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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

無課金悪役令嬢

作者: 山田 勝

 ☆☆☆日本国群木県悪役令嬢村特設会場



「「「「ウワワワワワーーーーーーーー」」」


「ミス悪役令嬢!決勝戦です!まずはナンバー1!ベアトリス・アルゴさん!17才、御出身は、え~と、ミストリア王国、アルゴ公爵・・・だそうです!

 現在は、大字新田の佐々木さんの家にホームステイをしています!」



「ウオーーー、設定が細かい!」

「出身まで、アニメに準じているのか」

「でも、何のアニメだ?」






 遂にきたわ。ミス悪役令嬢の決勝戦!我は、一位になって・・・・




「ベア姉さん!頑張れーーーー」



 ヤスシ殿、我は期待に応える女だ。

 待っておれ、賞品のゲームステーション5をプレゼントする!


 これは生存戦略だ。この世界での居場所を作る!

 ヤスシ殿は平民ササキ家の御曹司だ。歓心を買って、居候しやすくするぞ!




「次は、エントリーナンバー5!水神舞子さん。16才!悪役令嬢村大字田村出身!

 え~と、ここでお知らせでございます。御父様からです。無人水神精米所は村内2カ所に展開中です!皆様の日頃のご愛顧に感謝しております!との事です!」



「ウオオオオオーーーー」

「ヤンキーか?」

「いんや、婆さんとそっくりじゃ、村で初めてミニスカをはいた女性じゃったのう。ナンマンダー」




「チース、ども」



 何?こいつが残ったのか?服装はデニムの短パンにスタジャン、金髪を後ろで束ねている・・・扇はこの会場で用意されたものだ。



「ワー、舞姉ちゃんも残ったの?頑張ってー!」

「おう、靖・・」

「フフフ、舞子ちゃん。お久しぶりね。昔よくは靖と遊んでくれてありがとうね」

「チース、佐々木のおばさん。ども」



 まさか、

 佐々木家と顔見知り?

 ヤスシ殿は、あやつを「姉ちゃん」呼び?我は「姉さん」呼びなのに・・・



 しかも、何で残った。

 そもそも、あやつの格好は、悪役令嬢の格好をしていない。




「まさか、無課金悪役令嬢が残るとはな」

「チース」



 ビシッバシッ!


 と我は扇を閉じ。水神とやらに指し示した。



「水神とやら、尋常に勝負じゃ!」

「チース、ども」




 この戦いはベアトリス・アルゴが日本に転移した半年前に遡る。







 ☆半年前


 ☆☆☆ミストリア王国王宮



「ベアトリスよ。自分の義妹、こんなか弱くて可憐なミミリーを虐めるとはな」

「グスン、グスン、殿下、やめて、私が我慢すればすみますぅ。お義姉様は本当は優しい方ですぅ~」



 あ~、終わったな。陛下のいない間に断罪をされた。

 後妻のお義母様と義妹とはそりが合わない。あのピンクブロンドの髪は庇護良くをそそる。

 イジメなどやっていない。やるなら、徹底的に排除するわ。

 父上は、ミミリーの味方であろうな。



「婚約破棄を宣言する。本来なら追放する所であるが、異世界探索隊に任命する!

 お前が発明した転移魔方陣だ。異世界の内情を調べて来い。新領土にしたら、復帰を考えてもやらん」



「捕縛して、魔方陣のある部屋まで連行しろ!」


「強制転移!」



 ボアアア~~~~






 ☆☆☆コンカフェ「悪役令嬢でごめんあそばせっ!」




「そしてな。我は、繁華街をウロウロしていたのだ。女衒に捕まってな。体験入店をしないかと言われてな。この店に来たのだ。

 ほお、そのサービス券は一時間のみだ。そろそろ時間だ。

 我の歓心を買いたくば、本指命にフルーツセットの注文を所望する」



「・・・いえ、いいです」




 ・・・・・



 ☆バックヤード



「ベアトリスさん。ほら、あそこのマーガレットさんを見てよ」

「うむ」



「オ~ホホホホ、あら、お客様ひーろー様のお話が楽しくて飲み物がなくなりましたわ。

 セバスチャン・・水をお願い」


「はい、侯爵令嬢マーガレット様」


「ちょっと、待って、マーガレットさんに水じゃなくて飲み物を!」


「はい、飲み物券800円になります。有難うございます」


「まあ、お気を使わせたのかしら。ごめんあそばせ」



 ヒソヒソ~


「お客様ひーろー様、マーガレット様を一位にしたくありませんか?ここらで、スパダリフルーツセットをご注文をすれば、マーガレットさん喜びますよ」



 バチン!


