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4.リンパを流す

「お嬢様。リンパマッサージをいたしましょう」


 お部屋でのんびりとストレッチをしていたら、突然フィーネが言い出しましたわ。ストレッチもまずは無理のない範囲で、と言うことでまだ前屈と開脚くらいしかしてないわ。


「りんぱまっさーじ……? マッサージね! わたくし、マッサージは大好きよ!」


「では、こちらに横になってください」


「ええ、わかったわ」


 フィーネに服を脱がしてもらい、マッサージ用の服装に着替えさせてもらいながら、いつのまにか準備されていたマッサージ台にのぼります。


「では、開脚してくださいませ」


「ここで? 少し、はしたない気がするわ」


「黙れ、豚。豚は黙って言うことを聞け」


「ひっ」


 フィーネに言われるがまま、脚を開きますわ。とても恥ずかしいですわ。


「こうでいいかしら?」


「では、失礼いたします。お嬢様」


 フィーネはそう言って、私の脚を優しく撫で始めました。


「あら、気持ちいいわね。フィーネはマッサージも上手いのね。知らなかったわ」


 フィーネの指つきにうっとりしながら、全身撫で回されました。末端から中心に向かってマッサージされているような感覚です。


「フィーネ、こんなに優しい撫で方でいいの?」


「はいお嬢様。まずは、これくらいの優しさでいいのです。では、そろそろ……」


 フィーネはそう言って、わたくしの脚を強く指で押し始めました。


「い、痛いわ! フィーネ、もう少し優しくしてちょうだい?」


「リンパマッサージとは、身体中に流れるリンパの老廃物を通りやすくするためにやるものです。脂肪の塊でいらっしゃるお嬢様は、このくらいの力でさせていただきます。これで、脂肪と老廃物の繋がりを切断いたしますので、耐えてください」


 表情を変えずにゴリゴリしていくフィーネ。思わず、痛い痛いと騒いでしまうわたくし。地獄絵図とはこのことかしら。


 オイルを垂らしたり、わたくしの身体の向きを変えさせたりしながらあちこち揉みほぐしました。



「では、お嬢様。ストレッチのグレードをあげていきましょうか? それが終わったら、運動も始めましょうか?」


 満面の笑みでそう微笑むフィーネの方が、伝説の魔王に見えたのはきっとわたくしだけではありませんわ。


「フィーネ。わたくし、今も十分、水中ウォーキングを頑張っているわ」


「お嬢様。まだまだです。まだ脂肪の塊が少し減っただけでございます。ここから、運動も負荷していきます」



 満面の笑みでフィーネはゴリゴリを続けるのでした。

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