第一話 キャラクター作成
「おっす」
今日は二学期最初の日。初めの挨拶は肝心だ。
「ああ、隆志。おはよう」
声で俺が誰かわかったのか、振り返り気味に返事をしたのは浩司。
「って、お前、めちゃくちゃ日焼けしたな。そういえば田舎に行ってたんだっけ」
浩司の言うように、俺は夏休みの間、田舎暮らししてた。
おじいちゃんや、近所の悪ガキどもを引き連れて外で遊んでばかりしてたから、日焼けで真っ黒だ。
「わっ。マジで真っ黒じゃん。めちゃくちゃ痛そう」
そう心配する振りは言葉だけで、焼けた肌に容赦なく触ってくるのは、裕也だ。
「いてっ。触ろうとするな。まだひりつくんだから」
「あー。やっぱり。ごめんごめん」
謝るのはきっと言葉だけで、たびたび触ろうとしてくる。
早速、さらに伸びてくる手を必死で手で払う。
「こらこら、触ろうとするなって」
浩司と裕也は、この学校で知り合った。まだ知り合って5か月だ。
進学校として知られる男子校で、知り合いのいなかった3人はすぐに打ち解けた。
部活にも属さず、放課後はいつも3人で遊んでいる。
「そういえばさー。隆志も携帯持ってたよな。一緒にゲームやろうぜ」
「いいね。3人でやろう。3人の方が絶対面白いし」浩司の提案に裕也もすぐに乗っかった。
浩司と裕也は、すでにそのゲームを始めていたみたいだ。
夏休みを田舎で都会から離れて暮らしてた自分は、少し出遅れたようだ。
「へぇー。そんなに面白いの?なら俺もやりたい」
こいつらの提案を断るつもりなんか微塵もないが、いつも通りもったいぶって答える。
「そう言うと思った。じゃあ、放課後に教えるよ」浩司はにやりと笑って答えた。
「隆志は絶対はまる気がする」裕也も同じように笑っていた。
――
放課後、声をかけることもなく自然と3人で集まっていた。
「LASTGAMEって言うんだけど、まずはダウンロードして」
こういう時、浩司は自然とリーダーシップを取っている。
俺は言われた通り、ダウンロードした。
「まずは、キャラクリだね」裕也も嬉しそうだ。
ダウンロードしてユーザーを作成した。
次はキャラクリだ。キャラクターの名前や姿の色、形を決めていく。
新しいゲームみたいだ。顔の形、目、鼻、耳、髪、様々な種類の設定項目がある。
最近のゲームは少し項目が多すぎないか。
どうでもいいと思うものの、自分の個性は出したいからデフォルトは嫌だし、面倒だ。
「キャラクリはやっぱり面倒くせーな……」
裕也はその言葉を聞いて、笑いながら携帯を取り上げカメラをパシャリ。
自動的に自分に似たキャラクターが作られた。
「これを基本にするといいと思うよ」裕也らしくない気遣いだ。
こういういたずらっぽいところは、とても裕也らしいとも言える。
自分に激似のキャラクターは少し嫌なので、耳と鼻を極大まで大きくした。
「どうせ、後からでも変えられるんだよね」
浩司と裕也が軽く頷くのを見て、「ならこんなんでいいか」
名前は、TAKASHI。
目は自動でデフォルメされて大きいのだが、それ以上に耳と鼻がバランスを崩すようにでかい。
それに今の自分の色を取り込んで、肌が赤黒い。まるで赤鬼だ。
少し滑稽だが、こんなもんと言われればこんなもんな気がする。
浩司と裕也は「なんか変だけど、いいんじゃない。どことなく似てる」やっぱり笑ってた。
キャラクリが終わった。
早速ゲーム開始かと思っていたが、まだ始まらないらしい。
「サーバーどこにしようか?」
「一回目は、初心者用のサーバーでいいんじゃない。
そこなら二人でやったことあるし、サポートもできる」
「そうだな。俺もそう思ってた」浩司と裕也が意味の分からない会話をしていた。
「じゃあ、初心者向けのオリジナルサーバーだな。隆志は毎日21時からで大丈夫か?」
「うん。21時なら大丈夫」
サーバーと言い、時間といいちょっと意味が分からなかったが、聞いてもわからなさそうだ。
こういうのはやってみる方がいい。初めてだし、言いなりになりになろう。
浩司も裕也も悪い奴じゃない。ただのゲームだ。大きな問題にはならないだろう。
「よし、じゃあ、サーバー選択画面で“オリジナルサーバー”ってやつを選択して」
俺だけじゃなく、浩司と裕也もログインしてサーバー選択し始めた。
「で、A-21を選択してくれ。毎日21時がコアタイムって意味だ」
コアタイム?疑問符が残るが、言われた通り、皆でA-21を選択した。
「エブリデイのAだね」裕也の言葉に、一瞬、とまどっていたが、即座に浩司が訂正した。
「エブリデイはEveryDayだから、AllのAだと思うな」