 マーガレットという女、給仕を扇で叩いたぞ。



「これ、セバスチャン!ヒーロー様になんてことを、私はヒーロ様に来て頂いただけで嬉しいのですわ!」



「し、失礼しました!」


「いや、マーガレットさんに、スパダリフルーツセットを!」



「まあ、そ、そんな。無理はなさらないで」

「任せてよ!」

「有難うございます。5千円になります」



「スパダリセットが入りました!セバスチャンは、コールの準備を!他のお客様もご唱和お願いします!」



「スパダリセットのご入場です!」


「「「スパダリ!スパダリ!いえええええ~~~~~~えい、えい!スパダリ爆誕!」」」」




 ・・・・・



「どうだ。上手くできそうか?」

「我に酌婦は無理だ」


「そうか、そのドレスに、腰まである髪にエメラルドグリーンの釣り目、逸材と思ったのだがな。君には悪役令嬢の心がない。はい、半日の基本給5000円だけ持って帰りな」

「うむ」



 そしてな。我は街をウロウロしたのだ。



「そこの平民、冒険者ギルドはどこにある?」

「はあ?何だ。その格好、それよりもお金に困っている?良い店を紹介できるぜ」

「スリープ!」


 ドタン!



 ここは治安が悪い。山に行こう。

 一晩あるいて、山に行ったのだ。


 お、畑がある。この世界にも畑があるのか?作業をしている婦人に声をかけた。


「そこの婦人、このネックレスをやるから、冒険者ギルドを教えてくれないか?」


「え、コスプレ外国人?みたことのない立派なネックレスだわ。ジャパンネット高屋でもないネックレスね」


「どうせ、元婚約者からもらったものだ」

「まあ、もってなさいな」



 グゥウウウウ~~~


「家に来なさい。ご飯ぐらい食べさせてあげるわ」

「かたじけない」





「外人さんにお米は大丈夫かしら」


「・・・上手いぞ。これはこれで悪くない。この副菜、これは何だ?」

「野菜炒めよ」

「な、何て美味しさだ」



 この女はサチコと言って、寡婦だ。

 夕方、子息が帰ってきた。中等の平民学校らしい。


「ただいま・・・って、外国人?」

「ええ、そうなのよ。道に迷ったらしいの」

「うむ。よろしく」



 そしてな。我は平民にならい畑仕事を手伝ったり。

 道の駅という場所で野菜を売ったりもしたのだ。




 ☆道の駅



「うわ、佐々木さんの代わり?腰まである髪、紫、いや、黒髪に紫かかっているという感じだ。

 しかも、何で、ドレスを着ている?もしかして、ミス悪役令嬢に出場にきた外国人?」



「ふむ。ミス悪役令嬢には興味ないが、奇怪な質問だ。令嬢はドレスを着るものだ」

「はあ?最近の子にはかなわんな」




 ・・・・



「うわ。さすが、悪役令嬢村の道の駅だ。ジャガイモ下さい!」

「ふむ。金と引き換えに持っていくが良い」


「あの罵って下さい!」

「?いきなり要求を出すな。この粗忽者が!ネギでも買え!」

「ウホーーーー!買う。買う」



 こう見えても、我は人気者だ。

 サチコからお給金をもらったりな。



「ベアさんスゴいわ。完売じゃない。これ、バイト代よ」

「うむ。紙とな?」

「まあ、細かい所は靖から習ってね」



 そしてな。時間のあるときに、ご子息のヤスシ殿から、この世界の生活様式を教わったのだ。お金の仕組みの他に自転車の乗り方をならったり。



 チャリン♩チャリン♩


「ベア姉さん上手!上手!」

「うむ。この自転車はいいものだ」



 釣りに行ったり。



 ビクン!バシャ!


