすませた。

 辺りの音をかき消すようにBGMの音量は大きくなっていくが、確かに声が聞こえた。

「TAKASHI!TAKASHI!TAKASHI!TAKASHI!」ずっと俺を呼んでいた。


 声の主を思い出す。

 いろんな経験をした。いろんな冒険をした。楽しかった記憶を思い返す。


 そうだ……、俺はこのままではいけない。

 早く、起きなくては……。


「思う通りにさせるもんか!」


 起き上がると、手には剣を握っていた。

 俺は、手あたり次第に周りを攻撃した。

 ここは意識の中、抽象的なうやむやなものに囲まれている。

 無我夢中で、何を切っているのかわからないが、確かに手ごたえはあった。


「邪魔をするな。お前の体は俺のものだ!」

 聞き覚えのある声だった。不気味な声。悪魔の巣窟の地下の洞窟奥深くで聞いた声だ。


 その正体が俺の目に見えるような姿となって現れる。とても小さいが魔王のようだ。

 俺は手に持った剣で、魔王を切りつける。


 冒険を始めた頃に持っていた安っぽい剣だ。

 それに、盾も鎧も身に着けていない。

 こんなんでは勝てるわけがない。


 だけど、気合と根性で魔王の攻撃を避け、剣で攻撃を加えていく。

 ダメージを与えられている感触はない。こんな安物の剣ではダメだ。


 だけど……、それで問題ない。

 外にはあいつがいる。

 十分な装備を持ち、鍛錬を重ねたあいつがいる。

 俺は、こいつの足止めだけで十分だ。


 今に見ていろ、あいつがお前をぶっ倒す!


「今のうちだ。早くとどめを!」


 ◇


 ここから先は、皆さんご存じのはずです。

 ですから、大幅に話を盛って記載いたします。

 ちなみに私、TKGの書記担当のマリオと申します。

 よろしくお願いします。

 それではどうぞ!



 TAKASHIが居なくなってもう大分経過している。

 私はずっと思い返している。


 冒険を始めてからずっと一緒だった。

 時々、私のノルマが足りなくて、二人でタスクをこなしたりした。

 そんなTAKASHIが今は、どこにもいない。

 悪魔の巣窟だって探した。

 突然出現した塔だって全部攻略した。でもどこにもいなかった。


 初めて冒険へ誘ってくれた日を思い出す。

 あの日から、もらったアイテム――

 加速ドリンクの空きビン、残ったポーションなどは、すべて私の宝物だ。



 そんなことを考えていた時だった。突然、地響きが聞こえた。

 すぐに外に出て、町を見渡した。

 地響きは西の方から聞こえる。私はすぐに町の西側に向かった。


 ゴオォォォォという轟音と共に、大きな手が現れる。

 街を滅ぼさんとするほどの手だ。

 そして、ゆっくりと姿を現した。

 魔王だ。


 でも……、それはTAKASHIだった。

 その顔は紛れもなくTAKASHIだった。

 大きさこそ違うもののTAKASHIだった。

 ずっとずっと探していたTAKASHIだった。


「TAKASHI!TAKASHI!こっち」

 私は呼び続けた。

 だめだ、自我を失っている。街に襲い掛かっている。


 魔王の魔法により多くの街の人々が吹き飛ばされた。

 それでも、こちらにはまだ、多くの仲間が残っている。


 残った仲間のうちの一人、ケンジが魔王へ切りかかる。

「これでとどめだ!」「雷神剣!」


 とても強烈な一撃が放たれた。ただ……、打倒魔王には届かない。

「フッ。フフッ。フハハハハハッッッ。人間とは弱きものよ!

 これで終わりだ!」

 魔王の不気味な声が街に響く。


 お願い、こっちを見て、気が付いて、あなたはTAKASHI。

「TAKASHI!」戦いが始まってからずっと、私は呼び掛けていた。

 魔王がこっちをちらりと見た。初めて私の声が届いた気がした。


「思う通りにさせるもんか!」どこからか声が聞こえる。

「TAKASHIの声だ!TAKASHIがいる」


 やっぱり、TAKASHIがいるんだ。TAKASHIを助けなきゃ。


 今までの冒険を思い出す。

 TAKASHIにはずっと支えられていた。

 ずっと助けてもらっていた。

 ずっと守られていた。


 ……。今度は、私が助ける番だ……。


 魔王を打ち滅ぼすのは、決まって聖なる力。

 私はありったけの聖なる力を集めた。

 周囲の多くの人々や物から聖なる力を集めた。

「今だけ。お願い。魔王を倒すのに必要だから……」


「邪魔をするな。お前の体は俺のものだ!」

「今のうちだ。早くとどめを!」

 魔王の体の中で、TAKASHIと魔王が体の主導権を争っているようだ。

 魔法を急ぐ必要がある。


 そして、街中の力が集まった時、私は、魔法を唱えた。


「魔を滅ぼす古の力よ。闇を払う聖なる光よ。

 魔を滅し、TAKASHIを救いたまえ。究極魔法よ、あなたに届け。ホーリー!!」


 体の中央から放たれる集約された聖なる力が、魔王を貫く――はずだった。


 ……。


 もちろん、ホーリーは発動しない。

 えてして、仲間の放つホーリーは発動しないものなのだ。

 エア〇スの思いを秘めたホーリーだって発動しなかった。


「だって、私……。

 暗殺者なんだもん!!」


「TAKASHIは、俺が守る!」「魔滅水光剣!」

 私の茶番をよそに、KOJIが魔王へとどめの一撃を放った。


「なぜだ。なぜ人間ごときに……、これは夢だ…。これは夢なんだ………」

 魔王の断末魔の叫びが響き渡り、魔王の体が消滅していく。


 消滅していく魔王の体から、TAKASHIの体が現れた。

 私はすぐさま近寄り、だきついた。

「TAKASHIの馬鹿!」

「ああ、助けてくれてありがとう」


 TAKASHIの胸で私は、そっとつぶやいた。

「私……、やっぱり僧侶にしておけばよかった……」


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