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LAST GAME  作者: よむよみ
第三章 鍛冶屋はビート

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第二十三話 四日目

仕事でミスをした。作成していたファイルが無くなった。

ただ昨日のバックアップはある。今日一日分の作業が無駄になった。

気が付いたのは、帰る時。ふと見たらファイルが無かった。

本当であれば時間を取り戻す必要があるが、一旦今日は帰ることにした。

まだ仕事の納期までは少し時間がある。心を落ち着かせたい。


家に帰った。ログインして新聞を読む。

新聞を読むのがだんだん日課になってきた。

鍛冶の新聞には当然、自分は載っていない。

昨日の鍛冶の出来はそんなに良くなかった。


昨日、チームTKGが攻略した火の塔の攻略情報を読んだ。

チームTKGは載っていなかった。少し残念だった。

やっぱりゲームを極める気はないみたいだ。昔の俺とは違うようだ。


新聞は、新聞と言いつつ、カラーの絵が豊富だ。

塔の外部、内部、ボスの絵が貼ってあり、自分で攻略したような気になれる。

火の塔は文字通り火の塔で、レンガの塔から炎が噴き出している。

ただ、メルヘンな絵で、そこまで怖さは感じない。

ボスも含めて、どちらかというとかわいらしい印象を受ける。

ボスは、炎の妖精で、とてもかわいらしいがえげつない攻撃をして来るらしい。

ただ、しびれが弱点で、麻痺させることができるらしい。

新聞には、そんなボスの攻略情報から、体を冷やすアイテムやお守りまで載っている。

読んだら誰でも攻略できるだろう。


半額シールの時間だ。お弁当を買いに行く。ただ、残念なことに今日は買えなかった。

カップ麺に、非常食として買っておいたお餅を入れて夕食とした。

仕事での失敗と、お弁当の失敗、失敗が続く。


こんな時は、どうしても邪な発想が思いついてしまう。


海底6000Mの地底から、貴重な資源を入手できるようになったという報道があった。

みんなこの報道に喜んでいるみたいだ。しかし自分には懐疑的だった。

そもそも、人件費の高いこの国で採算がとれるのか?

人件費の安い国でとれたから安かったのでは?切り替えたら物価はあがるのでは?

採算がとれなかったら、国際競争力を高めるためと称して、税金を投入するんじゃないか?

輸出還付金のように。


この国は資源が乏しい。食料やエネルギーを輸入するには、外貨が必要になる。

その外貨を得るために輸出する。できるだけ外貨を得るようにと、輸出還付金という制度がある。

通貨高の時に国際競争力を高めるために、輸出還付金を渡すというのは理解できる。

でも、通貨安の時まで、輸出還付金は本当に必要か?

通貨安で輸出企業は絶好調。株価も上がり、株主に配当を還元している。

この通貨安の時に、本当に輸出還付金は必要か?

通貨安で物価も上がり国民は苦しんでいるのに、税金で国際競争力を高める必要はあるのか?

通貨高の時は税金に頼り、通貨安の時はそのまま株主に還元されるこの仕組みは本当に正しいのか?


海底6000Mの貴重な資源、利益が出たら、天下り先になるんじゃないか。

今までだって、多額の税金で多くの事業が行われてきたはずだ。

でも、成功しても減税されることは無かった。増税ばっかりだ。

失敗したら税金を投入し、成功したら天下り先、ぼろい商売だ。


まるでいじめっ子みたいだ。「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの」

小学生のわりに体が大きくて、オレンジ色の服を着たいじめっ子の姿が思い浮かんだ。

俺は黄色い服を着た、とても体の小さいいじめられっ子だ。

いじめられっ子には、青い猫型ロボットが必要だ。


インフルエンサーの言葉を思い出す。

「欲しいものが無いから、海外に投資する。だから増税が必要だ」

「コツコツと海外に投資する」

「減税すると物価が上がる」

国内からどんどんお金が消えていく。こんなんで新しいものが作られるわけがない。

彼らが、いじめられっ子をそそのかす、青い服を着た子供に見えた。


「強い国を。成長する国を」と政治家は訴える。

この国は資源を売って稼ぐ資源国ではない。エネルギーや食糧など海外から輸入する必要がある。

この国は以前、輸出大国だった。輸出で外貨を稼いでいた。

でも今は、貿易摩擦のため、輸出を大幅に制限されている。貿易赤字国だ。

ただこの国は、経常収支は黒字。この国は、工業国ではなく、サービス輸出国、もしくは投資国となったということだ。

十分外貨を稼いでいると言えるのではないか。

この国の一番の問題は、外貨で得た利益が国民に分配されない事ではないか。


国民負担率が高く、子供を産むゆとりのないこの国に、投資をしようとする人はいない。

新しいサービスも生まれず、エンゲル係数は上がり続け、海外に投資する人ばかり増えていく。


そんな事を考えていたら、21時になった。

昨日受け取っていたオリハルコンで鍛冶を開始する。

昨日よりはいい出来ではあったが、まだまだミスが多い。

「最上級装備+51」

22時頃になって、いつもの通りチームTKGがギルドに現れた。

できたアイテムを渡した。

勇者のTAKASHIが装備した。「最上級の剣+51」に変化した。

昨日と同じようにとても喜んでもらえた。

今日は「水の塔」を攻略したらしい。

装備が充実してきて、攻略が楽になったとお礼を言われた。

人に感謝される仕事というものは心地いいものだね。

今日もオリハルコンを受け取った。


さっきまで、失敗続きで落ち込んでいたが、少しだけ気が晴れた。

考えていたことも、きっと何か俺の気が付かない何かがあるのだろう。

全員が全員、いじめっ子やそそのかす子供ばかりではないはずだ。

青い猫型ロボットは実際にはちゃんといて、自分には見えていないだけだ。

きっとこの国はそこまでひどいわけではないはずだと信じて、眠りについた。


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