「スゴいよ。ベア姉さん。もう、ストップ&ゴーを習得したの?」

「うむ。このルアーというものはすごいな」



 夜はゲームというものをする。魔道箱を、魔道映像機につなげる。この発想はなかった。


 フィールドステッキのゲームだ。全く、外でやればいいものを、意味が分からない。



「うわ。また負けた。いつも、あと少しの所で負けるとは」

「うむ。ヤスシ殿はコントロール重視がいいぞ。女性キャラを使ったら如何かな」

「でもな。抵抗有るよ。このキャラで頑張る」


 うむ、悪くない。男の子らしくズドーンと打ちたいのだな。


「しかし、これは3ではないか?今は5が出ていると聞いたぞ」

「アハハハ、これが好きなんだ」


 しまった。この家は貧乏だった。



「なら、もう一回やろうぞ」

「ごめん。勉強があるから」


 う~む。一人でやる理由がない。

 それなりに充実した生活を送っていたのだ。

 生存戦略のためだ。子息に取り入るもっと良い方法はないか?





 ☆道の駅

 そしてな。道の駅で、隣の売り場の中年の男性からアドバイスを受けたのだ。



「ほお、男子中学生の歓心を買いたい?なら、これだ」

「何じゃ、この小さな箱は?」


 ほお、ほお、スマホというものか。


「何だ。スマホを見るのが始めたか?これを着て、勉強を応援すれば、男子中学生なんてイチコロよ」

「うむ。しかし、金はあるが、買い方がわからん。中年の男性よ。買っておいてくれ、金は後で払う」

「偉そうだな。まあいいか。悪役令嬢だからな」

「公爵令嬢だ」



 ・・・・・・



 これを着て。ヤスシ殿の部屋に行ったのだ。


 コンコン!


「ヤスシ殿、失礼するぞ」

「なに?ベア姉さん・・・うわ。やめてよ。チアリーダー?!」


 ボンボンというもの振ってな。


 ユサユサ~


「頑張れ~頑張れ~ヤスシ殿~!」

「ヒィ、集中出来ないよ」



 これは、サチコにこってり絞られた。


「ベアさんは男の兄弟いないのかしら。そんな格好をしたら、靖だって、間違いを起すかもしれないわ」



「面目ない」

「しばらくは、靖の部屋にいかないこと」

「そ、そんな・・・分かった」


 ここは、女当主に素直に謝る。

 あの親父に騙された。




 ☆☆☆道の駅


 だから、扇でぶった叩いたのだ。


 ベシ!ベシ!


「ヒィ、ごめん。悪かった!」


「・・・・・」

「おい、何か言ってくれよ」



「おい、このチラシは何だ?」


 不思議とこの国の言語は分かる。


「これは、ミス悪役令嬢だよ。この村の名は悪役令嬢村だよ。明治の有名な作品の悪役令嬢の出身との設定があったからだよ。昨今の悪役令嬢ブームに乗っかって村おこしをしたのだ。

 隣の桃髪村とは犬猿の仲だ」


「知らんが、この賞品のゲームステーション5とは・・もらえるのだな」

「そうよ。しかし、ベアトリスさんはこんなの興味ないって言ってたから」


「出場するのだ!村人一名の推薦人が必要。お前、お詫びになれ!」

「ええ、まあいいか」





 ☆☆☆ミス悪役令嬢会場



「はい、受付はこちらです」



 ザワザワザワ~


 エントリーは5名いた。



「司会進行を務めるのは、土田舎高校放送部の久利田と」

「ども、住岡です」

「の二人です。よろしくお願いします」


「審査員の紹介です。フィギア老師、萌山三郎氏と」

「どうぞ、よろしく」

「東京萌え萌えクラブの主催者、山名大全氏です」

「うむ。今日は悪役令嬢の心を所望する。我に見せてみよ!」


「「「よろしくお願いします!」」」

「チース」


 皆、それそぞれ、仮装をしてきたのだ。いや、一人だけ普段着で来た女がいた。

 あやつは脱落だな。



「オラ、2番!熊田熊子!『マサカリ悪役令嬢』のコスしてきただ!職業は木こりだぁ!」


「おお、鎧だ。スゲー」


「よろしくお願いします。3番の山際の万里田です。この衣装は、結婚したときのウェデングドレスです。ドレスってこれしかありませんでした」

「「母ちゃん!頑張れーー」」



「は、はじめまちて、四番の悪役令嬢小学校の小5、草田利香子です。今日は大好きなプリンキュアの衣装を着てきました」


「「「オオオー、可愛い!」」」

「よく自己紹介出来たね」


「チース、5番~だっけ、水神舞子」


「「「おお、ぶっきらぼうだ」」」

「普段着だよ。この子」



 何だ。この中なら我が1番だろう。



「では、最初は、ダンスです!悪役令嬢は王子との幸せな婚約期間がありました。ダンスを再現してもらいます」



 うむ、これは予習済みだ。



 ドンドンがドン!

