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◯◯しないと出られない異世界  作者: ワナリ
第一章『怠惰:異世界攻略⁉︎』

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【03】『黒歴史リベンジ』


 中肉中背、別に筋骨隆々って訳でもない。

 そんな少女が、モンスターに囲まれている。


 どう考えても少女がピンチなのは一目瞭然。

 普通なら、ここは助けてくれと言うところだ。


 なのに――、


「だ、大丈夫ですから、あなたは逃げてください。こ、これは――私が頑張らなきゃいけないんです」


 少女はまた、俺に逃げる様に言った。

 しかも、自分が頑張らなければいけない、とも言った。


 もしかして、この少女は、ここの草原のハンターとか?

 そんでもって、ここに一狩りしに来てるとか。

 ならここで獲物を横取りするのは、狩場荒らしになるのか……?


 と、俺は状況を好意的に考えてもみたが――、


 いやいやいや、普通に考えて、あの少女、武装もしてねえし、間違いなく襲われてんでしょ!

 仮にハンターだとしても、獲物を狩った功績を譲ればいいだけだ。


 ――よし!


 俺は腹を決める。

 ここは手を貸さねえ訳にはいかねえ!


 ――パーッ。


 まばゆい光と共に、俺の右手に拳銃が錬成される。

 さっき見立てた通り、このモンスターなら9ミリ弾で仕留められそうだ。


 そこで俺が錬成したのが――ベレッタM92F。

 こいつはかつて、センチアの固有領域の『一発必中しないと出られない回廊』で、俺が錬成に失敗した黒歴史の代物だ。


 あの時は、『創造』と『錬成』のスキルレベルが足りていなくて、あわやスライドが顔面にヒットして、俺はお陀仏になりかけたが、もう両スキルともレベル10だ。


 それにオートマチック拳銃の錬成は、すでにM1911で成功している。

 そうなりゃ、ここは――異世界初戦で、黒歴史のリベンジだ!


 意気込む俺は、同時にスキル『索敵』を展開する。

 このスキルは通常の索敵だけでなく、敵の攻撃軌道も事前に教えてくれる優れものだ。

 その有効性は対ククル戦でも、遺憾なく発揮された。

 激戦を勝ち抜いたおかげで、MPも三倍増しになっている。とりあえず残量を気にする必要はない。


 全モンスターを対象とした『索敵』が、攻撃軌道を解析表示し終える。

 向かって左側にいる翼竜みたいな奴だけが、初速の速い特攻をしてくるらしい。他は全部、火や毒を吐いたりするが、動きが鈍重だ。


 M92Fの装弾数は十四+一発。正確な敵の数は十二体。定石通り、一体に二発撃ち込むとして、リロードは一回で済む。

 戦い慣れしてきたのか、俺はそれらの計算をしながら、予備マガジンの錬成も終えると、素早く銃を構える。


 そして、


「いいか、そこから一歩も動くな!」


 と、少女に向かって警告する。


 下手に動かれて、射線に入られたりしたら面倒な事になる。

 俺も異世界に来て、いきなり現地人を、しかも少女を殺害とか絶対に避けたいところだ。


「で、でも私は――」


「いいから、黙って動くな!」


 まだ何か言おうとする少女を制して、M92Fの引き金を引く。


 やはり翼竜タイプのモンスターが先陣を切ってきたが、その頭部に正確に二発の9ミリ弾を叩き込む。

 予想通り、皮膚にそれほどの硬度はないらしく、青い血を吹きながら翼竜タイプは地面に落ちると、もう動かなくなった。


 あとは一方的な虐殺となった――。

 知能が高くないのか、モンスターは連携を取る事もなく我先にと、ただ突進してくるだけだ。

 そのせいで、足の速いもの遅いものが、俺に順番に撃たれるために並んでくれた。


 ――パンッ、パンッ!


 一発、二発。一体につき頭部に二発。その繰り返しだった。


 だが、それが五体を超えた時、俺はマガジンを素早くリロードすると、残りの七体に一気に連続射撃を加える事にした。

 単純作業に飽きたのもあるが、今の射撃スキルを確認しておきたいという狙いもあった。


 ――さあ、いくぞ!


 十四連続の銃声――。それがやんだ時、草原に合計十二体のモンスターの死骸が横たわっていた。


 俺は成果と、ベレッタM92Fの性能に満足する。

 やはり装弾数の多さは、複数を相手にする乱戦では非常に有効だ。

 グリップが太いのと、重量が少し重いと感じるが、大した問題ではないだろう。


 これもスキルレベルが、10まで上がったおかげだと実感する。

 さらにレベルが上がれば、もっと強力な火器を錬成できるし、使いこなす事もできるだろう。


 俺は無意識に、今後の戦いについての対応策に心をめぐらせる。

 センチアの野郎の事だから、俺が拒否ったところで、どうにもならないんだろう。

 なら、俺は俺なりに生きる道を考えなければ――。


「――――ます。――――――ざいます」


 ん? なんか俺、話かけられてる?


「あの……、あ、ありがとう……、ございます」


 うわっ、俺、女の子からお礼言われてたのに、ずっと無視してたとか⁉︎

 あいたー、これ感じ悪いよなー。


「た、助けてくださって、ありがとうございます。わ、私が頑張らなきゃいけなかったのに……。わ、私って、やっぱり『怠け者』ですね」


「――――?」


 少女の言葉に、言い様のない違和感を感じ、俺は絶句してしまう。


 ――な、怠け者?


 言っている意味が分からず、無言のまま戸惑ってしまう。

 このままじゃ、さらに印象が悪いと思いながらも、何をどう言っていいのか、すぐに言葉が出てこない。


 怠け者――。どう考え立って、モンスターに襲われて、それを自分で撃退しなかったからって、そんな事を言うか?


 ――少女の心に潜む闇。

 それを感じながらも、少女の目が曇りのない輝きを放っている事が、さらに俺の心を不安にさせた。


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