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彼女の問い。
今、僕は彼女と山の中を散策をしている。
薄桃色だっただろう桜の木は、すっかり変わって、あちらこちらに緑色の葉が顔を出していた。
「あんたさ・・・」
彼女が口を開く。
「んー・・・?」
「翔子の事好き?」
「翔子?嫌いじゃねぇけど?おもしれぇし」
「そっか・・・」
彼女が目を伏せる。
「・・・じゃあ、わた・・・・」
「美夏ちゃぁあん!!」
遠くから聞こえるおばさんの声が、彼女の声を遮った。
「晩ご飯手伝ってくれなぁい?」
「はぁい!!」
彼女は、応えると僕に「ごめん」といって走って行ってしまった。
あいつはいったいなにを言おうとしてたんだろ・・・?
っていうか何で翔子?
僕はぽつんと立っていた。