74/107
嫉妬。
「ふたりとも、もうやめて!」
美夏の鶴の一声で僕の口は閉じられた。
「いい加減にして。人の部屋でわーわーわーわー、うるさいったらありゃしない!」
その美夏の言葉と鬼のような表情に口をあんぐり開ける慶太郎。
やっぱり、あいつ慶太郎の前でもぶりっこしてんのか。
美夏の本来の姿を知らない慶太郎に、少し――いや、かなり優越感を持ってしまう。
「出ていけよ」
慶太郎がボソッとつぶやくように言う。
「やだよ。・・・お前がでてけよ」
「なんでだよ」
美夏の目がキラリと光る。
うっ・・・。
くそっ!
僕は言おうとした言葉を飲み込んで、うつむいた。
「慶太郎、出てってくれる」
「えっ?」
彼女の予想外の言葉に目を見開く慶太郎。
ざまあみろ。
そんなことを思ってしまった。
どうかしてる、僕。
「話したいことあるの。西山くんと」
西山くん・・・。
カズじゃないんだ・・・。