再び...。
放課後、家に帰ってぼーとしている私に望優からメールがきた。
「塾に行くまでの時間、少し話さない?」
「うん、いいよ。
あの公園でもいい?」
「OK!
今日は笑いすぎてごめん。」
「なんであんなに笑ったのよ?
不自然じゃない。」
「あれは本当にごめん。
私あれから考えたんだけど、彩夏音を応援したいなぁって思って。」
「ありがとう、望優。
でも今はこのままそっと好きでいるよ。
受験生だし、乾君も転校してきたばかりで勉強も大変だろうし。」
「じゃあ、卒業式で告白するのはどう?」
私の顔がまたまた真っ赤になる。
「それまでに考えるね。」
「でも、せっかく席も隣なんだし、少しは自分から話し掛けないとダメだよ。」
「うん、頑張る!」
とは返したけど、なかなかね。
今は好きなだけで幸せなんだよ。
そのまま二人で同じ塾に行くと、
見慣れた人がいた。
「えっ!」
と思っていると、こっちを振り返り、ニコッと笑ってくれた。
やっぱり乾君だ。
どうしてこの塾に...。
思いがけず立ち止まっていると、望優が、
「乾君だ!」
とうまく切り出す。
自然に、
「彩夏音、乾君だよ。」
と私にも話し掛けやすいように声を掛けてくれた。
めちゃくちゃ緊張して、何を話し掛けたら…。
「こんにちは!」
と少しひきつった笑顔で言うと、
「こんばんは!」
と返してくれた。
そうだ、もう夜だった。
恥ずかしくて、真っ赤になってる私。
でもこれからは塾でも一緒なんだ!
学校だけじゃなく。
とにかく嬉しい。
勉強頑張れそう!
いや、逆に頑張れないかも?
そんなこと考えてる場合じゃないか。
ドキドキして、時々本当に乾君がいるか何度も見て確認してしまう。
真剣な面持ちで授業を聞いている乾君。
頭の中が乾君でいっぱい。
これじゃ、勉強にならない。
気にしないようにしなきゃ。
ほとんど身に入らず、塾が終わる。
帰り際、望優が
「乾君、一緒に帰らない?」
と話し掛けてるではないか。
「いいよ!」
と乾君。
そんな...心の準備が。
でも嬉し過ぎる。
何を話したらいいの?
浮き足だってる私の目の前に、急にハロが現れる。
「えっ。」
びっくりして、凍りついたような顔をしている私に、ハロは手招きをする。
二人は不思議そうな顔をしている。
望優が、
「彩夏音、どうしたの?」
「ごめん、ちょっとトイレ。
すぐ戻ってくるから、ここで待ってて。」
と言って、慌ててハロの方に行く。
「何?」
久しぶりの、忘れかけていたハロの登場に驚きを通り越していた。