表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◯◯しないと出られない異世界  作者: ワナリ
序章『予選:異世界脱出⁉︎』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/114

表彰式【01】『七つの大罪』


『相変わらず、『強欲』な奴じゃの』


 虚空から、幼い声が聞こえた。


『表彰式の準備は、まだできとらんぞ。まったく』


 人を食った、この物言い。そして狙いすました、あざといロリババア喋り――。

 来た……! 『運営』が出てきやがった!


「表彰式だと⁉︎」


『そうじゃ、お前はこの『出られない異世界』の勝者となった。じゃから主催者であるワシから、その労を労って――』


「そんなもんはいいから、早く姿を見せろ! そして俺の話を聞け!」


 運営の話を遮って、俺は叫ぶ――。今はククルを助ける事が最優先事項だ。


『やれやれ、現界は面倒なんじゃが……、後始末もあるしの。まあよいわ』


 意味の分からない返答を聞いた瞬間、目の前の空間が、人間の体を形作っていく事に息を呑む。


「――なっ⁉︎」


「さーて、これでよいかの?」


挿絵(By みてみん)


 次の瞬間、それまでスピーカーを通していた様な話し声が、突然、リアルな肉声に変わったかと思うと、宙に浮いた状態の少女が――いや幼女が、これもまた突然現れた。


「うわっ! な、なんだ、テメエ⁉︎」


「自分で出てこいと言っておきながら、ずいぶんな言い様じゃのう」


 そう言って幼女は妖しく微笑みかける。

 だが、この言い回し、態度――。間違いねえ。


「お、お前が――」


「そうじゃ、『運営』じゃよ」


 幼女ながら、溢れ出る威厳に圧倒される――。なんだこの半端ねえ存在感は!

 俺は言葉が出なくなるが、それでも気合を振り絞って、なんとか口を動かす。


「お前が『運営』なら――。頼む、ククルを助けてくれ!」


「ハアぁー?」


 人を食った態度をしてから、さらに『運営』は続ける。


「これは異なことを言うものじゃ。そこのククルは、お前が倒したのじゃろ? それを何故、お前が助ける道理がある?」


「クッ……、正論じゃそうかもしれねえ。でも俺は、こいつを助けてやりたいんだよ!」


「お前は自分が生き残るために、そ奴を――。いや、そ奴だけではない。何人もの相手を殺めてきたんじゃろ? なのに、そ奴だけ助けたいなど……、それこそ道理が合わんわ」


「クッ……」


 あまりの正論に、何も言い返せない。

 だが俺は、ここで引き下がる訳にはいかない。


「ククルには――、生きる価値があるんだ!」


 だから俺の偽りのない気持ちをぶつける。


 だが、それに返ってきたのは、


「クッ、クックックッ、クックックッ、アーッハッハッハッ!」


 耳が痛くなる様な、『運営』の嘲笑だった。


「な、何がおかしい⁉︎」


「いや、すまん。お前が、あまりに身の程知らずな事を言いよるでの」


「身の程知らず?」


「そうじゃ。お前は、そこの女に生きる価値があると言うたが――、お前も含めて、ここに来た全員は、ワシが『生かす価値がない』と判断した者たちなんじゃぞ」


 言っている意味が分からない――。それに『運営』は、『生きる価値』ではなく『生かす価値』と言った。


「お、お前は何様なん――」


「神様じゃよ。お前らの価値観でいうところのな」


「――――⁉︎」


 あまりの即答に理解が追いつかない。神――、神だって⁉︎


「ふむ、自己紹介が遅れたの。ワシは七大最高神が一人――『強欲神センチア』じゃ」


 目の前の、宙に浮く幼女は一片の迷いもなく、そう口にした。

 その瞬間、それまで『運営』を名乗っていた存在が――センチアが、急に神々しく感じ、俺はさらに圧倒される。


「よかろう。まあ最後じゃし、お前には『勝者の褒美』として特別に教えてやろう」


「さ、最後――⁉︎」


 聞き捨てならない言葉に、俺は思わず身を乗り出す。


「黙って聞け、人間よ。よいか、この世界……、世界とはお前の知っている地球だけではなく、数多の異世界すべてを含む――真の世界の事じゃ」


 俺を制して、センチアは話し始める。


「それを統べる神々の頂点に立つのが我ら最高神――。強欲、傲慢、怠惰、嫉妬、色欲、憤怒、そして暴食の七大神じゃ。お前たちの世界では、『七つの大罪』と言われておるそれじゃよ」


「七つの……大罪……。まさか⁉︎」


「そうじゃ、理解が早くて助かるの。ここに来た者たちは皆、その『七つの大罪』の業を背負った『クズ中のクズ』――。我ら神が『生かす価値なし』と判断した者たちじゃ」


「――――⁉︎」


 センチアが明かす真実に、俺はただ絶句する事しかできなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