第十八話 さえないサラリーマン
俺の名前はケイタ。
以前は少し有名なゲーマーだった。
ありとあらゆるゲームを極めていた。少なくとも極めようとしていた。
RPG、シミュレーション、リズムゲー、格ゲー、そう何でもだ。
そんな俺は、学生時代、友達からは時々神として扱われていた。
それに、そのゲームの界隈では、多少名前が通っていた。
そんな俺も、今は就職している。
学生時代神だった俺の職業はもちろん、SS。
さえない(S)サラリーマン(S)だ。
既に働き始めてから数年経過している。もう、新人ではない。
そんな自分の仕事は、国から補助金を受ける仕事だ。
国の指示を的確にこなすと補助金としてお金がもらえる。そのために仕事している。
正直、なんのために働いているのかわからない。
お客様のためでは決してない。では、社員のためになっているかというとそうでもない。
強いて言えば、国からお金をもらうために働いている、という感じがする。
業務時間が終わって、家に帰った。
そして、少し時間をおいてから、近所のスーパーに向かう。
狙い通り、お弁当に半額シールが貼られていた。
最近、半額シールを待つ人たちが増えてきた。
この国の政治家は、さらに増税を検討しているらしい。
増税したらおそらく、半額シールを待つ人たちはもっと増えるだろう。
競争が激化して、半額のお弁当が買えず、カップ麺になる日が来るかもしれない。
たまに、お寿司が並べられていて、選ぶことがある。
お寿司はもちろん鮮度が命。作られてすぐの方がおいしい。
でも、みんなお金が無いからすぐには買えず、半額シールを待ってから買う。
おなか減っていても、少し待ってから買いに出かける。
時々、なんのための待ち時間なのかわからなくなる。
増税するともっとそんな事態が増えるのだろう。
そして会社は、お客様のためにする仕事はより減って、補助金のための仕事が増えていく。
会社は補助金を受け取るための仕事ばかり増えていく。
自分にはわざわざ効率を悪くしているようにしか思えない。
なんのための増税かはわからないけれど、きっと必要なのだろう。
あるインフルエンサーが、安い海外のサービスばかり並べて、欲しいものが無いと言っていた。
だから、増税するべきだという主張だった。
そういう人ほど、海外に対して投資していた。
そんなんでは、欲しいものが生まれるわけがない。
欲しいものを生み出すために国内に投資しようとは、全く考えないみたいだ。
今日は半額のお弁当が買えた。
いつも通り食べた後、PCを起動した。
特に何か目的があったわけではない。むしろ最近目的なんか特になかった。
昔は楽しかった。
極めるためには、そのゲームの全ての事を把握する必要があった。
自分の動きだけではない、相手の動きも調べる必要がある。
そして、最前の行動を追求するのだ。瞬間瞬間ごとの最善の動きを調査するのだ
そして、その通りに動けることを目標に、繰り返し鍛錬する。
その作業はとても面白かった。生きている実感がわいた。
働き始めてしばらくしてから、ゲームがつまらなく感じていることに気が付いた。
ゲームを極める程は時間は取れなかった。集中できなかった。
でも、働くってそういう事なのかもしれないと思ってあきらめてた。
だから、暇だったから、本当になんとなくPCを起動した。
適当にWEBページを眺めていたら、気になる広告を見つけた。
「LASTGAME」という名前のゲームらしい。
最後のゲームか、今の自分にふさわしいかもしれない。
自分はもうゲームなんて楽しむことはできないのだろう。
だから最後のゲームにしようと思って、そのゲームをインストールした。