 あ~、桃髪あっちいけシッシ、お前じゃ王妃は無理無理♩


 ダンスをして、


「おい、あの外人さん。上手いぞ!」

「おお、小学生の子、頑張っているな」



 そして、意外な事にマラソンもあるのだ。



「次は、婚約破棄をされて、追放を再現します!皆様、歩きで結構ですので、公民館まで移動して下さい」



 次は、職業の披露だ。



「追放された先で、悪役令嬢はカフェを開きます。皆様、お茶を入れて下さい」


「「「「はい」」」

「チース」



 これも、サチコに習った。日本茶というものだ。


「うわ。外人さん、茶柱が立っている」

「スゲー、上手い」



 そしてな。審査員の採点を元にふるいにかけられる。別室に呼ばれ、それぞれ合否を宣告されるのだ。



「2番失格」

「何故だぁ?」

「まず。マサカリ悪役令嬢はマイナーです!」

「ウワワワワ~~~~ン」



「3番失格!」

「まあ、まあ、仕方ないわね」

「「何故、母ちゃんが!」」

「それが理由なり。ミス悪役令嬢のコンテストなり!」



「4番・・・可愛いけど失格・・・プリンキャアコンテストだったら、どうなったかは分からないぞ。将来が楽しみだ」

「へへへへへ」




「1番合格」

「うむ。当然だ。他に合格者はおるのか?」

「それは、お楽しみだ。会場で発表される。変に顔見知りだったら談合されても困る」

 結構、シビアだな。


 ヤスシはどこだ?

 サチコは?

 そうか、畑仕事か?おくれて来ると言っていた。


 そしてな。決勝の会場に進んだのだ。


 あの無課金女がいやがった。




 ☆☆☆決勝戦



「では、演目一、扇でパチンをしてもらいます。ベアトリスさんから!」


「うむ」



「オ~ホホホホホ」


 と扇で口をかくし。

 パチンと閉じ。


 パチン!


 ビシと扇を指して、宣言する。


「桃髪ごときが、殿下の側に侍るなんて、100万年早くてよ!」



 パチパチパチパチパチ!


 決まった。

 無課金女はどうだ?



 ザワザワザワ~


 何だ。ただ、立っているだけか?



「ウゼェ」


 と一言だけか。

 しかし、嫌な予感がするぞ。



 ザワザワザワ~


「俺、ウザいのか?」

「まるで、私に言われたみたい」

「ウエ~ン、あのお姉ちゃんこわいー」

「これ、演技よ。たっ君に言ったのではないわ」



 あの姿勢、目つき、侮れない。いや、しかし、規定の演技をしているのは我だ。


 それから、我は頑張った。


「殿下!信じて下さいませ!私はイジメなどしておりませんわ!」


「チ、ウゼーやってねえよ」


 最後は、悪役令嬢とは何かだ。



「悪役令嬢とは、その名前だけで、美貌と能力、高貴な身分を読者に説明しなくても良い存在だ。2010年頃から、小説ナリキリサイトの転生ものの乙女ゲームの一環で流行ったのだ。2017年ごろから、上位に君臨するようになり。主に、ヒロインと殿下たちに断罪されてから、ざまぁをする令嬢だ。

 容姿からキツそうに見えるが実は善い人、追放された先で異才を放ち凱旋する。

 または、断罪の場で、弁舌で、王子たちを圧倒し、スパダリや、他の王子に見初められるなどの展開が予想される」



「悪役の令嬢・・・」



 勝ったと確信した。

 これで、ゲームステーション5は我のものだ。



 しかし、


「優勝者!5番、水神舞子さんです。1番のベアトリスさんにも惜しみない拍手をお願いします!」


「「「ワワワワワーーーーーー」」」



 パチパチパチパチ!



「ええ、勝負じゃった」

「そうじゃのう、舞子ちゃんのぶっきらぼうは婆さん譲りじゃ。ナンマンダー」



「一位には、ゲームステーション5、二位のベアトトリスさんには、お米30キロを進呈します!」



【ちょっと待った何故だ!】


「うむ、それは舞子さんには、悪役令嬢の心がある。何者にも媚びず引かず退かず。君は一位にこだわりすぎた。それが、媚びに見えた。

 一方、舞子さんは自由な心を見せてもらった」


「そうなり!悪役令嬢は心なり!」



 また、悪役令嬢の心か?そもそも我は悪役ではないぞ!


