第十一話 あんけーと
でも、ゲーム作りで大変なのは、絵と音楽だから、デフォルトサーバーがあるぐらいでは大変さは変わらない。
そう思ったあなた。最近のAI技術をなめてはいけない。
初めは私も絵と音楽、どうしようかと思ってた。
でも、ツールができていた。
優しい曲とか、優雅な曲とか、幻想的な曲とか指定すると、曲が出来上がる。
具体的には、神秘さ、柔らかさ、和風とかのパラメータに数値を入れていくと曲が出来上がる。
最近のAIは素晴らしい。
大学生の時、AIの本を読んで実際にやってみたけれど、AI技術を確かなものとするには計算力と膨大なデータが必要だ。
個人でやるには、PCのスペックも、データも全く足りていない。
音の生成には多くのパラメータが必要で、それを計算するには個人のPCでは無理だ。
それに、計算力はお金で何とか解決できたとしても、計算するためのデータがどこにもない。
だけど、このゲームでは、自然とそのデータを収集していた。
ログイン時のアンケート。初めは意味が分からなかった。
この音、作ってみたけれど、どうですか?心地いいですか?不快ですか?丁寧ですか?楽しいですか?
という感じで聞いてくる。初めのうちは感情と音とか結びつけようとも思わなかった。
音の次は、音程。そしてその次はメロディー、曲と続いていく。
映像についても同じだった。
この画像、作ってみたけれど、盾?アイテム?洋風?強そう?脆そう?水に強そう?
今になってわかる。これはAIのためのデータ収集だ。
でも、ログイン時のアンケートとか雑に答える人もいるでしょ。そう思う人もいるかもしれない。
おそらく回答が適切かどうかの判断を、ユーザー毎にしているからきっと問題ない。
それに回答の仕方も興味深かった。回答は数値である方が、データとしてふさわしい。
だからアンケートは11段階で評価される。下記のようになっている。
10:よすぎて不快
8 :とても心地よい
5 :まあ普通なんじゃない
2 :とても不快
0 :不快すぎてくせになる
つまり、0とか10まで数値がとがると、意味が反対になる。
おそらく、何度も試してみて、この方法がよりよいAIを作るために必要と考えたのだろう。
高くて心地いい音も、高すぎると不快なのだ。
きっと、だから、まな板でもいいのだと思おうとしても、現実はそんなことはなかった。
爆乳、美乳、貧乳にはそれぞれ需要はあるらしいけれど、まな板には需要は無かった。ぴえん。
おっと、いけない。私はいつも笑顔が取り柄の高校教師。笑顔笑顔。
このデータ収集も、ユーザー数増加のおかげで順調なようだ。
AI技術が格段と上がってきたという噂だ。
ただ、どんなに技術力が上昇しているとしても、今の出来はまだいまいちだ。
なんか変なところ、耳障りな部分、目障りな箇所が目立つのだ。
このゲームでは、そう思う人のためにコミュニティが存在した。
絵や音楽を置いておくと、それっぽく修正してくれるのだ。
とても助かった。プロの人はこんなところで無料で修正しないだろう。
おそらく、アマチュアのクリエイターに違いない。
この国のクリエイターはおそらく世界で一番優秀だ。
アマチュアの人たちでさえ、これだけ優秀なのだ。
正直、もったいないと思う。
もし、不景気でなければ、この道でプロになれるであろう人たちがたくさんいた。
この国は、国民の生産性に比べてお金が不足しすぎている。
教育水準、労働人口、知的水準に比べて通貨発行量が少なすぎる。
それに、クリエイターを金にならないやつとして軽視している。
ちゃんと選挙に行って、改善してくれる人に投票しよう。
こんなクリエイター達が報われる社会になることを切に願う。
いけないいけない、政治の話は面倒くさい敵を作ってしまう。
ちょっと、言いすぎちゃった。てへぺろっ。オホホホホホ。
そんなこんなでゲームが出来上がった。
機能部分はほとんどオリジナルサーバーと一緒だったから、絵と音楽を組み合わせてできた。
楽しんでもらえるといいなー。
あっ。サーバーにユーザーが入ってきた。どれどれ。




