じいや、サボる。
「お、おなかすいた~」
夕方の五時頃、僕らはテレビでやっているグルメ番組を見ながらそうつぶやいた。
「南藤、まだなの?食料は」
翔子がハリのない声で聞いた。
「もう届くはずだけど・・・」
と南藤も珍しく自信なさ気で。
「はぁ~~」
みんなが一斉に力のない溜息をついた時だった。
「お待たせしました」
と背後から声がきこえた。
やっときた!
そう思って振り返ると・・・
「えぇ?!」
美夏が素っ頓狂な声を上げる。
それもそのはず。
そこには、慶太郎がたっていたのだ。
両手にはパンパンに膨らんだ袋が握られている。
慶太郎がじいや?
南藤を横目で見ると驚いていた。
じゃあ、慶太郎はなんのために?
もしかして、美夏をおいかけて・・・?。
「どうしたの?!なんでこんなとこに?!」
そう言って美夏が慶太郎に駆け寄る。
むっとする僕。
美夏と僕以外のみんなはあっけに取られていた。
「な、なぜだ、じいやは?」
「じいや?ああ、あの人がじいやなのか・・・?
ま、いいや。とにかくさ、美夏ん家行こうと思ってインターホン
押そうとしたら漫画みたいな白くて長い老人に話しかけられてさ。これ届けてくれって」
美夏・・・ふうん。呼び捨てしてるんだ・・・。
嫉妬に狂う僕をよそに南藤は慶太郎に詰め寄った。
「じいや、どっか調子悪いのか?!」
「いや、ゴルフでいけないからって。ギャラあげるからっていわれてさ。そんでなっがい車のせられて
行き先もわからないまま、ここに来たわけ。つーことは臨時じいや?」
じいやぁああぁぁぁあぁああ!!!!