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LAST GAME  作者: よむよみ
第二章 新米教師は妄想爆発中

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17/22

第十七話 エンディング

日曜日の21時だ。コアタイムになった。

高校生向けサーバのわりに、それなりに多くの人が集まっている。

チームTKGも皆、揃っているようだ。

全体チャットも大盛り上がりだ。


魔王が現れ、お決まりの観戦者のお祈りのターンが終わる。

今回もいくつかのチームがクリア条件を満たしている。

デフォルトのオリジナルサーバーでは、観戦者の数も一定数必要だが、その設定は外しておいた。

つまり、既にこのサーバーのクリアは決定している。


私は、この雰囲気を傍観していた。

「やっぱり、最後、お祭りにしてくれるユーザーたち最高だわ」

チームTKGの皆もコメントを書いているみたいだ。

早く流れてしまってよく見えなかったけれど、肯定的なコメントだった。


幾何学的な「知力の塔」、神秘的な「心の洞窟」、フラスコみたいな「力の聖堂」、歴史を感じさせる「技の古城」。

それら4つのカットが、真ん中で組み合わさり、画面を覆う。

この瞬間は少しドキドキする。今日の選ばれし勇者は誰かしら。


僧侶の杖、僧侶の聖書、僧侶の法衣を装備した僧侶のカットインが上から登場。


見覚えがある。MARIKOだった。

私は喜んだ。なんて言うんだろう。どんな感想を持ったんだろう。楽しんでくれたかしら。

このサーバーでずっと見ていたけれど、実際の音声やコメントは見ていない。すべて妄想なのだ。

どんなセリフを放つか、とても気になった。


一瞬の間をおいて、MARIKOの言葉が表示された。


「カムチャッカファイヤー」

MARIKOはとても怒っているようだ。



私は、頭が真っ白になった。あれっ。なんで怒っているんだろう。何が悪かったんだろう。

やっぱり、魔王の登場シーン、英語分が無いなと思って「Hello everyone」とか軽い高校教師ノリで登場させるべきではなかったのかな。

いや、せめてちゃんとした外国の声優使ってしゃべらせるべきだったのか?

いやいや、魔王の姿が発音記号の組み合わせになっていたのがいけなかったかもしれない。

もっとちゃんと魔王を演出するべきだった。


だって、「おこ」の「まじおこ」の「激おこぷんぷん丸」のさらに上の最上級の怒りよ。


……。あれ?違う。正確には、ムカチャッカファイヤーだ。

「ムカ」に「着火」して「ファイヤー」なのだ。

カムチャッカではお隣の国の半島名になってしまう。

もしかして……、ムカチャッカファイヤーを、ご存じでない??


――


「カムチャッカファイヤーって何だよ」

「えっ。私もよく知らない。多分、昔の人たちの言葉だと思う。語呂がよかったから言ってみた」

「へぇ~そうなんだ。とりあえずおめでとう!」

「一回目で選ばれるっていいな!うらやましい。俺まだ選ばれたことない」

「じゃ、また明日!明日の放課後に、また、次のサーバー考えようぜ」


――


チームTKGの和やかな談笑が思い浮かぶ。

彼らは、ムカチャッカファイヤーを知らない。

もしかして、もしかしてだけど、これってジェネレーションギャップってやつ?

私も、つい最近まで高校生だったのに……。

私をなぐさめるはずの妄想が私を傷つけた。


それに、不可解な事がもう一つある。

MARIKOは、「知力の塔」を攻略していない。

最後に選ばれるには、全ての秘密の攻略が必要っていう条件はいじっていない。

私は、MARIKOのログイン履歴を確認した。


日曜日、つまり今日の朝10時にログインしてた。

そして、同時にTAKASHIもログインしてた。


――


「皆、いいなー」

「ん?どうしたの?」

「いや、皆、全部攻略して強くなってうらやましいなあって思って。

私、知力の塔はクリアしてない」

「あー。確かにそうだね。よかったら、明日一緒にクリアする?」

「えっ。いいの。一人で行くの不安だから、一緒がいい」

「OK。じゃ、明日、朝10時でいい?」

「うん。お願い」


……


「今日はありがと。おかげでクリアできた」

「いえいえ、どういたしまして」

「TAKASHIって優しいところあるよね。私、優しい人好きよ」

「ん?何か言った?」「ううん。何でもない」


少し不思議な間の後、隆志は言った。

「真理子さー。今日、暇?よかったら昼ご飯食べに行かない?」

「えっ。あ、いいよ。行きたい」

「じゃあ、15分後、駅前で」

「まってまって、ちょっと早い。11時半に駅前にして」

「うん。わかった。そうしよう。先行って待ってる」

じゃあねーと言って、アプリを落としPCの電源を落とした。


隆志は、女の子の支度には時間がかかることをまだ知らない。

私は自室のドアを開けて大きな声で言った。

「お母さん、私、友達と外でご飯食べてくるから、お昼はいらない」

あらそう、わかったという母の言葉を遠くに聞きながら、タンスから洋服をたくさんベッドの上に出した。

いつもより少しだけかわいい洋服を選んだ。

私にはいらないって言ったのに、一つは持っておきなさいと母に持たされていた口紅を少し塗った。

もちろん、だぼったい伊達眼鏡は今日は必要ない。


「お母さん、この格好どうかしら」

母は、少しだけ襟元や洋服のしわを伸ばし「うん。いいんじゃない」と言った。

母は、嬉しそうに、全てわかっているかのような顔をしていた。

ちょっと遅れそうかしら、私は急いで玄関を飛び出した。


「今〇の~ 〇は~ か〇い〇の〇~♪ メ〇〇~♪」

お気に入りの曲を口ずさみ軽やかに歩く。MARIKOの青春は今、始まったのだ。


――


なんか少し、涙が出た。

水曜日に入ってきて、今日は日曜日。まだ5日。

あなたたち、まだ高校生よ。展開はやすぎない?

青春はいつも突然だ。


政治や宗教より厳しい団体の存在は知っていた。

ネズミの国と歌詞を取り締まる団体だ。

作者はびくびくして必死に〇を多めにしている。

でも、私は、笑ってごまかす気にはもうなれなかった。

それどころではなかった。


LAST…英語で最後。

正確に言うと、形容詞、名詞の場合は「最後」。

動詞の場合は、一転して、「続く」、「持ちこたえる」という意味になる。

いつまでも続くから最後のゲーム、LASTGAME。


でも、私は、私の妄想女は、今日で卒業かもしれない。

甘い甘い現実が恋しくなっちゃった。


突然、恋愛物語になってしまいました。すみません。

妄想爆発の影響で、なぜか追加の女性が現れ、一気に話をもっていかれちゃいました。

構想段階では追加の女性も歌詞のくだりも無かったんです……。

次の章では、元に戻ると思います。

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