第二十七話 掲示板
私はハル。
ゲーム会社で働くただの社会人だ。
最近のゲームの動向を調査するべく、少し流行りだしたと噂の「LASTGAME」というオンラインゲームを始めた。
少し嘘つきました。そんな大層な目的はありません。ちょっと暇だからやってみた、って感じです。
よくあるオンラインゲームと同じように、ログインするとキャラクターの作成から始まった。
名前はハル。名前を決めたら次は、キャラクターの姿を決めていく。
最近のゲームのキャラクリ要素は多い。
なんとなくよさそうなパーツを選択していくと、なぜかごくごく普通の一般的なキャラクターが出来上がる。
なんでやろ、私が作るといつもキャラクターがモブっぽくなってしまうのだ。
まあ、いっか。私は気にせずそのまま開始ボタンをクリックした。
どうせ始めるなら、効率よく楽しみたい。
私はいつも通り、できるだけ大きなチームを探す。
このゲームでのチームは「同盟」と呼ばれる。
最大級の大きさを誇る「ファイナルクエスト」という同盟に加入申請を出した。
超有名ゲームを連想させる、小説にするには少しグレーな名前の同盟だった。
でも、「LASTGAME」ってゲームだからこんな名前を思いついてしまうのも仕方ない。
ファイナルとLASTって同じ意味だもんね。
幸い、空き要員があり、すぐに入れてもらう事が出来た。
申請が通ると「個別チャット欄」の右側に「同盟チャット欄」が表示された。
「ハルが加入しました!」
「おっ、新人だね。ようこそ!よろしくね!」
「ようこそ!よろ!」
そしてすぐに、同盟チャット欄が同盟員のコメントであふれかえった。
私もすぐに「初めまして!夏だけどハルです。よろしくお願いします!」と返信した。
「わからないことがあったら聞いてね」
「それと、掲示板があるから、はじめにって記事読んでくれると助かる」
おそらく、この同盟の偉い人だろう、他の人とは違う色のコメントが表示された。
「わかりました!ありがとうございます!」
このゲームでは、同盟に入るとその同盟の掲示板を読むことができる。
同盟では同盟員と、その掲示板を使って情報を共有する。
チャット欄だと、その場にいる人にしか情報を伝えられないからね。
今ログインしていない人向けに、掲示板に書き残しておくんだ。
私は早速、「ファイナルクエスト」の掲示板から「はじめに」を読みだした。
・コアタイムはできるだけ参加しよう。特に最終日は参加しよう。
・売買可能なアイテムはできるだけ売って、コアタイムで買おう。
・コアタイムではアイテムはケチらず使おう。
・わからないことがあったら、掲示板の「質問箱」へ書き込もう。
・このゲームでは情報共有が大事です。知らない人には優しく教えてあげよう。
・我が同盟ではPKは禁止です。他の同盟員や他人とも楽しく遊ぼう。
多分、一般的な内容と思われることが書いてあった。
どこにでもある、周囲と共生する普通の同盟のようだ。
とても優しくて魅力的なよい同盟に恵まれた、と思った。
掲示板には、他にも雑談だったり、サーバー情報だったりの記事がたくさん存在した。
他の記事も読んでいると、少し気になるタイトルを見つけた。
「魔王の秘密」
小説形式で情報共有したものらしい。
おそらく、実際に起きた出来事を小説のように記載する、リプレイってやつだ。
TRPGのリプレイは有名だが、RPGゲームでのリプレイは初めて見た。
他の同盟員たちも読んでいて、時々面白かったと同盟チャットでコメントされている。
私は早速読み始めた。
この同盟――ファイナルクエストの総裁「ケンイチ」と副総裁「モール」の普段の会話から始まるようだ。




