第二十二話 三日目
今日もいつも通り資料作成をしていた。
この資料自体の作成はほとんど意味がない。ただ補助金を受け取るには必要だった。
お客様のためでも会社のためでもないが、受け取るにはやっぱり必要なのだ。残念だけれど。
業務時間が終わって家に着いた。
コアタイムは21時から。だから急ぐ必要はない。昨日学んだ。
今日は半額シールの時間まで、新聞を読んでいようと思った。
もちろん、ゲームの中の新聞だ。
稼いだ経験値ランキングなるものが発表されていた。
一位はえげつない量の経験値を稼いでいた。
チームTKGは4位だった。昨日は経験値を稼いでいたようだった。
昨日の「経験値を稼ぐなら」というタイトルの新聞を読んで、経験値稼ぎをしたのだろう。
ただ、少し残念だった。
もし、自分ならもっと極めようとしたはずだ。
1位にはぎりぎり届かなくても、もっと惜しいところまでは行けるはずだ。
ゲームは極めるもの、と考えていた自分には少し残念に感じられた。
もちろん、今は時間的にそんなことはできない。
社会人は忙しい。だから人にどうこう言える立場にはない。
鍛冶屋の新聞を読むと、昨日の鍛冶屋のTOPが記載されていた。
1位の鍛冶屋が作ったものは「最上級装備+60」、自分が作った「上級装備+8」とは雲泥の差だ。
コアタイムというものはそれだけ重要らしい。
そもそも、このプレイヤーの鍛冶の成績は、自分の初日の成績よりもいい成績だった。
「なるほどね。だから静かなのか……」
昨日は、鍛冶をお願いできないかと多くの人に聞かれた。
個別チャットにメッセージがたくさん表示された。
会話が慣れていない事もあって、昨日は気づかないふりしていた。
でも、今日はそもそも声をかけられる事が無かった。
半額シールが貼られる時間になった。お弁当を買いに行く。
半額でお弁当が買えた。今日は味わって食べるゆとりがある。
半額シールを待つぐらいなら、自炊した方が安いと友達から言われた事がある。
けれど俺はそうは思っていない。
俺はお弁当や外食にした方が、社会が少し効率的になると思っている。
腕に自信のある人が料理をまとめて作って皆で食べる方が、皆で少しずつ料理するよりも満足度が高いに決まってる。
それに、皿洗いや調理など、水道光熱費を考えたって、効率がいいはずだ。最近の食洗器は効率がいい。
もちろん、料理が趣味だったり、子供に手料理を食べさせたいという目的は理解する。
けれど、今の家庭では共働きが普通、お弁当や外食は必要不可欠の産業になった、と理解している。
でも、増税したら、お弁当や外食を利用する人は減るに違いない。
増税でお金の流通を減らすと、効率の悪い産業から消えると思っていた。
でも、それだけじゃない。効率のいい選択肢を選べなくなって、効率が悪くなるという事も起こるらしい。
家の断熱材も同じだ。家の断熱性能が高まれば、それだけでエネルギー支出がだいぶ抑えられる。
でもお金が無いと、その断熱材を選べない。
正直、太陽光パネルの推進なんかより、よっぽど優先するべきだと思う。
この国からお金が無くなったら、もっと思い寄らないところから効率が悪くなるかもしれない。
そんなことを考えていたら、20時45分になった。
チームTKGの人たちにオリハルコンをもらった。21時になった。鍛冶を始めた。
昨日より長い。これがコアタイムってやつか。
昨日より強いものが作れた。
「最上級装備+45」
でも、俺自身の腕は落ちているみたいだ。初日よりおそらく弱い。
それに新聞に載っていた鍛冶一位の人にもだいぶ劣る。
22時頃になって、チームTKGがギルドに訪れた。
オリハルコンと交換に、できたアイテムを渡した。
戦士のカージが装備した。「最上級の斧+45」に変化した。
とても喜んでもらえた。
今日は「火の塔」を攻略したみたいだ。
時間ぎりぎりの攻略だったらしい。とてもうれしそうにしていた。
そして、今日もオリハルコンを受け取った。
オリハルコンを素材に装備品が生成される。
装備ごとに素材を変えればいいのに、と思った。
オリハルコンは剣、エメラルドは杖、ダイヤは斧みたいに。
このサーバーはまだまだ、面白くなる要素がある。




