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still...
体育館裏、腕を組んで僕に訊いた。
「で、なんなのよ」
早く友達のところに戻りたいのか、いらただしそうな表情を浮かべる美夏。
「え……っと」
はっきりしない僕の態度。
なんでだろう?
さっきまでは今度こそちゃんと告おうときめたのに、美夏を前にすると固く結んだ口が開かない。
「何にも無いなら、私行くからね」
美夏がスカートを翻して、僕に背を向ける。
早く、早く告わなければ…。
「美夏!!」
そう言う前に、体が動いた。
気がつくと、僕は美夏を後ろから抱きしめていた。
彼女の方がぴくりと驚いたように動く。
僕は自分に驚いて、今にも卒倒しそうだった。
「ちょっ。離してよ…っ」
美夏が抵抗する。
それを僕はぎゅっと抱きしめて、つぶやくような声音で言った。
「離したくない……。今でも美夏のことが……好きだ」