ハロの警告
「彩夏音、急にごめんね。
いつも驚かせてばかりで。」
とハロが優しく言う。
ズバリその通り過ぎて、何も言えない私。
そしてハロが続ける。
「彩夏音のことが心配なんだよ。
最近、彩夏音のそばに新しく現れた人がいなかった?」
ドキっとした。
ひょっとして乾君のことを言ってるの?
「それがどうしたの?」
と聞き返す。
「まだどんな人かよくわからないんだから、急いで親しくならない方がいいよ。」
「余計なお世話。
ハロは私の何をわかってるっていうのよ。」
話し続けようとしたハロを、振り切って逃げた。
久しぶりに現れたと思ったら、何なのよ。
せっかく楽しくなってきてるのに。
ハロのバカ。
もう二度と現れないでほしい。
「お待たせ!」
と笑顔で待ってくれている二人のところに戻った。
「いいよ!」
「帰ろう!」
と言ってくれた。
緊張しながら三人で、学校や勉強の話をしていると、途中で乾君が
「あっ、僕の家ここを曲がった所なんだ。
じゃあ、また明日学校で。」
と爽やかに帰って行った。
「へぇ、乾君の家この辺だったんだね、彩夏音。」
顔を真っ赤にしながら、
「うん!」
と答える。
乾君の家がこの辺ってわかって嬉しい。
これから、ゆっくり一つ一つ乾君のこと、知っていきたい。
次の日、私が日直で廊下を歩いていると、乾君の方からかけよってくれた。
「昨日塾でトイレに行く前、何か幽霊でも見たみたいな顔してたよ。
ひょっとして何か見えた?」
「違う、違う。
そんな顔してた?」
と慌てて返す。
「僕には何も見えなかったのに、明らかに笹崎さんだけ何か見えてるみたいだった。」
しまった、ハロのせいだ。
急に現れるから。
どうしよう...。
「友達に似た人がいたような気がしただけ!」
うまくごまかせたかな?
信じてもらえないかな?
戸惑っていると、
「なんだ!びっくりした。
幽霊が見える人かと思ったよ。」
と少し笑いながら言った。
「まさか、見えたら怖くて大声で叫ぶよ。」
「それもそうだよね。」