真実。
私は毎日とにかく、
『夢が叶う』
魔法を中心に練習していた。
しばらくして、塾が終わって帰ると、ハロが来てくれていた。
「彩夏音、重要なことがわかってきたんだ。
お父さんはいる?」
「えっ!?何?」
と思いながらお父さんを呼びに行った。
ハロはお父さんに挨拶し、話し始めた。
「国王が闇落ちした真実が、わかってきたんです。」
「どうして急にわかったの?」
「多分、彩夏音の魔法のおかげだよ。」
「私の魔法?」
「実はこの数日、今まで謎につつまれていたものが、段々と明るみになってきていて…。
彩夏音が一番好きな
『夢が叶う』
魔法は、翻訳間違いで本当は、
『真実の探求』
という魔法だったんだ。
彩夏音が毎日何度も練習してくれていたから、多分何回かに一回、正しい魔法を使えていたと思う。それで真相を明らかにしていくことが叶ったんだ。」
「私、魔法を使えたの?」
「うん、そしてその中の一つ、一番知りたかった国王の闇落ちの理由が…、
その原因が闇のペンダントの存在だったんだ。」
「闇のペンダント?」
「そう、ボクも最近始めて知った。
まさか、そんなものが存在していたなんて、とても驚いたよ。」
私もびっくり。
「そして、その闇のペンダントが国王を闇落ちさせたみたいだ。」
「どういうこと?」
「国王は元々は国民から尊敬される人だった。
それなのに変わられたのは、国王の心の中にあるほんの少しの闇が、闇のペンダントを発生させ、それに徐々に支配されていったようだ。」
確かお父さんの兄である国王は、子供の頃からとても優しく、国王になられてからも、国民を愛し、自分よりも国民のためを優先なさっていたとお父さんから教えてもらった。
「しかも、国王の闇のペンダントは、今の彩夏音の魔法のペンダントと同様、透明化されていて、誰にも見えないので、気付くはずはなかった。」
お父さんは何か真剣に考え事をしている。
「じゃあ、これからどうすればいいの?」
「まず彩夏音の魔法のペンダントの透明化を解除して常態化させ、次に国王の闇のペンダントも常態化させてから魔法のペンダントで闇を浄化する、という方法はどうでしょうか?お父さん。」
「自分は…、
君からお父さんと呼ばれるのはちょっと…。」
「もうお父さん、今そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。
お父さんがハロに皇子とは呼ばないでくれと言ったから、ハロが気を使ってお父さんって呼んでくれてるのに。」
「すまない。他の呼び方を思い付くまで、気にしないでお父さんと呼んでくれたまえ。」
「気にしているのはお父さんの方でしょう。」
と私は言った。
こんな時に、呼び方なんてどうでもいいと思うんだけど。
「話の腰を折って申し訳なかった。
ルカ君が今言った、その方法が最善の策だと自分もそう思う。
今のところBJJ の出方は、我々ではどうすることも出来ないから、まず出来ることからやっていこう。」
私達の決意は固まった。