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初恋泥棒のホスト様  作者: 男鹿七海
14/20

再点火

 その頃の三条は、もしかしたらホストクラブに行くかもしれないと、伊澄に教えてもらった通りに首も含め化粧をして、久しぶりに女装姿で外に出た。

 タイミングが良いのか悪いのか、たまたまアフターで女の子と別れたばかりの零に出くわしてしまう。

 三条はほぼ二ヶ月、必要な買い物以外で外出はしていなかった。当然零と会うのもほぼ二ヶ月振りとなる。


「あれ〜妹ちゃんじゃん!久しぶり!」

 零は三条に気付き手を振ってきた。


「(げ、まさかこんな所でキャストに出くわすなんて)零さん、久しぶりですね」

 対して、三条は軽く手を上げる。


「最近来ないから寂しかったよ」


「すみません。行こうとは思っていたんですけど、ちょっと仕事が立て込んでいたので」


 適当な言い訳でなく、自身の漫画制作以外にも依頼があり、本当に仕事が立て込んでいたのだ。


「うわ、そりゃ大変だったね。立ち話もなんだし、どっかカフェにでも入ろっか」

 

 零の提案で近くのカフェに入る事となった。一瀬以外のキャストと二人きりになるのはこれが初めてだ。


「そんな大変な仕事な感じ?」


「大変というか、読み続けてくれるファン、新たな読者に読んで良かったって思えるものを届けたいので」


「へ〜。ちゃんと考えてて偉いね」 零は子犬を撫でるかのように、三条の頭を撫でる。


「!」

 身内以外の同性に頭を撫でられたのは、これが初めてで開いた口が塞がらなかった。


「ハハ、妹ちゃん可愛いね」


「…からかわないで下さいよ」 頭を手で抑えながら、三条は苦笑気味に言う。


「いや、本当に可愛いなって」


 注文して運ばれてきた珈琲を、一口含み口を開く。「あ、あの、零さんに一つ訊きたいんですけど」


「ん、何々?」


「プライベートな話なんですけど、零さんと龍夜お兄ちゃんって一緒にお酒飲んだ事ありますか?」


「何回もあるよ。龍夜ん家で飲んだ事もあるし。それがどうしたの?」


 いくら零相手でも訊きづらいと思いつつ、思い切って尋ねる。


「いや、あの…龍夜お兄ちゃんって、お酒ざるなのは知ってるんですけど、次の日記憶無いのかなぁって」


「あー…ハハ」半笑い気味に話を続ける。「酒飲んだ事は覚えてるんだけど、会話とか何してたかまでは覚えてないみたいだよ」


 何時も通りの顔で過ごしていたわけでなく、本当に覚えていなかったんだな、と、三条は思った。





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