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早川さんのトラウマ。
「あ」
『ヲトメ倶楽部』を読んでいた早川さんの目がこちらに向く。
あ、やべ。
慌てて目をそらす。
ていうかなんで僕が慌ててるんだ。
「また会いましたね・・・」
「あ、あははは」
・・・・・・・。
二人の間のぎこちない沈黙に最近よく聴く女性アイドルグループの歌が流れる。
何を話したらいい?
どんな顔をしたらいいんだ?
早川さんも同じ気持ちのようで、気まずそうに笑みをはりつけて
僕から目をそらす。
「・・・早川さん、もしかして・・・」
「その先は言わないでっ!」
早川さんの甲高い叫びに似た声で僕の言葉を遮る。
「あ・・・。ごめん」
早川さんがはっとした顔をして更に気まずそうにうつむいた。
「い、いや。気にしないで」
「その事、絶対南藤くんには言わないくれない・・・?」
「う、うん。でも、なんで――?」
「トラウマなの・・・?」
トラウマ・・・?




