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LAST GAME  作者: よむよみ
第四章 魔王の秘密

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第三十七話 九日目

 10月9日(火)。


 私、本当は、「姫様」って呼ばれたかったの。


 初め、私はゲームが下手くそだった。

 でも、この同盟に入って皆に守ってもらえた。

 姫プレイを皆で楽しめた。

 ゲーム下手な私でもとても楽しかった。


 今まで、いろいろなゲームをやってきた。

 いつもあまり上達できなくて、あまり楽しめなかった。

 この同盟には、そんな私でも居場所があった。


 だから、私は「お姫様」になりきることにした。


 お姫様と言えば、浅井長政と市姫の娘の江かしら。

 織田信長の美人な妹として有名な市姫と、戦国屈指のイケメンと言われた浅井長政の娘の江。

 きっと美人に違いないわ。


 とすると本拠地は、お城がいいわね。

 江の生まれた、浅井長政の居城は、本当は小谷城っていうの。

 でも小谷城は、戦争で燃やされちゃったし、それに、それほど有名じゃない。

 だから、後に豊臣秀吉が同じ場所に建てた長浜城の方がいいかしら。


 そんなことを考えながら、同盟員たちにお願いしたら、簡単に本拠地は長浜城に決まったわ。

 とても上手くいった。しばらくしたら呼び方は、プリンセスから、姫様に変わるはずと思ってた。

 でも……。

 姫様と呼ばれる前に、秘書さんと呼ばれるようになっちゃった。


 なら、本拠地は、モールカンパニーがいいかしら。そして私はその会社の美人秘書。

 本拠地の移転にはまた、大量のGCジーシーが必要ね。

 同盟員さんたちには、もっと働いてGCジーシーを稼いでもらわなくっちゃ。



 ログインして、新聞を確認すると、やっぱり経験値稼ぎはTKGの方が上だった。

 大量のGCジーシーを稼ぐには、新聞に載るのが一番だ。

 だから、少し残念だった。


 今日も解析班の人たちに今日やるべきことを確認する。


「今日は、何をするのがいいかしら?」

「はい。ミス モール。今日も経験値稼ぎがいいと思います。

 火曜日と言えば、悪魔討伐がありますが、悪魔の登場する場所はランダムのようです。

 ミス モールには、確実に経験値稼ぎをしていただくのが効率が良いかと思います」

「なるほど。ありがとう。じゃあ、いつも通りサポートお願いね」

「了解しました!!」


 コアタイムが近づいてきて、総裁のケンイチが現れる。


「おはようございます。本日も経験値稼ぎがよいそうです」

「ああ、ありがとう。本格的なストーリーは明日からだね」

「ご慧眼です」キリッ。


 21時。コアタイムが始まった。


 私は早速、大量経験値を稼げる北の平原へ向かった。

 必要なアイテムなどは、同盟員たちが用意してくれる。

「まずは、これをお飲みください」私は、早速受け取った加速ドリンクを飲みほした。

 あとは、適当にEnterキーを押しておくと自動的に経験値が稼げる。

 敵とのエンカウントも、HPが減った時の回復も、同盟員たちがサポートしてくれる。

 私が下手なわけではないの、私がさぼっているわけでもないの。

 これが私の役割なの。

「お姫様」。何も考えなくてもいい。ゲーム下手な私にぴったりの役割だ。

 私は、いつも通り、チャット欄を読みながらEnterキーを連打する。


 突然、全体チャット欄に赤いメッセージが表示された。

「TKGのTAKASHIが、ファイナルクエストのななしのごん男を殺しました」

 PKプレイヤーキルだ。

「西の平原で殺された」と同盟チャットで報告を受ける。


 私は、同盟チャットにすぐに、西の平原に集合と伝え、経験値稼ぎを切り上げて私も現場へ急ぐ。

 我が同盟は、PKプレイヤーキル禁止だけではない。治安維持もするのだ。

