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茜色の教室。
放課後、日が西に傾きかけた頃。
僕は、国語の文法ワークを教室に忘れたのでとりにきていた。
遠くから、吹奏楽部の練習と野球部の掛け声が聞こえる。
僕は何気なく教室の扉を開ける。
ーガララ
よかった。
開いてたみたい。
日直、鍵を閉め忘れたのかな?
ま、いいや。
そんなこと。
僕が顔を上げる。
その向こうには、茜色に染まった机といすに座っている
彼女がいた。
こんな所にいるはずが・・・。
僕はごしごしと目をこすった。
「美夏・・・?」
呟くような声音だった。
そのせいか、彼女は気づいていない。
ただ、虚空を見つめていた。
、