 我はこの世界で初めて魔法を使った。


「自白魔法!本音を言え!」


「絶対領域じゃ!」

「オタクに優しいギャルに似ていたなり」


 こいつら、



 ビシ!ビシ!ビシ!


 扇で連打した。


「ヒィ、もっと、その厳しい目、もってやれ、じゃなくて、やめて~」

「ウヒョー、これを本選で見せたら勝ったかもしれないなりーーー」



 ここでな。今まで空気だった司会の住岡という者が口を出したのだ。



「・・・悪役令嬢は心、そのドレス、設定にいくらこだわっても意味がないってこと、心がなければ究極の悪役令嬢じゃないのさ。君のは出来損ないの悪役令嬢だ!」

「住岡さん。そこまで言っちゃ・・・」



「だから、設定じゃないのだ!」

「ウゲ~!」

「キャア、住岡さん!」


 住岡の首をしめていたら、マイコという者が、ヤスシに近づく。

 何をする気だ!



「ほれ、ヤスシやる・・・」

「え、舞子姉ちゃん。くれるの?」

「親父が出ろっていうから仕方なく出た。ゲームステーション興味ないし」

「舞子姉ちゃん大好き!有難う!」

「お、おう、高校行ってから遊ばなくなったし、ソフト買ったらいくわ」

「待っているよ」



 何?!


 先を越された。


「ウゲー」

「住岡さん」


 バタン!



「ヒィ、我が副賞としてPCとソフトやるから勘弁するなり。弟キャラを攻略するシュミレーションゲームなり」



「うむ。興味ないが寄越せ」



「ベアさんも一緒におそば屋さんいくわよ。舞子ちゃんを紹介するわ」


「うむ。米とPCとやらをササキ家に運んでおけ」

「分かったなり」



 それからな。

 お米はサチコにやったのだ。


「まあ、有難う。最近高いから助かるわ」

「うむ」



 副賞をもらったのだ。PCとソフトいうものだ。


 あのヤマナがいうにはな。


「このゲームソフトで遊ぶべし!『弟三昧!』なり!」

「うむ」



 ゲームのインストロールの仕方は大体分かった。


 何?何?弟を攻略しよう!とな。



 つまらぬ。低俗な恋愛ものか・・・・


 ピコン♩

 ''どの子を攻略する?’’


 オラオラ系弟?


 つまらぬ。


 渋いお兄様系弟なんぞ意味が分からない。


「何?甘えん坊弟だと!」


 ''お義姉ちゃん。寂しい。一緒に寝よう’’



「うむ。良かろう」



 チュン♩チュン♩



「ベアさん。もう、朝よ・・・ヒィ」


 ベアトリスはゲームの画面のまま寝てしまった。

 18禁ゲームである。



 '' お姉たん。大好き!''


 とPCの音声が再生されていた。



 まさか、靖を?



 それから、



「チース、5版『皆でゴルフでーす』持って来た。皆でやろう」

「わーい、舞子姉ちゃん有難う。ベア姉さんも一緒に」

「おう、三人でやろう」


「まあ、ベアさんは夕食の買い出しと準備をお願いするわ。最近、歳だから辛くて、いいわね。ベアさん」

「うむ。頼れ」



 我は、最近、サチコに家の味を仕込まれているのだ。



「オホホホ、これは味の元祖よ。秘伝の魔道調味料とかではないわ」

「なるほど」



 もしや、ヤスシ殿の嫁になれとの言われたら、どうしたら良いだろうか?


 殿下との婚約は解消されたし、貴族籍は抜けた。

 つまり、お父様の許可なしで婚約できる身だ。

 まあ、仕方なかろう。


 靖殿は3歳下。おかしくはない。今のうちからみっちり教育して婚約破棄などしない男に教育しよう。



 この世界の婚約、結婚は当人同士の意思が必要と知るのは、もう少し後の事である。



 しばらくして、王子が、陛下からベアトリスと連れ戻せと命令を受け。この世界にやってきて、熊子に惚れられたり。

 ミミリーが桃髪神社に現れ、神の再来と大騒ぎになるのは、また、別の話である。






最後までお読み頂き有難うございました。

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