表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◯◯しないと出られない異世界  作者: ワナリ
序章『予選:異世界脱出⁉︎』
4/114

二回戦【03】『錬成リトライ』


 あー、死ぬとこだった。

 いやいや銃の暴発って何よ⁉︎


 そりゃ、リアリティ重視の小説書いてた俺だけど、異世界まで来て銃の暴発事故で『完』――って、そんなん次回作もへったくれもない終わり方だわ。


 せめて、俺たちの戦いはこれからだ! ぐらい言わせてくれよ……。

 あー、冷や汗かいたから、HPも減ってるわ。


 HP:75/85 MP:0/35


 アチャー。せっかく回復したMPも、またゼロになっちまってる。

 うーん、スキルレベルが上がったからって、いきなりオートマチック拳銃の錬成は無理があったかー?


 しかも暴発する不良品作るなんて、これは設計図である『創造』のスキルがまだその域に達してないのか、MP不足で『錬成』が不十分だったのか……?

 いやその両方だな。心なしか重量が軽いと思った時点で気付くべきだった。


 結局、まがいものの設計図と、品質の悪い材料で銃を作ったんだから、暴発というこの結果は必然といえる。リアリストとして、これは認めなくてはならない。

 あー、でもMPなくなったから、今日はもう『錬成』はおろか『洞察』も使えねー。


 そういえば空中に表示されている、


 『◯◯◯◯しないと出られない回廊』


 も、まだ解決できてなかった。


 とりあえず迷宮みてえな一本道だから、ここは行けるとこまで進むか……。


 しっかし、屋内で日付という概念がないから、やめ時が問題だな。

 とはいえ、ログインボーナスのカ◯リーメイトを美味しく食べるために、水場は確保しなければならない。


 なんかカ◯リーメイトに行動を制限されるなんて、どんな異世界物語だよって感じだが、よし決めた。歩いて疲れて、水場に行き当たったらそこで寝よう。




 で、眠って目覚めたら、ステータスが全回復してた訳だが、今日はまず実験だ。


 あっ、ちなみに今日のログインボーナスは、チョコ味と読んだ俺の予想に反して、メープル味だった事に少しイラッとした。


 それはともかく、


 ――スキル『錬成』ーっ、M36!


挿絵(By みてみん)


 俺は初日に錬成したリボルバー式拳銃のM36を再び錬成した。

 そして、ステータスを確認する。


 MP:11/35


 やっぱり余ってる! 消費MPは24だから、おそらくM36を作るのに『創造』と『錬成』を12ずつ消費したんだろうな。


 続けて、


 ――スキル『洞察』!


 を発動させて、空中に表示された文字の正体を見極める。

 おっ、◯◯◯◯の部分が透けてきたぞ。なになに……。


 『一発必中しないと出られない回廊』


 なんじゃそりゃ?

 最初の、『大願成就しないと出られない部屋』といい、謎かけが多過ぎるぞ。

 まあいい。それよりステータスの確認だ。


 MP:7/35


 4減ってる。って事は一文字あたり1消費すんのか?

 さあ考えろ。初戦で美少女とバトルした時、俺のMPはMAXで30だった。


 で、あの部屋の伏せ字も四文字だったし、バトルが終わった後、俺のMPはゼロになっていた。

 という事は、同じ『洞察』でも、美少女のステータスを見るのには、2消費したと考えるのが妥当か――。


 まあ見抜く内容や『錬成』の難易度とかで数値の増減はあるんだろうが、大体概要が分かってきたぞ。

 特に、今回重要なのはM36の『創造』と『錬成』をした後、MPが余っていたという事だ。


 これが意味するところは、暴発したM92Fと違って――M36の『錬成』は完璧だったという事だ。


 ――パーン、パーン、パーン、パーン、パーン!


 ちょっとドキドキだったが、全弾連射してみた。

 まったく問題ない。これは今の俺に、完全に、安全に使える『武器』だ!


 まだ試してみたい事はある――。弾丸の補充ができるかどうかだ。

 銃本体を錬成した時点で、全弾装填されているのはありがたいが、やはりM36の五発というのは少ない。


 ――『錬成』ーっ!


 おおっ、五発錬成できたぞ。MPの残りは2だから、一発あたりMP1消費か。

 装填のために弾倉であるシリンダーを出し、エジェクターロッドを押して、薬莢を排出する。


 アチッ! 知ってはいたけど、ほんと実銃って撃つと熱くなんのね。

 これ実戦の場で、熱がりながら弾丸装填とか、マジありえないわ。

 うーん、やっぱオートマチックみたいに、マガジンごと変えられないと不利だな……。

 俺はミリタリー小説家としての知識と、リアルの違いに考え込んでしまう――。


 ――うん。今は考えても仕方ない!

 開き直った俺は、せっかくなので残ったMPで『錬成』した七発の弾丸で、射撃トレーニングをする事にする。

 『射撃』のスキルがレベル4だから、おそらく素人よりかは上手いんだろうけど――、ログインボーナスのカ◯リーメイトの空き箱を的にした、距離約二十メートルの試し撃ちは、七発中二発を外してしまう結果となった。


 命中率七割。この数字を高いとみるか、低いとみるか……?


 ――ゾワッ!


 思案の最中に、とてつもない悪寒が、背中を駆け巡った。


 ……この感覚は知っている。そう、あの『出られない部屋』で俺を色仕掛けで殺そうした、美少女の企みを暴いた時の悪寒だ!


 美少女の――『この世の男を全員殺す』という願い。

 そういえば俺、なんでそれを見抜く事ができたんだ?


 『洞察』のスキル? いや違う。あの時、俺はステータスの最終ページにあった、固有スキル『裏読み』を発見した――。おそらくあのスキルの力に違いない。

 疑り深い俺らしいスキルだが、それにしてもあれは、いきなりレベル99とかいう、ふざけた数値だった――。


 それがどうして、今のタイミングで……。

 なぜだか分からない。

 だが直感で、先を急いだ方がいい気がした俺は、その場から全力で走り始めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