いなくなったハロ
あれから数日、特に何もなく落ち着いた日々を過ごせている。
よかった、きっとこれでよかったんだよ。
今までと変化したのは...。
前とは違ってしまったのは、ハロがいなくなってしまったことだけ…。
「ハロ。」
あんなに可愛くて、私が学校から帰って来るのをいつも待っていてくれて、ハロといると悩みもふっ飛んで、とても楽しかった。
きっと、いつも私を励ましてくれてたんだよね。
そんな風に思い出していると、頬に涙が伝っていた。
やっぱり寂しいよ、ハロ。
会いたいよ、ハロ。
心にぽっかり穴があいてしまったみたいだ。
もうすぐ期末テスト。
私は彩耶夏と競いあうように勉強に打ち込む。
「今日はお姉ちゃんより遅くまで起きて頑張るぞー。」
「ちょっと、私の方が遅くまで頑張るもん。」
なんて言い合いながら、勉強漬けの日々。
そういえば…。
勉強の合間に休憩しながら、ふと私は気付いた。
隣の彩耶夏の部屋に行き、
「彩耶夏。
あんたハロがいなくなって寂しくないの?」
と聞く。
ポカーンとした顔をして彩耶夏が、
「はぁ、ハロって何?
お姉ちゃんのぬいぐるみ?
お姉ちゃん、ぬいぐるみに名前つけてるの?」
と言う。
「彩耶夏、それ本気で言ってるの?」
「お姉ちゃんの方こそ、勉強のし過ぎなんじゃない?
そこまでしてないか。」
アハハと彩耶夏が笑う。
うそ?!
また?!
なんでハロのこと知らないの?
最近まで二人で散歩に行ったり、遊んだりしていたのに。
彩耶夏が記憶にないということは、きっとお父さん達も覚えないはず。
最近変なことばっかり。
一体どうなってるのよ。
何が原因なんだろう。
頭が混乱しておかしくなりそうだけど、今は勉強するしかない。
テストが終わったら、一人で原因調査するしかない。
辛いけど。