一限目 歴史の転換点(1)
「さぁ最初の講義を始めよう。 まずは自己紹介をしておこう。私の名はティーバー・レンドリック教授だ。 気軽にティーバー教授と呼んでくれ給え。 さてこの魔法少女史は世界史では学べない、魔法少女個人の戦跡やそれに伴う時代の変化、また魔法少女の感情についても解る範囲で君たちに伝える講義だ。 歴史を学ぶのも大事だが、どちらかといえば戦術や道徳についてがメインになると思ってくれて構わない。 君たちがあこがれている魔法少女がどういったものか改めて考え直してほしい」
100人ほどが入る講義室に30代前半の青年が教壇に立って話始めた。
講義を受けるのは10前半以下の年端もいかない少女ばかりだった。
敵性異世界エーレンゼルの第三次侵攻に際し集められらた少女たちだった。
そして、現在戦力補強が急務のこの世界で、魔法少女の心構えを説くのが彼の仕事だ。
それでは講義を始めよう、と付け加えると早速講義が始まった。
1999年、7の月、
空から恐怖の大王が来るだろう、
アングルモワの大王を蘇らせるために。
その前後、マルスは幸運によって統治するだろう。
20世紀も残り半年とせまったころ、世紀の預言者ノストラダムスの大予言としてこの一文が世間を賑わせていた。
漠然とした社会不安の中、マスコミが無秩序に不安を煽るある意味平和な日々が続いていた。
では実際にその後どうなったということも、8月9月と順調に世界は新世紀への歩みを進めていたのだ。
TVでのバラエティ番組でも月を数えるごとにノストラダムスの一節を見ることもなくなり一過性のブームとして終わってしまったようだ。
まぁそれでもしつこくマヤの大予言だの類似の終末論がもてはやされる。なんとも言えない空気の一年であった。
だが年の暮れに差しかかった12月2日11:34世界標準時、事件が起きた。
みな終末の漠然とした不安感に飽き飽きしクリスマスや新年の行事に思いを馳せ始めたころだった。
それは突然現れた。
世界各地の空に黒い円柱の飛行物体が同時に現れた。
そしてその飛行物体はそれぞれ最寄りの都市へと攻撃を加えていく。
各国の軍隊はこの未知の敵へと果敢へ応戦するも被害は広がるばかりであった。