表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◯◯しないと出られない異世界  作者: ワナリ
第一章『怠惰:異世界攻略⁉︎』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/114

【33】『一点突破』


 王兄が怒りに身を震わせ、俺を睨みつけてくる。


 ラナに睨みつけられた直後だけに、その第一印象は、


 ――うわー、可愛くねー!


 だった。


 いやいや、だってラナなら怒ろうがなんだろうが、すべてが可愛いからね。

 それに比べて三メートル近い全身真っ黒の巨体で、その上、ライオンの化け物みたいな顔で熱い視線送ってこられても、こちとらノーサンキューですよ……。


 とはいえ、戯れ言はこの辺にして、王兄の野郎怒ってらっしゃるぜ――。


「き、貴様は――、いったい何者だ⁉︎」


 まるで地鳴りの様な声で、王兄が問いかけてくる。


 俺としては、今さらそれ聞いてくるか? と思ったので、


「ただのアラフィフのオッサンだよ――。ただし……、ちょいとばかし『強欲』だがな!」


 と、ちょいと粋な答えを返してやったつもりだが、


「アラフィフ……、オッサン……。聞かぬ種族だな」


「はあ?」


 王兄の思わぬ反応に唖然としてしまう――。


 いやいやいや、それ種族でもなんでもないからね! 仮にそんな種族あっても、全力で加入お断りしますから!


「フン、まあいい。私をここまで傷付けたのは、お前が初めてだ」


 王兄の言葉に、


 ――いやそれ、なんかのフラグですよね?


 と、俺はジト目でツッコミたくなる。


 だが、


「フン!」


 という気合いと共に、王兄の体が黒い光を放ち始めると、そんな事も言っていられなくなる――。


 なぜなら、ただでもデカい王兄の黒い巨体が、さらにムクムクと大きくなっていったからだ。

 いや大きくなっている訳ではない。全身の筋肉がさらに増強されている様に見える。


 ――うわー、異世界の進化パターン、キター!


 俺がそう思っていると、


「グハハ、これが私の最終形態だ。どうだ驚いたか⁉︎」


 わざわざ王兄本人も、自分からそう言ってきてくれた……。


 これで一連の『お約束』が回収された訳だが、それはそれで状況はまずくなった。

 王兄の皮膚が、まるで鉄の装甲の様に強化されている――。


『センチア――』


『奴め、さらに邪悪な瘴気を取り込んで、己を強化しおったわ――』


 俺の問いかけに、センチアは吐き捨てる様にそう言ってから、


『ああして瘴気を取り込み続ければ、やがて奴は自我さえ失い、ただの『魔の獣』と化すというに……。ほんとに愚かな事じゃ』


 続けて、堕天した元眷属のなれの果てについて、苦々しく言及する。


『でも、どうすればいいんだ⁉︎ 奴はさらに強くなっちまったんだぞ⁉︎』


『あんなもんは、一時的な強化に過ぎん。時間が経てば元に戻るし、おそらく皮膚の表面に魔力を集中した分、中身はフニャフニャじゃろう」


『えーっと、て事は……』


 センチアの分かる様な分からない様な攻略指南に、俺が頭を整理しようとしていると、


『なるほど――、よく分かりました』


 またククルが会話に割り込んでくる。


『攻略法は二つ――。まずは持久戦法を取って、王兄が元に戻るのを待つ。ですがこれは、こちらの戦力を考えると、ジリ貧になる可能性があるので、除外ですわね』


『――――』


 ククルの理路整然とした指摘に、俺は黙って耳を傾ける。 


『もう一つは、短期決戦――。あの皮膚さえ破れれば、中までは強化されていないと仰いましたよね?』


『間違いない。奴ごときで、その身すべてを強化するなど不可能じゃ』


 ククルの簡潔な問いに、センチアもまた簡潔な答えを返す。


『でしたら、取るべき策は『一点突破』ですわね。わずかでも、あの皮膚に傷をつけて、そこから強力な攻撃を打ち込めば、それでこちらの勝ちですわ』


『……なるほどな』


 ククルの導き出した結論に、俺も納得する。


 つまり、結局は『貫通力』のある攻撃を叩き込むという方針に変化はない――。

 ただ、その難易度が上がってしまっただけの事だ……。


 やれやれと思っていると、


「さあ、いくぞアラフィフ!」


 突然、そう叫びながら、王兄が俺に迫ってくる。


 ――いや待て、アラフィフ言うなし! それマジで、種族名でも名前でもねーんだから!


 だが、ここは訂正している時間なんてない。


「チッ!」


 俺は手にしたままのステアーAUGで応戦する。


 ――一点突破。


 ククルが導き出した結論に沿って、なるべく射撃ポイントを一点に集中して撃ちまくる――。

 動く相手の胸板への射撃なので、難易度が高かったが、かなりの精度に俺は手ごたえを感じていた。


「――――⁉︎」


 だが、M995徹甲弾の集中射撃にも、王兄の突進が止まらない。

 さっきはこの徹甲弾で、明確なダメージを与えられたのに、今度は皮膚に傷一つついていない――。


 ――まずい!


 考えた分、回避動作が一瞬遅れた。

 王兄はその強靭な肉体で体当たりをしてくる気だ。

 そんな鉄球みたいな体で、ブチ当たられたら俺はひとたまりもない――。


 動揺して、瞬時にスキルを発動させる事もできない。


 頭が真っ白になりかけた時、


「レオさん!」


 という声と共に、俺の体が側面から掴まれ、真横にダイブする――。


 そのおかげで、俺は地面を転がりながら間一髪で、王兄の体当たりをかわす事ができた。


 九死に一生を得た――。

 顔を上げると目の前に、思い詰めた表情で、俺を見つめるラナの顔があった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