 私たちがいるサーバーでのPKプレイヤーキルは許されない。


 TKGの今までの行動を思い出す。

 PKプレイヤーキルなんかしていなかったし、友好的だと思ってた。

 時折、新聞にも顔を出し、ゲームのうまい集団なんだろうって思ってた。

「TKG。なかなか見どころのある同盟だと思っていたけれど、ここまでのようね。

 私たちと敵対したらどうなるか、教えてあげなくちゃ。」


「西の平原」に着くと、既に、我らが総裁のケンイチがその場にいた。


「なぜ殺した?」

 ケンイチの問いに、TAKASHIが答える。

「悪魔の保護が、ゲーム攻略に必要と考えた」

 TKGは、悪魔を保護しようとしているらしい。

 確かに、TAKASHIの後ろには、南の方面へ移動する悪魔の姿が見えた。

「根拠はあるのか?」

「ない。ただ、あえて言えば、エンディングだ。エンディングのカットに悪魔がいた。

 悪魔には、何か重要な役割を与えられているはずだ」

 ケンイチは、TAKASHIの答えに、考えこんでいる。


 私は、そのお姿を横目に、副総裁としての行動を示すことにした。

「御託はそれだけか?我が同盟はPKプレイヤーキルを許さない。覚悟せよ」

 暗殺者でないとPKプレイヤーキルできない。

 しかし、暗殺者でなくてもPKプレイヤーキルしたプレイヤーを攻撃可能ということは知っていた。

 我が同盟では、サーバーの治安維持も活動の一つ。これまでも悪いやつらを倒してきたのだ。


 私が戦闘を開始すると、私を守るために同盟員も参加する。もちろんケンイチも一緒だ。


 こうして、TKGとファイナルクエストの全面戦争が始まった。


 今、TKGは、TAKASHI、マリオ、ごーやの3名。

 他にも、KOJI、AYATO、ケータの3名がいるはずだが、近くにはいないようだ。

 間違いなくチャンスのはずだ。


 3名 対 約60名。必ず勝てる、そう思っていた。

 ただ、相手の3名は、昨日経験値稼ぎのTOP、こちらの半数はほぼ村人同然だった。

 それに、暗殺者の能力は対人戦に特化しているようだ。

 こちらの戦力は見る見るうちに減っていく。

 そろそろ倒せると思っても、アイテムで回復されてしまう。

 思ったよりもずっと手ごわい。


 25分ぐらい経過しただろうか。

 私たちの同盟のまだ参加していなかった人たちもどんどん駆けつけてきた。

 相手の動きが鈍ってきて、アイテムもそろそろ尽きたようだ。

 もう少しで勝てる、ようやく勝てると思った、その時に変化が起きた。


「そろそろ交代だ」TKGの他メンバー、KOJI、AYATO、ケータの3名が現れた。

 レベルが異次元に高い。今まで北の平原で経験値稼ぎをしていたに違いない。


 これでは、勝てるわけがない…。我々の戦力はどんどん消えていった。


「ダメだ。我々もレベル上げの必要がある。北の平原でレベル上げをしよう」

 同盟チャットで、指示を出した。


 ただ、全体チャットの赤いメッセージは止まらない。

 元いたTKGが、アイテムを補充した上に、北の平原に現れた。

 彼らは、経験値稼ぎと共に、我が同盟員を屠り続けていた。


 ただでさえ、レベルが高く、暗殺者は手ごわいのに、経験値稼ぎの場も抑えられてしまってはもう終わりだ。

 我々の完敗だった。


 彼らは、西の平原にて移動中の悪魔を取り囲み、

「我々は悪魔を保護する。近づいたら切る」と通行人を脅している。


 勝てないなら、勝てないなりの治安維持の必要がある。

 我々は、彼らに近づかないよう、他の同盟にもよびかけた。

「ここから先、PKプレイヤーしたプレイヤーがいます。遠回りしてください」


 もう一度だけ、戦いを挑んだ人たちがいたが、返り討ちにされていた。


 コアタイムが終わった。彼らは悪魔を守り切った。

「時間だ」と言って、彼らは立ち去った。

 TKGが保護していた悪魔も消えていた。

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