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LAST GAME  作者: よむよみ
第四章 魔王の秘密

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第三十八話 十日目

 10月10日(水)20時。


 この掲示板の記事は、攻略記事。

 ある程度の着色は許されるとしても、嘘はよくない。

 後から見返した人が、攻略できなくなってしまう。

 そんな理由でピレポリネートタグネスゲーサーさんには、掲示板を書くのはやめてもらった。


 いろいろ工夫されていて、とても見る人の多い記事だった。

 アスキーアートで描かれる会話はすっきり読めた。

 あれを小説で書こうとすると、多分読む気になれない。

 思わずクスッと笑わされてしまった。


 でも……、だからといって……、嘘は許されない。

 特に、塔の攻略については、嘘だらけだった。

 私も、同盟員さんと一緒に、塔を全て攻略したからわかる。

 落とし穴、上下反転、矢のトラップ、回転床、そんなものは存在しなかった。


 あったのは、ただの部屋と迷路、一方通行の道、変な模様のタイルの部屋だった。

 だから、ゲーム下手な私でも、攻略できたのだ。

 もし、そんなトラップだらけだったりしたら、攻略できたか正直怪しい。

 きっと、面白おかしい記事にするため、着色したのだろう。

 こんな罠があったら面白いと思って創作したのだろう。

 ただの部屋を、不可思議なトラップだらけの部屋にしてしまう発想力は素晴らしい。

 正直、すごいと感じた。

 でも、ここは攻略するための記事を書く場所なのだ。

 攻略したいと思った時に読む記事なのだ。

 とても面白い文章だったけれど、仕方がない。


 だから、今日は私が、塔攻略の真実を記載しよう。

 少しつまらなくなるけれど、仕方ない。

 魅力のないサーバーに思われてしまうかもしれないが、仕方ない。

 ありのままの塔の様子を、掲示板に載せよう。


 そう思っていたのだけれど…………。

 塔は現れなかった。


 私は、解析班に聞いてみた。

「先週のこの時間、東の塔はあったはずよね」

「はい、ありました」

「なんでないのかしら?」

「それは、もちろん。悪魔討伐をしていないせいですね」


 ……そうよね。前回の時は、悪魔討伐がカギとなって、物語が進行した。

 今回は、その悪魔討伐のイベントが、まだ発生していない。

 当然、新聞にはなっていない。


 悪魔を探して、倒さないと、イベントが進まない。

 私は、そう思って、今日は悪魔を探すことにした。

「今日は悪魔を探そうと思う」

「はい。それがいいと思います。私たちも協力します」もちろん、解析班も一緒だ。


 今のところ、悪魔の目撃情報は無いようだ。

 どうやら悪魔は、21時~22時のコアタイムにしか出現しないらしい。

 コアタイムまで、しばらく待つことにした。


 21時になる。さっそく、私と解析班は一緒に悪魔を探しに向かった。

 昨日、悪魔は西の平原を南の方向に移動していた。

 南の平原になるかあるはず、私たちはそう思って南の平原を探した。


 案の定、すぐに探している物は見つかった。

 ぽつんと一軒家が建っていた。

「昨日までは無かったわよね」

「はい、ありませんでした」


 めちゃくちゃ大きいとは言えないが、2人ぐらいで済むには十分すぎるぐらいの家。

 ただ、人が作ったとは思えない、レンガでも土でも木でもない、見たことのない素材でできていた。

 まがまがしい色で、どう考えても中に悪魔がいるのだろう。

 それに、表札の代わりに、悪魔の顔の旗が飾られている。


 ただ、当然のようにTKGが、護衛していた。

「悪魔は、我々が保護している。近づくものは切る」TAKASHIの吹き出しにそう書かれている。


 昨日と同じように、護衛は3名。残りの3名はおそらく、経験値稼ぎをしているのだろう。

 昨日敗れた事もあり、戦力の差は、大きく広がっているに違いない。

 もはや我々に勝ち目はない。


 昨日の戦争に対しては、とても後悔している。

 私が戦えば、当然、同盟員たちも助けようと参戦することはわかっていた。

 これまで通り、軽々しく勝てると思い込んで、安易に戦争を始めてしまった。

 私のそんな安易な行動によって、多くの仲間が犠牲になってしまった。

 とても悔しい出来事だった。胸が痛んだ。


「中に、悪魔がいるのね?」

「ああ、そうだ」私の問いに、TAKASHIは簡単に答えた。

「悪魔を倒さないと、イベントが進まないようなのだけれど」

「我々は、悪魔の保護が、このサーバーの攻略のきっかけになると考えている」

「交渉にはならなさそうね」

「そのようだな。悪魔を倒したければ、力づくで我々を倒してからにするがいい」


 私は、「お姫様」ではいけなかった。

 誰よりも冷静に戦場を見つめ、最適解を探さなくてはならなかった。

 これからは「秘書」になろう。

 まずは、直ちに、この辺り一帯を封鎖しよう。

 これ以上、TKGの犠牲者を増やしてはならない。


「南の平原の中央付近にある、謎の建物をTKGが防衛している。

 彼らは、とても強い。その辺りは避けて行動するように」

 私は、同盟チャットで皆に通達した。

 それから、さらにここに近づかせないように、通りがかる人を誘導し迂回してもらった。


 悪魔の討伐はできないが仕方ない。

 力のない者には、選択肢は限られている。

 大同盟の副総裁という力を持ちながら、何もできない現状に無力感を感じた。


 今まで助けられてばっかりだった。

 そんな同盟の力になれなかったことが、とても悔しい。

 足を引っ張ってばっかりなことが、とても悲しい。

 もっとしっかりと、実力を身に着けるべきだった。

 そう思いながら、今日のコアタイムの終わる時間まで待った。


 21時半になると、護衛は入れ替わる。

 これまで経験値稼ぎをしていたのだろう、鍛えられた3名が護衛を始めた。

 今まで護衛していた人たちは、経験値稼ぎに向かうのだろう。


 22時になって、TKGはログアウトしたみたいだ。

 でも、謎の建物の中に入っても、誰もいなかった。

 悪魔との接触は、やはり、コアタイムのみに限られる、そういう仕組みのようだ。


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