第四十五話 にじゅ……いや、十九日目
10月19日(金)20時。
おい、昨日も19日の金曜日だっただろ。
だから、今日は20日の土曜日のはずだ。
作者さん、誤記ですよ。
そう思った読者もいるかもしれない。
そんなことはない。古代魔術が使用された。
つまり、ダブル金曜日が発動し――「月火水木“金金”土日」となった。
古のサラリーマンは、さらにダブル月曜日、トリプル金曜日なる秘術を用いて、それこそ無限に働いたのだ。
……。24時間働けますか?だと?働けるわけがない!
そんなものは古の魔法だ!現代社会に通じるわけがない!
ちょっとなめすぎじゃないか!こんなことして読者ついてくると思ってんのか!
――曜日固定でゲームが進行する以上、仕方ないね。
だーかーらー、曜日じゃなくて週一で進めればよかったんだよ!
季節が変わりすぎるとか気にしちゃいけなかったんだよ!
なんなら、塔の数を3つにしてもよかったじゃないか!
――……。WEB小説だから仕方ないね。塔は4つの方がかっこいいんだ……。
――それに、日付と曜日を記載していた事、この話のための伏線だったってことにできるじゃん?
作者は自信満々の様子だ。
嘘だ。ただの虚勢だ。本当は心配だ……。
――でも……「天曜日」よりは、ましだと思ったんだもん。
この国の曜日は惑星から名付けている。
だから、もし一週間が8日なら、次は天王星の天曜日のはずだ。
ただ……、天曜日だと、他言語に翻訳ができない。
だから「天曜日」よりは「金曜日が二回」の方がましかもしれない。
とはいえ、こんな横暴が許されるもんか!
――でもさ、でもさ、でもさ、でもさっ。
――金曜日に頑張って2つ塔攻略しましたって書くより面白いじゃん。ねっ?
「作者は、ごり押しで曜日を一日増やす技を覚えた!」
成長するのはキャラクターだけではないんやで……。
……。いろいろ思う事はあると思いますが、これはただのWEB小説です……。
そして、今日は10月19日(金)の翌日の10月19日(金)。
昨日と同じように、モールとの会話から始まるようです。
気づけばまた金曜日、このサーバーももう終盤だ。
「西の塔の攻略。また、TKGが記事になっていますね」
モールの言葉に、俺は焦った。時間のロスはない。今回は自信があった。
TKGの時間は28分45秒。我々より3分ほど早いようだ。
記事を読んでも、我々と同じぐらいレベル上げをしている。
それにボスを倒すのにかかった時間も、ほとんど同じ。
塔の攻略にかかった時間が我々よりも早いってことだ。
あらかじめトラップを予想していた我々より早い……。
もちろん、我々だって加速ドリンク使っているのに……。
いや、たまたまだ。偶然に違いない。次は我々が勝つ。
ピレジの記事によると、今日はアクション要素が強い。
アクションに強いメンバーを集めて、ピレジと共に南の塔の攻略を目指す。
TKGは6人。我々のようにメンバーの選定はできないだろう。
アクションなら我々に分があるはずだ。
21時。コアタイムが始まった。
昨日と同じようにレベル上げをして、南の塔に向かう。
黄色い塔を見上げた。
以前見た時は、鈍い色で古ぼけた印象だったが、今回は光り輝き近代的な印象を受けた。
「昨日より、危険な雰囲気があるぞ。みんながんばれ!」
「いや、ケンイチも頑張れ!」ピレジの激励が飛んだ。
もちろん、俺も頑張るけどさ。お決まりの命令じゃないか。
でも、言われて気づく。
“みんながんばれ”って……、偉そうだな……。
いや、お前も頑張れよって、同じように思ったんだろうな……。
ピレジは、颯爽と門を開き、今日も先頭を進んでいく。
門の右側には「Po」の文字。
一本道の通路が続く。壁には、前回と同じように穴がいたるところに開いている。
やっぱり、ピレジの記事の通り毒の矢のトラップようだ。
ピレジを先頭に我々は走り抜ける。
途中ピレジの声に合わせて、我々は体を動かす。
「右」「左」「左」「左」「今度はジャンプ!」
この調子で、最上階まで走り抜ける。
レベル上げ、アイテムを使って、黄色いドラゴンを倒す。
そして、幾何学模様の黄色いクリスタルに触れる。
頭上から黄色い光がのび、封印の剣が落ちてくる。
その剣を手に取った。
今回は、一階からここまで走り抜けた。
ドラゴンも問題なく素早く倒した。
時間にして28分前後。
今度こそ、TKGより早いはずだ。




