表彰式【04】『共感とボンクラ』
――ど、どういう事だ⁉︎
この流れで、いきなり空中に例の『お題』が出てきたのにも驚いたが、『大家と契約しないと出られない異世界』って、いったいなんなんだよ⁉︎
一言でいえば、意味ワカラン……。もう説明プリーズですよ……。
まあ思い返せば、これまでも割とムチャクチャな『お題』ばっかだったのは認めますよ。
だけど今回ばっかりは、まったく意味が分からねえ⁉︎
しかも大家って誰よ? ここ賃貸住宅でしたっけ?
俺が呆然としたまま黙っていると、
「これはこれは……、そういう事になったか……」
俺たちと同じく、空中の『お題』を眺めるセンチアが感慨深げに、ポツリと呟いた。
いやいやいや、このロリババア神! これ、お前が出したんだろ⁉︎
それをなんだよ! 出来に満足ですか? 自画自賛ですか⁉︎
俺は心で毒づくだけだったが、
「ここは――固有領域と仰いましたね?」
何かに気付いたらしいククルは、落ち着いた声でセンチアに問いかける。
うわー、ククルさん。瀕死の状態で倒れてたのに、ちゃんと話聞いてたんっすね。俺、そこ忘れてました。うう、ほんとサーセン。
「ほお……。お前は、いくらかそこのボンクラとは違うようじゃのう」
「ぼ、ボンクラだとー⁉︎」
さすがにボンクラ呼ばわりされちゃあ、俺も黙ってはいられない。
「ハン。どうせお前の事じゃから、訳が分からんのをワシのせいにして、腹ん中でギャンギャン毒づいとったんじゃろう?」
「…………」
はい、その通りです。もう何も言えません。
「お褒めに預かり、恐縮ですわ」
あれー、ククルさんも乗っかっちゃうんですかー⁉︎ もう俺のボンクラ、確定ですね。ガックシ。
「固有領域という事は――、ここはあなたの領域」
「――――!」
構わず話し続けるククルの言葉で、ボンクラな俺にも、さすがに話が少し見えてきた――。
「つまり――『大家』とは、あなたの事でしょうか?」
そう言って、ククルは『お題』の謎を結論づける。
そういう事か――。確かにそれなら辻褄が合う。
俺は緊張しながら、センチアからの回答を待つ。
「ふむ……。まあ……、おそらく……、そういう事なんじゃろうな……」
「いやいや、なんだよ、その煮え切らない言い方は!」
予想の斜め上をいく回答に、すかさず俺はツッコミを入れる。
だってそうだろ? お前が出したお題だろ⁉︎ 自分で言ってて意味ワカリマセーンとか、そんなん許されるの、パツ金の美少女留学生だけだからな!
「では、あの『お題』は……。いえスキルは、あなた自身でも制御はできないのですか?」
「えっ……?」
これもまた斜め上をいくククルの指摘に、俺は声を失う。
スキル? マジ? じゃあこれまで出されてきた、あのふざけた『お題』は、センチアのスキルだったっていうのか?
「フッ、やはりお前は、ただの『傲慢』ではない様じゃのう」
「フフフッ」
センチアとククルは、不敵に笑い合っている。
えっ、なに二人で共感し合っちゃってるの――? しかもこのシチュエーション、ちょっとカッコいいんですけど。うわー、俺って今、蚊帳の外ですか?
「お前の言う通り、ワシの固有スキル『先読み』は、ワシでも制御はできん。必要に応じて警告的に発生しよるし、内容が『出られない』に限定されとる意味も、ワシにも分からん――。まあ固有スキルとは、大概そんなモンじゃからのう」
おいおいセンチアの奴、結構重要な事を、どうでもいい感じで言いやがったよ。
だが『固有スキル』が、何かとんでもないものらしいって事は、これで分かった。
それでも――、まだ俺には納得いかない事がある。
「なんで――。なんで、『お題』の重要なとこが、いつも伏せ字なんだよ?」
俺もちょっとクールに言ってやった。どうだ、見事な指摘だろ? フッ、これで俺もボンクラ卒業だな――。
「うーん……、分からん。なんでなんじゃろうなあ?」
おいおいおい、センチアさんよ、その答えはないだろう! もっとさっきみたいに、俺とも共感し合ってくれよ!
「まあ……、きっとワシがお茶目さんじゃからかの?」
センチアの奴、ドヤ顔で言いやがったよ。お前、ほんと神様か? あー、もうマジで訳分かんなくなってきたぞ……。
「では話を進めさせていただきます――」
いやククルさん、進行スキル半端ねえっす! もう俺の事、見殺しですね。
「センチア――、いえ『強欲神センチア』。あなたは、私たちと契約する意思はおありですか?」
「――――!」
そうだ、話の本題はそこだった!
ククルの指摘通り、大家がセンチアっていう事なら、今回のミッションは『センチアと契約しないと出られない異世界』という事になる。
だが契約って、いったいどういう事だ……?




