第三十五話 七日目
10月7日(日)20時頃。
コアタイムが近づいてきて、少しずつサーバーが騒がしくなってきた。
全体チャットも、同盟チャットも「wkwk」「待機」などのコメントが増えてくる。
このゲームの最終日はいつも謎に盛り上がる。
普段、他のサーバーで遊んで、このサーバーにはほとんど参加していない人も盛り上がりに来る。
もちろん、お祭り騒ぎだけ味わいに来る人もいる。
新聞だけ読んで、物語を楽しむ人だっている。
とりあえず、参加者はみんな盛り上がるんだ。
そこに、ゲームの結果なんて関係ないんだ。
……。いや、ゲームの結果ぐらいは気にした方がいいと思うんだけれど……。
次第に、同盟チャットも徐々に盛り上がってきた。
「次はどのサーバーに行くの?」なんて来週の事を考えている人もいる。
もうみんな、クリアした気になっている。
それもそのはず、全ての秘密を攻略したからだ。
コアタイムの結果を見る前に、すでにお祭り騒ぎになってきた。
21時に近づく。全体チャットのカウントダウンが始まった。
「5」「four」「3」「Three」「zwei」「eins」「0」「きちゃー」
ドイツ人も混ざってたみたいだ。
ゴゴゴゴゴゴゴォォォォ。突然、地響きが鳴り響く。
街の外が映ると地割れが起きていた。
そしてしたから、ゆっくりと手が現れる。
家一つぐらい簡単につぶしてしまいそうなほど大きい手だ。
そして、その手を支えに、巨大な生き物が現れた。魔王だ。
その魔王には、少し見覚えがある。
人間の形、黒い肌、逆三角形をした目、大きな口。
大きさこそ違えど、悪魔だった。
悪魔討伐の新聞に載っていた悪魔だった。
「この恨みはらさでおくべきか」
甲高い声で話し始めると、左手を上げポーズをとった。
BGMもハラハラする曲に変わって盛り上げる。さあ、戦闘だ。
村の外に魔王、村の中に勇者達、それを見守るように外側から村人が集まっている。
いつも通りの村人の祈りのターン。村人の祈りが勇者達の心に届く。
勇者達が強くなったという演出が発生する。
続いて、魔王の攻撃のターン。左手を振りかざし魔法を唱える。
全体攻撃。秘密を2つ攻略していない多くの勇者たちは吹き飛ばされた。
残った勇者たちの攻撃のターン。
「悪魔討伐」「悪魔闇落ち」の二つの新聞のカットインが入る。
今回は6個の攻略の鍵が必要なようだ。
画面を6等分し、下二つのピースに二つのカットインがはまる。
勇者たちの「おりゃあー」という声と共に、魔王にダメージが通る。
カットインの画面から通常の村の画面に戻る。魔王の攻撃だ。
魔王は再び左手を振りかざし、全体魔法で勇者を吹き飛ばす。
全ての秘密を攻略していない勇者たちは消え去った。
まだ、すべての塔を攻略した勇者たちは多く残っている。
魔王の攻撃を耐え抜いた勇者の攻撃のターン。
4つの塔、それぞれ攻略したカットインが入る。
さっきの二つのカットインと合わせ、画面全てが埋まった。
「よし。勝てるぞー」
全体チャットも同盟チャットも大盛り上がりだ。
カットインが全て埋まったこと、それは全ての秘密を見つけたという事。
つまり、それは、このゲームのクリアを意味する。
上から、勇者の攻撃のカットイン。「ケンイチ」だ。
「ケンイチ」のキャラクターが盾、鎧をまとい、剣を振り上げ魔王にとびかかる。
「魔王よ。覚悟しろ!!」
ケンイチのコメントとともに、技名の「昇竜列波」の文字が表示される。
同盟チャットは「ナイス総裁!」「いけ!」と盛り上がっている。
ゲームクリアだと思った。問題ないはずだった。
「カン」攻撃をはじく高音が響き渡る。
「人間どもよ、この程度か」魔王の高い声が不気味に聞こえてきた。
魔王は左手を下げると、今度は右手を上げた。利き腕は右手のようだ。
白い光を放つ。その光は画面全体を覆っていた。
上から、文字が落ちてくる。
「GAME OVER」
( ゜Д゜)ナ、ナンデスト!!




